第四話 王都キルフェイムへ
そして剣舞学院がある王都キルフェイムに帰ってきた。
街を散策していると、顔をフードで隠している女の子が男4人に絡まれていた。
「やめてください!」
どうやら知り合いではないらしい。
「やれやれ……」
俺は助けることにした。
「あまり目立ちたくはないのだが、仕方ない」
一目散に走った。
「おい、男が集って女の子に何してんの?」
「あぁ?お前には関係ないだろ?ガキ」
「嫌がってるよね?いい大人がなさけない」
その瞬間、男がポケットから小型ナイフを抜いた。
「いい加減にしろや」
俺はナイフを避け、腕を掴み投げた。
「お前、剣を抜いたってことは殺される覚悟はあるんだよな?」
威圧しながら男を見下ろす。
残りの3人は腰が抜けている。
「あれ、やりすぎたかな?加減がむずかいしいや」
対人はやったことがなかったので加減がわからなかった。
「っち、覚えとけガキ」
典型的な雑魚キャラが吐く捨て台詞をいいながら去っていった。
「ふぅ、大丈夫ですか?お気をつけて」
「あ、あのお名前聞かせてもらってもいいですか?」
「ん、俺はラクロス。ラクでいいよ」
「ラクさん。本当にありがとうございました」
よく見るととても可愛かった。
「いいよ。じゃあ俺は行くよ」
あまり厄介ごとには巻き込まれたくない。
女の子が何か言っていたが聞こえなかった。
【剣士】
・威圧:Lv1
「威圧スキルか、使えそうだな」
新たにスキルを取得した。
今日が入学試験だ。
「平民は俺1人だしな…。何されるかわからないし用心しよう」
剣舞学院は全寮制で5年で卒業できなかったら退学しなければならない。
また、各生徒には『ポイント』が与えられ規定ポイントが貯まれば卒業試験を受けることができる。0ポイントになっても退学だ。
ポイントごとにクラスが割り振られ完全実力主義でもある。
ポイントは基本、毎月行われる対抗戦と、各生徒による決闘戦で獲ることができる。
それにしても周りが貴族しかいないので居心地が悪い。貴族には階級ごとにバッチのような物が服にあるので俺が平民なのは一目瞭然である。
「さっきから白い目で見られるのは気のせいではなさそうだ……」
重い足取りで学院へと向かった。