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ブラック企業のホワイト支店  作者: マツグチラムネ
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第33話 縁って怖っ……!

登場人物


宮本→主人公

中山→事務所さん

多和田→営業マン

里田→取引先の相手(高校時代の知り合い)

里田の親父→社長

里田「……ってな訳でよ〜」


宮本「ギャハハハハ!そりゃ傑作だな!」


高校時代の思い出話が大いに盛り上がり、今自分が仕事中である事を完全に忘れかけそうになるぐらい俺は里田と話した。

思い出話が深まるごとに、自分の高校時代がとても懐かしく、感慨深く感じる。


そんな話が盛り上がっている最中の時、里田の会社の事務所の奥の方から一人の強面の男性社員がドスドスと足音を立てて現れた。


○○「おう、翔平。友達か?」


里田「おう親父、居たのか。聞いてくれよ、松黒のとこに俺の高校時代の知り合いがいたんだよ。宮本って言うんだ」


里田「宮本、この人が俺の親父。いわゆるこの会社の社長だ」


宮本「えっ⁉︎あっ、マジか!!すみません、松黒商事の宮本と申します!今年入社しました!これから宜しくお願いします」


里田父「へぇー、翔平の知り合いがあの松黒んとこにねぇ。不思議な縁だっこって」


里田「本当何があるのか分からんもんだよ」


里田父「おうおう、松黒さんとこの新入社員さんよ。何か面白い話とかないんか?」


そう言って里田の親父は俺の隣の座り込み、色々と話しかけてくれた。

だから俺も色々と里田やその親父にいろいろ話してあげた。


入社式の事。最近あった現場搬入の事。職場の人間の事。

里田も里田の親父も俺の話に大受けしていて、ゲラゲラと笑い転げていた。

そこから話はさらに盛り上がり、気づけばこの会社に到着して1時間くらい待っていた。


さてさて、そろそろ帰らなきゃな。

時計を見て、俺は里田とその親父にそろそろ帰るねと言う。


宮本「すまん里田、社長。俺、そろそろ会社に戻りますね。」


里田「オッケー。久々に知ってる顔に会えて良かったよ。多和田さんにも宜しくな!」


宮本「りょーかいだ」


里田父「おう、また配達頼むでこれから宜しくな!」


宮本「分かりました!また宜しくお願いします」


さて帰るか。そう思い、俺は事務所を出てトラックに乗り込む。


宮本(少し話し過ぎちゃったな。急いで帰らないと)


俺はすぐにエンジンかけた。すると乗り込んだ運転席の方へドンドンとノックして、里田が何やら資料をクリアファイルに入れて持ってきた。


里田「おーい、待ってくれ。これ、多和田さんに渡しておいてくれ」


宮本「あぁ、いいぞ。因みに何だい?これ」


里田「今度岐阜の方の現場で新築のマンション物件の仕事をする事が決まったんだ。こっちは衛生機器の明細。こっちは使用する管材の明細。こっちは〜」


そう淡々と説明する里田。クリアファイルに入っていた資料は計20枚程だった。

この業界の入り口に少しだけ踏み入れたばかりの俺にとって、その資料はどれも難しく、よく分からないものばかりだった。

でもいとも簡単に説明する里田を見て、俺はかなり感心させられた。


宮本(すげぇなアイツ……)


俺もいつか里田みたいにこういう建築の仕事が分かるようになる日が来るのだろうか。まぁ、それは俺の頑張り次第なのかな。


宮本(俺も負けてられんな!)


そう強く思い、俺はトラックを走らせる。 


『早く事務所に戻って勉強したい』


俺の心はやる気満々でいっぱいだ。





宮本「戻りましたー」


中山「お疲れー。長かったね」


宮本「聞いてください、中山さん!さっき行ってきた会社、俺の知り合いが経営してるとこだったんですよ!」


中山「えええ!!!そうなの⁉︎」


俺の話を聞いて、中山さんは声を荒げ、動揺した表情を見せた。


宮本「?中山さん、どうしたんですか?」


中山「いや、うーん……。何か貰ってきた?」


宮本「はい!資料を貰ってきました。コレを多和田さんにって」


俺はそう言うと、持ってきたクリアファイルに入った資料を中山さんに渡した。

中山さんはクリアファイルを受け取るや否や、マジマジとその資料を読み始めた。

その顔は何故か少し青ざめているようだった。

そして数十分くらい読んだとところで中山さんは急に天を仰ぎ、ポツリと呟いた。


中山「終わった……」


宮本「へっ?」


中山「宮本くん……君はとんでもないお客と仲が良いんだね……」


宮本「ちょっと中山さん?突然何を言い出すんですか?」


中山「そっか、そうだよね。宮本君はまだあそこの会社の本性を知らないんだよね……」


宮本「⁉︎⁉︎⁉︎」


さっきから奇怪な事を呟く中山さんのその力ない表情が気味が悪く思い、俺まで少し不安になってきた。

中山さんはすぐに多和田さんにその資料を渡した。多和田さんはその資料の表紙を見ただけで、この世の終わりであるかのような顔をして突然うなだれた。


二人とも一体どうしてしまったんだ?


どんどん不安になり、俺まで心配になってきた。


多和田さんはぐったりとした表情で俺に言った。


多和田「宮本君……、あそこのお客さんはね、ここの県内では有数のクレーマー&ワガママ&超絶問題会社なんだよ……」


はっ⁉︎


クレーマー?問題会社?ワガママ?


思いもしなかったカミングアウトに俺の顔は青ざめる。それもそのはず、ついさっきまであんなに楽しく会話を交わしていた相手の正体がまさかのそんなやばい奴だったとは……


多和田「宮本君、多分この物件をうちに振って来たということは多分、うちで受注する事がほぼ決まったもんだと思っていてもいいかもしれないね」


宮本「お〜、そうなんですか。良かったですね……」


多和田「いや、良くはない。これ、この物件の工事始まったら多分会社帰るの23時ぐらいになるかも」


宮本「えええ⁉︎」


中山「宮本君、私はそんな時間まで残りたくないよ……。何であんなところと知り合いなんだよー。このバカバカバカー!」


多和田さんや中山さんは力無い声で嘆いた。


宮本「縁って怖っ……」


俺はただそう呟くしかなかった。


そうなんです。人ってどこでご縁があるのか分かりません。たまたまや偶然、まぐれって事も時として幸か不幸かを呼び寄せるかもしれません。

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