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兄のイヤーは地獄耳!(ブラザーマン)

 シスコン太郎の名を受けて~

 生き恥さらして戦うお~とこ~


 ブラザーマーン!


 やあ。ブラザーの諸君。ブラザーマンだ。

 全国の妹と童貞のためのヒーローだぞ。


 今回はな、そんな俺が妹の為に奮闘するお話だぞ。

 良い子のみんなは録画じゃなくてリアルタイムで見るんだ。

 視聴率に関わるからな。


 それじゃ、いってみよう!


 *


「年齢は?」

「二十一歳!」


 俺の問いかけに、その痩せ型でやや出っ歯の男は

 そう力強く答えた。


 ここは京香の彼氏を探す面接会場。

 わかんない人は四話をもう一度読んでください。

 お願いします。作者のアホがすいません。


「趣味は?」

「論文の読破や」

「女性経験は?」

「もちろんあるで」


 なんだと。こいつに俺は負けたのか……

 顔面は負けていないから、内面か。

 愕然としてガクガクするのを何とかごまかしつつ、

 俺は次の質問に移った。


「将来計画は?」

「医者を目指しとるんや」


 いいな。堅実だ。

 じゃあ、この質問はどうだ。


「いざと言う時に妹を守れますか?」


 すると男は、両の拳を目の前でぶつけた。

 あまりの迫力に俺も少したじろぐ。


「もちろん俺は守るで。拳で」


 いいかも知れない。

 俺は目の前の男に期待していた。

 だが、次の質問がダメだった。


「妹が何か落としたら拾いますか?」

「妹さんの物やろ?」

「そう」

「そこで取る義務があるん?」

「え?まあ、そうですね」

「どこに?」

「ええ……」


 あかん。なんでキレてるのかわからん。

 ダメだ。失格や。俺は拳で対話できんかった。

 ブラザーの諸君。次にいこう、次に。わからん。


 *


「年齢は?」

「二十四歳、学生です」


 次に入ってきた男は、とてもがっしりした体つきだった。

 健康的に黒く焼けた肌とはっきりとした受け答えは、

 こちらに体育会系という印象を持たせる。


「女性経験は?」

「ありますねぇ!」


 やりますねぇ!

 俺は悔しくて泣き出しそうだった。


 またかよ。

 ちくしょー。それでも妹の為に俺は続けるぞ。


「将来計画は?」

「研究者目指してます」


 ふむ。悪くないだろう。

 ただ少し、京香が大変そうではあるな。


「スポーツとかやってます?」

「水泳やってます」


 おお、水泳か。

 京香も水泳部だからな。

 話が合いそうで何よりだ。

 何より力に自信があるのは彼氏としてグッドだ。


「いざと言う時に妹を守れますか?」

「守れますね、当たり前ですよ」


 男らしい。ここまでは順調だな。

 だが、まだわからんぞ。


「妹が何か落としたら拾いますか?」

「拾いますね」


 じゃあ、これが最後の質問だ。


「妹に好きな人ができたらどうします?」


 すると、その男――俺にとっては先輩だろう――は、

 はっきりこちらの目を見て答えた。


「彼女の幸せを思って、身を引きます」



 うん!

 文句ない。君が妹のヒーローになるんだ。

 だが、志願者はもう一人いる。

 とりあえず今は保留だな。


「これで面接を終わります。ありがとうございました」

「ありがとうございました」


 その先輩は律儀に深くお辞儀して、

 背筋の伸びたいい姿勢で帰っていった。


「さて、次は……」


 これがブラザーマン最後の仕事だな。

 数時間しか働いてないけど。

 俺は背伸びをしながら、期待してページをめくった。


 写真には、見覚えのある美人の女。

 あれ?玲菜じゃん。


「失礼するわよ」

「は?」


 ずかずかと面接室に乗り込んできたのは、

 俺の幼馴染の玲菜だった。

 お前に妹を渡したら、調教されて帰ってきそうなんだけど。


「何見てるのよ。童貞がうつるわよ」

「面接なんですけど?」

「んなこたぁどうでもいいのよ」


 玲菜は俺の机にひじをつき、ずい、と体を乗り出して

 顔をこちらに近づけてきた。

 なんだ?

 京香をくれって話じゃないのか?


「あんた、あの後どうなったのよ」

「あの後って?」

「作戦」

「ああ、あの後ね」


 俺は一部始終を玲菜に話した。

 玲菜はそれを聞いて、腕を組んで考え込む。


「問題はなんでパンツ見せてきたのかよね」

「俺もさ、なんで京香がパンツ見せてきたのかわからないんだ」


 はたから見るとふざけているようにしか見えない会話だが、

 当事者の俺たちは真剣だった。

 玲菜も眉間にしわを寄せ、黙って考えている。

 と、玲菜が顔を上げ、沈黙を破った。


「もしかして、」


 言いよどむ玲菜。

 少しの間をおいて、再び彼女は衝撃の考えを口に出した。


「本当にあんたの事が好きなんじゃない?」

「え……?」


 そんな、そんな事があるのか。

 だって、実の兄妹だぞ。


 確かに何度か襲われたけど、

 あれは俺をからかっているんじゃないのか。

 今回のだってきっと――


 動揺する俺を、玲菜は静かにたしなめた。


「そうじゃないとしたら、からかいが過ぎるし。

 どちらにせよ、真剣に話を聞く必要はありそうね」

「あ、ああ」

「じゃあ」

「じゃあ?」


 玲菜は真剣に続ける。


「私があんたの家に遊びにいくわ。

 それで、彼女の振りをする」























あ~くま~の(略)

今回はシリアス意外と多めでしたね。

次回は半々くらいです。

ちなみにブクマとか評価して下さると喜びのあまり

ブラザーチョップ(破壊力)が出ます。みんなも変身しよう!



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