表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/36

最高に「ハイ!」ってやつだアアアアアアハハハハハハハハハハーッ

ハッピーバレンタインです!(更新遅れましたすいません)

「皆様、いよいよ始まります!新進気鋭のガールズバンド、しかしそのロック魂は熱く!

 最強の四人組、『NIGHTMARE』の登場だぁッ!」


 辺りの観客たちから、大きな歓声が起こる。

 会場のスポットライトが、一斉に壇上の四人を照らした。

 マイクを持っているのは――梨奈だ!


「お前ら、ぶっ飛ぶ準備は出来てるかぁ!?」

「おおおお!!」


 梨奈の叫びに観客たちが呼応する。

 なるほど、ライブの時はあんなクレイジーな感じなんだな。

 それにしても、いつもの印象からは考えられない位にかっこいいぞ。


 思いっきり声を張り上げて、楽しそうな表情で梨奈はもう一度叫ぶ。


「最初の曲は『迅雷(じんらい)』だぜ!テンションぶち上げていけ!!!」

「うおおおおおおおお!!」


 場が盛り上がっているのを確認し、梨奈たちは自分の持ち場について準備した。

 四人ともやる気に満ち溢れ、目をギラギラさせている。

 短い静寂の後、一曲目の演奏は始まった。


 まず前奏で入ってきたのは、雷のごとく鋭く鳴り響くギター。

 それを地の底から響いてくるようなドラムが支える。


 前奏が終わり、全身でリズムを刻んでいた梨奈がマイクを持った。


「歩き出せ……紅蓮の業火を越え

 走り出せ……疾風のように激しく」


 梨奈はそこで目を閉じると、空気を思い切り吸い込んだ。


「わぁあああれこそはあああああ!!」


 カッと目を見開き、マイクを握り締めて獣のように絶叫する。


「迅雷!!」


 その瞬間、会場全体が観客たちの興奮の絶叫で震えた。


 空気を切り裂くような激しいギターと、さらにスピードが上がったドラム。

 それにノリノリのベースが加わり、見ている俺たちを曲に引きずり込んでいく。


 いつもはあんなにおとなしい梨奈も、頭を激しく振りながら会場全体に

 すさまじい勢いの声を響かせている。


「……すごいな」

「認めたくないけど、確かにすごい……」


 俺たちが見とれている間に、いつのまにか一曲目は終わっていた。


「さあ、次は皆大好き『Devils』だぜ。ついてこいよ!?」

「おおおおおおおお!!」


 ジャカジャジャン、と鳴り響くドラムの後に、ギターの奏とボーカルの梨奈が

 同時に歌い始めた。どうやらデュエットの様だ。


「死ぬがよい……我の前に頭をたれよ」

「絶望せよ……これが終わりだ」


 なんだか禍々しい歌詞だけど、それをチープにせずかっこよく歌い上げてるのは、

 やはり二人の実力のなせる業だろう。


「うぃーあああああああでびいいいいいる!!」

「だい!だい!ですとらくしょん!」


 ……英語の部分は、日本人なので仕方ないだろう。普通のバンドより上手いし。


 それにしても驚いた。ここまで梨奈の印象が、がらりと変わるとは。正直予想外だ。

 いつもは可愛い感じだったけど、今日の梨奈は本当にかっこいい。


 俺が話しかけようと京香の方を向くと、いつのまにか京香は

 夢中になってリズムを刻んでいた。

 後ろのツインテールもぴょこぴょこと一緒に飛び跳ねる。


 最初はすごい不機嫌だったのにな。これが音楽の力ってやつか。

 これを機に二人が仲良くなってくれたら良いんだが。


 そう俺が考えていると、いつの間にか二曲目も終わっていた。


「お前ら、水分補給しとけよ!今日は夜までぶっ通しで盛り上がるからな!」


 やっぱり、こういう気配りはいつもの梨奈だな。ちょっと安心する。


「できたか?じゃあ、三曲目もいっくぜええええええ!!」


 こうして、夜まで最高のライブは続いた。

 梨奈は終始楽しそうに腹の底から声を響かせ、俺たちもそれに続く。

 会場全体が、一つの大きな波のようになって盛り上がっていた。










 楽しい時間というのは、得てしてあっという間である。

 それは今日のライブにおいても同じであった。


「うい、お疲れ様」

「あ、冬樹さんと京香さん!」


 夜、ライブ終わりの楽屋。

 俺たちは梨奈に温かい飲み物を差し入れに行っていた。


「ほい、これ」

「ありがとうございます!」


 缶を両手で持ち暖をとるいつもの梨奈。

 俺はそれを見てほっこりしつつ、今日のお礼を言った。


「今日は招待してくれてありがとう。格好よくてびっくりしたぞ」

「格好いいと思ってもらえたなら、うれしいです!」


 今日は張り切ったので、とはにかむ梨奈。かわいい。

 思わず頭をなでそうになったぞ……危ない。


 そうして俺と梨奈が今日のライブについて歓談していると、

 横から京香が顔を出した。


「梨奈さん」

「は、はい」

「今日のライブ、よかったと思う。サインくれませんか」

「え、ええ!?」


 驚く梨奈。無理もない。少し前まで料理対決してたくらい、仲悪かったもんな。

 俺はそっと梨奈に声をかけた。


「こいつ、ライブのときすごい盛り上がってたから、本当だと思うぞ」

「そ、そうなんですか!?」

「べ、別に転売してやるだけだし~。本気でファンになったわけじゃないし~」

「ええ……」

「おい!ツンデレかお前は!」


 まったく。こういうときに限って京香は素直じゃないんだよな。

 そういうところも可愛いんだが。


「あれ、そういや……」


 ふと俺が周りを見ると、バンドメンバーの三人がいないことに気がついた。


「あの三人はどうしたんだ?」

「ええっと、それは」


 いいにくそうにする梨奈は、少し悩んでから理由を口にした。


「その、『デートを邪魔しちゃ悪いから』って勝手に……」

「な、なるほどな」


 デート。デートか。梨奈と?こんな可愛い子と?

 落ち着け俺。素数を数えるんだ。


 俺は落ち着こうとせわしなく目を動かし、その結果赤面した梨奈と目が合って

 あっけなく爆発した。赤面したまま見つめあう俺と梨奈。


「お兄ちゃん、何やってるの」

「お、おう。よし。帰ろう、二人とも」


 俺がその日、帰り道で恥ずかしくて梨奈の顔を見られなかったのは、内緒である。


書き終えた……これで今夜も……くつろいで熟睡できるな

次回は遊園地に行くかもしれない……


いつも読んでいただきありがとうございます!

たくさんのブックマークや評価をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

更新していくので、これからもよろしくおねがいします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ