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おとぎ話の悪役令嬢は罪滅ぼしに忙しい  作者: 石狩なべ
三章:雪の姫はワルツを踊る
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第5話 お友達計画(2)


「疲労による風邪、とかなんとかだろうな」


 白衣を着る男がニクスの頭を撫でた。


「この子の保護者とかは?」


 あたしが手を上げた。男が顔をしかめた。


「この子の名前とかは?」

「ニクス・サルジュ・ネージュ」

「君とかは?」

「テリー・ベックスと申します。ドクター」

「残念。僕はドクターとかなんとかじゃない」


 男はそう言って、あたしの隣を見た。


「リトルルビィ、点滴を変えることとか、なんとか出来るかい?」

「うん!」

「そうかい。なら、片付けとかなんとか、頼めるかい?」

「はい!」

「これくらいなら、とかなんとか、まあ、寝とけば時期に良くなる。あと、栄養とかなんとかを摂るように、とかなんとか、まあ、伝えて」

「わかった!」

「僕はこれで用済みとか、なんとかかな?」

「ありがとう! 助手さん!」

「どういたしまして、とかなんとか」


 助手、と呼ばれた男が立ち上がり、コートを着る。


「そうだ。リトルルビィ、頼まれてたやつとかを、キッチンとかなんとかに、積んでおいたよ。あの樽とかなんとかね」

「わあ! ありがとう!」

「一ヶ月とかなんとかは持つと思う。だから、そうだな。同じ頃とかに、また、まあ、なんとか連絡を」

「助手さん、色々とありがとう!」

「いいんだよ。これが仕事とかなんとかだから」


 男が帽子を被り、リトルルビィの家から出て行った。


(医者じゃないのに、点滴器具を持ってるわけ…?)


 リトルルビィが男を見送り、扉を閉める。あたしに振り向いた。


「テリー、その子、大丈夫?」

「ちゃんと寝てる。呼吸も正常。助かったわ。リトルルビィ」


 偶然歩いていたリトルルビィがいなかったら、今頃あたしは自力で馬車を捕まえて病院までニクスを届けているところだった。


(ただ)


 ニクスは異常なほど病院を嫌がっていた。こんな状態だというのに。


(貧乏な家の子供って、親の迷惑になりたくないとか健気な事を思うものね。多分、そういうことかしら)


 最近眠そうにしていたし、あの男が言うように、疲れが溜まっていたのだろう。


(お疲れ様。坊や)


 そっとニクスの額を撫でる。リトルルビィがあたしの隣の椅子に座った。


「その子、テリーの知り合い?」

「ええ。友達よ」

「え」


 リトルルビィが目を見開いた。


「え?」


 リトルルビィが椅子から転げ落ちた。


「え…? 待って…? テリー、今、友達って言った…?」


 リトルルビィが涙ぐんで、そっとハンカチを目頭に押し付けた。


「なんだ…! テリーって、ちゃんとお友達がいたのね!! よかった!!」

「弁解の猶予をあげるわ。あんただから特別よ。誰に聞いた」

「キッドが、テリーは友達がいない可哀想な奴だから、優しくしてあげてって!」

「正直に言ってくれてありがとう。リトルルビィ」


(あたしにだって友達くらいいるわ!!)


 キッドの野郎許さない…! よくも小さなリトルルビィに変なこと吹き込みやがって!


(今度会ったらパンの生地にしてくれるわ!!)


「………ん」


 ぴくりと、ニクスの指が動いた。あたしとリトルルビィの目がニクスに向けられた。ニクスの瞼がゆっくりと開けられる。


「……あれ、ここ…どこ……」

「ニクス」


 あたしは顔を覗かせる。


「おはよう」

「やあ、テリー…」


 ぼーっとした黒い目と、目が合う。


「ああ、そういえば、テリー、今日はポニーテールなんだね。すごく似合ってる。可愛いよ」

「ええ。ありがとう」

「あの、私も思ってた!」


 リトルルビィが大きく頷く。


「すっごく可愛い! テリー! 大好き!!」

「はいはい」


 リトルルビィをなだめて、もう一度ニクスを見下ろす。


「気分は?」

「…異常現象でもあったのかな…? いつも以上に重力を感じるんだ…」

「風邪だって」

「風邪?」

「そうよ。寝てれば治るみたい」

「そっか。じゃあ、寝てないとね…」


 ニクスがぼうっとする。ふと、ちらりと、リトルルビィを見る。


「テリーの妹さん…?」

「ううん。妹じゃないの」


 リトルルビィが首を振り、あたしの腕に腕を絡ませ、寄り添った。


「運命の人なの!」

「はいはい」

「ふふっ。テリーの運命の人は、小さくて可愛い女の子なんだね…」

「ニクス、妹の友達のルビィよ」

「よろしく。ルビィ」

「リトルルビィ、友達のニクスよ」

「こんにちは!」


 リトルルビィとニクスが握手した。ニクスから手を離す。


「風邪を移しちゃうね。ごめん」

「大丈夫! 私、そういうの強いから!」

「ふふっ。小さいけど、心は大きいんだね」

「そうなの。私ね、中身は大きいけど、外見が小さいから、リトルルビィって呼ばれてるの!」

「そうなんだ。それって、僕も呼んでいいの?」

「もちろん!」

「じゃあ、呼ばせてもらうね。リトルルビィ」


 ニクスが溜まった息を吐く。


「ああ、喋ったら怠さが無くなってきた。僕、帰るよ」

「ちょっと、ニクス、駄目」


 起き上がろうとしたニクスを押さえる。


「ここで休んで」

「ここどこ?」

「リトルルビィの家」

「うん! 私の家!」


 リトルルビィが笑顔で頷いた。


「借りてるの!」

「とてもいい部屋だね…」


 ニクスがリトルルビィにぼうっと微笑み、あたしに目を向けた。


「でも、移したら悪いから…」

「ニクス、帰るなら無理矢理でも病院に連れて行くわよ」

「それは………駄目」

「じゃあ休んで」

「…分かった。そうする」


 ニクスがあたしに弱々しく笑った。


「ありがとう…。テリー…」

「夕方頃、また起こすわ。だから、それまで休んでて」


 それと、


「ニクス、用事は大丈夫?」

「うーん…。どうだろう…?」


 ニクスがぼうっとしながら考える。


「でも、大丈夫じゃないかな…」


 ニクスが呟く。


「昨日、何ともなかったし…」


 ニクスの瞼が下りていく。


「今朝も、大丈夫だったから…」


 ニクスが呟く。


「あとは…ぼくが…とど…け…て……」


 ニクスが息を吸って、吐いて、ゆっくりと、呼吸を始める。

 眠ったようだ。

 だが、顔色は良くない。しんどそうだ。こんな状態で帰ろうとするなんて、正気じゃ無い。


「……ああ、心臓に悪い」


 一言呟くと、リトルルビィがあたしを見た。


「大丈夫。点滴で熱はだいぶ治まるって、助手さんも言ってたから!」

「あの人、信用できる人?」

「うん! 大丈夫!」


 リトルルビィが立ち上がった。


「テリー、夕方までいるの?」

「いてもいい?」

「もちろん! 紅茶でも飲む?」

「そうね。お願い出来る?」

「任せて!」


 リトルルビィが棚からティーパックを取り出す。


「安物だけどいい?」

「あんたの淹れるお茶なら、何だって飲めるわ」

「っ」


 リトルルビィが胸を押さえた。


「て、テリーが、私の淹れるお茶なら、飲めるって言ってくれた…!」


 それはつまり、


「一生、私の淹れるお茶を、飲みたいってこと…!?」


 きゅんきゅん! きゅんきゅん!


「テリー! いいのよ! 私、テリーのためなら、いつだって紅茶くらい淹れるんだから!!」


 淹れまくるんだから!!


「テリー!」


 リトルルビィがテーブルに寝そべった。


「る、ルビィっていう紅茶も…飲んで…いいのよ…?」

「こら。お下品な事しないの。テーブルから下りなさい」


 リトルルビィを抱っこしてテーブルから下ろす。


「どっこいしょ」

「きゃ!」

「変な声出さないの」

「テリーに抱っこされちゃった!」


 どきどきどきどき!


「テリー、もう一回抱っこして!」

「リトルルビィ、紅茶を」

「はーい!」


 あたしが椅子に座り、足を組むと、リトルルビィが紅茶をあたしの前に置いた。


「ミルクティーです!」

「結構」


 仕事し終えたティーパックを取り出す。


「砂糖」

「はい!」


 リトルルビィが砂糖を持ってくる。受け取って、入れて、混ぜる。


「ミルク」

「はい!」


 リトルルビィがミルクを持ってくる。受け取って、入れて、混ぜる。


「結構」


 飲む。肩が揺れる。


(熱い!!!!!)


 表情を変えず、テーブルにティーカップを置く。


「悪くないわ。でも、あたしの可愛い舌が、まだ味わうタイミングじゃないと言ってるから、少し冷ますわね」

「テリーの舌って喋るの!? すごーい!」


 リトルルビィが拍手をした。


「リトルルビィ、ちょっとお願いなんだけど」

「うん? なあに?」

「ニクスが起きたらシャワーに入れてあげてもいい? お風呂に入れてないらしくて」

「うん。いいよ。大丈夫」

「そう。ありがとう。お礼に新しいシャンプーをプレゼントするわ」

「買ったばかりなの。だから大丈夫よ」


 それに、


「あの子、ちょっと前の私に似てる」


 リトルルビィがニクスを見て、薄く微笑んだ。


「ホームレス、では、ないのよね?」

「ちゃんと働いてるわ」


 ただ、


「そうね。近いものかもしれないわね」

「でも、家に帰るって言ってたから、お家はあるのかも」

「父親がいるはずよ」

「そっか。なら安心ね」


 リトルルビィがこくこくと頷く。


「私も、お兄ちゃんがいたから生きてこれた」


 呪いの飴を舐めるまでは。


「お風呂も入れなかったけど、幸せだった」


 お風呂くらい、構わない。


「似てる境遇の人を手助けできるなら、いつだって助けになる」


 キッドも言ってた。


「罪を償うためにも、人を助けろって」

「無理はしちゃ駄目よ」

「ふふっ。無理なんてしてない。楽しいよ。テリー。お仕事って大変だけど、すごく楽しいの」


 リトルルビィが紅茶を飲んだ。


「お紅茶美味しい?」

「もう飲めるかも」


 あたしはもう一度飲んでみる。今度はすっと喉まで通った。


「うん。悪くない」

「本当?」

「今度メニーにも淹れてあげて」

「うん。また一緒に遊びたいな」


 あたしとリトルルビィが紅茶を飲む。ティーカップから口を離す。


「そうだ」


 一緒に遊ぶと言えば、


「あの後、どうしたの?」

「あの後って?」

「スケートの後」

「あー」


 リトルルビィが眉をへこませて、顔を引き攣らせた。


「テリー、その…」

「キッドに口止めされてる?」

「うん…」


 申し訳なさそうにリトルルビィが頷く。


「ごめんね」

「いいのよ。地震の原因なんて、どうせただの自然現象よ。キッドがどんな調査したって結果は目に見えてる」


 どうせ雪が溶けたら収まる、ただの自然現象。


「そういえば、昨日揺れたわね」

「うん」

「怪我無かった?」

「私は大丈夫。テリーは?」

「あたしも大丈夫」

「そう。なら良かった」


 リトルルビィがティーカップを持った。


「詳しい事は言えないけど、キッドがちゃんと調査してくれてるから、そのうち地震も収まると思う」

「だといいわね」

「一応、それまで用心だけしてね。メニーにも伝えてもらっていい?」

「言っておく」

「ありがとう!」


 去年とは比べ物にならないほどしっかり成長しているリトルルビィが、紅茶を飲んだ。


「はあ。冬の紅茶って好き。美味しいし、体もあったまるんだもん」


 あ、そうだ。


「テリー、紅茶以外にもあったまる方法があるんだよ」

「ん?」

「あのね!」


 リトルルビィが立ち上がり、あたしの隣に椅子を置いた。それに座って、あたしの肩に頭を乗せて、体をぴったりくっつけて、寄り添った。


「こうするの!」

「暖炉の近くに行った方が早いんじゃない?」

「キッドが言ってた! 肌と肌が触れ合うと、暖まるんだって!」

「あいつあんたになんてこと教えてるの! 許さない! 破廉恥よ! お下品よ! そんなはしたないこと忘れなさい!」

「テリー、あったかい…」


 リトルルビィが寄り添い、でれんと頬を緩ませる。


「えへへへ…テリー…あったかい…あったかい…」

「なんてこと…! くそ…! キッドの奴め! よくもあたしの可愛いルビィにえっちなことを教えやがって…!」


 リトルルビィの頭をなでなでなでなでと撫でる。


「絶対許さない!」

「でへへへぇ…テリー…テリー…」


 リトルルビィが頭を撫でるあたしの手にでれんと笑みを浮かべていた。










 そっと、ニクスが目を覚ます。


 地震という単語が聞こえて、目が覚めた。


 しかし、今は揺れていない。


 今はまだ安全だ。


 まだ大丈夫だろう。


 夜までに戻れば、大丈夫だろう。


 ニクスが目を閉じて、再び眠りについた。











(*'ω'*)




 18時。





「お風呂に美味しいご飯まで、ありがとう。リトルルビィ」

「とんでもない! これくらい、いつでも!」


 リトルルビィが手を振った。


「じゃあね、ニクス!」

「本当にありがとう」

「テリーもまた!」

「埋め合わせするわ」


 リトルルビィの家の扉を閉める。ニクスに振り返る。


「送っていく」

「ううん。一人で帰れる。もう暗いし」

「じゃあ、馬車を使って。うちの馬車が広場で待ってるから」


 リトルルビィの家の電話を借りて、ロイを呼んでおいた。


「このまま別れるのは心配なの。ね、ニクス。お願い」

「分かったよ。じゃあ、送ってくれる?」

「ええ」


 ニクスと広場に向かって歩き出す。


「テリー、ありがとう」

「いいのよ」

「テリーには、してもらってばかり」

「いいってば」

「どうお礼していいか分からない。お金もないし」

「ニクス、お礼なら一つだけよ」

「何?」

「友達になって」


 ニクスがあたしを見る。あたしがニクスを見る。あたしがニクスに微笑む。


「ね。それがお礼」

「友達になっても、テリーが損するだけだよ」

「損なんてしない。あたし、楽しかったわ」

「今日だって、せっかくのデートが出来なかった」

「一緒に居られたじゃない」

「僕は寝てただけだった」

「だとしても、一緒の空間に居られた」

「風邪が移ったかも」

「平気よ。予防接種打ったもん」

「ふふ。テリーってやっぱり変」

「そう?」

「ねえ、僕と友達になって、どうするの?」

「そうね。毎日美味しいパンを教えてもらう」

「そんなの、いつだって教えるよ」

「ね、どう?」


 ニクスの手を握る。


「ニクス、友達になってくれる?」

「僕が断ると思ってるの?」

「また時代が許してくれないとか、言い出しそう」

「テリー、僕だってテリーといると、すごく楽しいんだ」


 たとえ身分が違うとしても、


「君と友達になれたら、最高だろうね」

「なら、なってよ」

「いいの?」

「ええ」


 頷く。


「友達になろう。ニクス」

「テリー、本当にいいの? 僕が君の友達になっても」

「どうして? 一緒にいて楽しいならいいじゃない」

「だって」


 ニクスがマフラーで口を隠した。


「テリーはすごく綺麗な子だ。可愛いし、お金持ちで、お嬢様。僕なんかと釣り合わない」

「別に婚約者になってって頼んでるわけじゃないのよ」

「ふふ。確かにそうだ」


 ニクスがあたしの手を握り返す。


「テリー、訊いてもいい?」

「何?」

「僕の友達になってくれる?」

「もちろんよ。ニクス」

「ふふ。やった」

「ニクス、あたしも訊いてもいい?」

「何?」


 あたしは笑みを浮かべる。


「あたしの友達になってくれる?」

「もちろんだよ」


 ニクスが頷く。


「これで友達だね」

「ね、体調が良くなって、時間がある日、また遊んでくれる?」

「時間が空いたらね」

「今度こそランチを奢るわ。ニクスは栄養が足りてないって」

「しょうがないよ。家が貧乏なんだもん。本当、紹介所があって良かった」

「え、紹介所?」

「うん。仕事案内紹介所。あそこが今の仕事を紹介してくれたんだ。本当に良かった」

「…へえ。そうだったのね」

「うん」


 二人で雪道を踏んで歩く。


「僕ね、お父さんがいるんだ。お母さんはもういないけど、お父さんが僕の面倒を見てくれてて、生活も、ずっとお父さんが無理して働いてくれて、何とかなってた」

「そう」

「でも、今なら手助けができる。お給料が入れば、生活はだいぶマシになる。あのね、売れ残ったパンとか、社員の人が分けてくれるんだ。だから、そういう日は、ご飯に困らない」

「大変ね」

「うん。でも慣れっこさ。昔からそういう生活だから」


 雪がゆっくり降ってくる。外はどんどん冷えていく。


「だから、友達なんて、出来たことなかった」

「皆、僕に近づかない」

「貧乏で」

「ぼろぼろで」

「不幸が移るって」

「だからテリーが不思議なんだ」

「僕なんかに親切にしてくれて」


 あたしとニクスから白い息が吐き出される。


「最初に助けてくれたのは、ニクスでしょ」

「でも、あれで終わりだと思ったんだ」

「あの時、身分が違うから、走っていっちゃったの?」

「そうだよ。怒られるって思ったんだ。金貨は口止め料だって」

「ニクス、生活が大変なら、あたし」

「テリー、これは僕とお父さんの問題だから、心配はいらないよ」


 君はもう友達だ。


「僕が困ってたら、話を聞いて。相談に乗ってほしいな」


 それと、


「ね、僕と遊んでくれる?」

「どこで?」

「そうだな。考えておくよ」

「あたしも遊びたいわ。ニクス」

「雪だるまでも作ってみる?」


 あたしは目を見開く。ニクスに顔を向ける。そして、ゆっくりと、笑顔のニクスに訊く。


「作れるの?」

「二人でやれば、大きいのが出来ると思うよ」


 あたしは慎重に答える。


「あたし、雪だるま作ったことない」

「え?」

「お下品だからやめなさいって、ママが言うから」

「そっか、じゃあ」

「でもいいわ」


 あたしは頷く。


「作り方教えて」

「うん。いいよ」


 ニクスが笑って、頷く。


「二人で、大きいの作ろう」


 そんな会話をして、二人で笑う。手を握って、離れないように歩く。


 広場には、馬車が待っていた。














「テリー」







 ドロシーが、微笑むあたしを、不思議そうに見つめた。

 ドロシーが、にこにこするあたしに、眉をひそめた。

 ドロシーが、口角を上げて素敵な笑顔のあたしを、じっと観察した。


「そうか。色々あったんだね」

「メニーもアメリアヌも、心配してた。本当に」

「そうか。友達か」

「へえ、そうか」

「それで、テリー」

「これは僕の違和感だ」

「今、君の話を聞いた違和感」

「別にそんな事ないなら、そんな事ないと言ってくれて構わない」

「『友達になろう。ニクス』」

「へーえ、君、優しくなったね。こんな事を言えるようになったんだね」

「『ね、体調が良くなって、時間がある日、また遊んでくれる?』」

「へーえ、君、甘え上手になったね。そんなにニクスが好きなんだ」

「でさ、その、なんだっけ?」

「約束だっけ?」

「破られたんだっけ?」

「約束を破った友達に再会したんだ?」

「うん」

「テリー」

「それでさ」

「君」

「ふふっ。すごい笑顔」

「にっこにこだね!」

「すごい! 上機嫌テリーちゃんだ!」

「見たことない笑顔だ!」

「へへ。そんでさ、その」

「約束を思い切りすっぽかされた」

「そのお友達を、許して」

「そんな優しい事を、君、言えるようになったのかい?」









「んぬぁわけあるかあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」




 手に持っていた本を壁に全力で投げつけ、壁に本がぶつかる前に、ドロシーがすさまじい悲鳴をあげて慌てて机の下に隠れる。壁に投げられた本は弾かれ、地面にばさりと音を立てた落ちた。


 肩で息をするあたし。興奮するあたし。怒りで震える体。ぎりっと、血走る目で壁を睨みつけ、


「誰が誰を許したってぇ…?」


 はっ! と笑ってみせる。


「あたしを誰だと思ってるの? テリーよ。テリー・ベックスよ? 気高いベックス家の次女よ? そのあたしが、暇つぶしにあの貧困貧相貧乏人と仲良しこよしで遊んであげてた時期が確かにあるわ。そりゃ当時は? 仲良かったかもしれないわよ? 家は荒れてたし? 家にいてもつまらなかったし? メニーを虐める事しか生き甲斐がなかったし? だから街に出て暇をつぶしていたのよ。このあたしが。その暇の相手をさせてあげたのよ。あの、ニクス・サルジュ・ネージュに。でもね、あいつ、このあたしと、こんな素敵なあたしと、約束して、約束をしておいて、このテリーと約束をして、それを、破った挙句、二度と、あたしの、前に、姿を、現す、事が、無かった!!」


 これを、


「どう許せって言うのよーーーーーーーー!!!!!!」


 また本を壁に投げつける。ドロシーが悲鳴をあげて、帽子を首上まで被って隠れる。再び本が壁に弾いて、落ちた。


「あたしは被害者よ!! 裏切られたのよ! 庶民に! 市民に! 一般人に! 貧乏人に!! 貴族令嬢であるこのあたしが!! プライドはズタズタになって、惨めになって、信じたあたしが馬鹿だと思った! 思い出したわ! そうよ! だからよ! あいつがトラウマを作ったのよ! あいつを友達だと思ってたあたしが馬鹿だったのよ! だから忘れることにしたんじゃない!! ねえ、ドロシー!? あたし、優しいでしょう!? ええ! 目の前に現れなかったから仕返しも出来なかった! そうだった! だから忘れることにしたのに、」


 この世界で現れやがった。二度目の世界で。もう一度あたしと出会いやがった。

 怒りの拳を握りしめる。


「何のために今まで毎日パン屋に行って彼と仲良くしたと思ってるの? 友達になろうと迫ったと思うの? このテリーがただ、仲良くするためだけに通っていたとでも!?」


 はっ!!


「笑わせてくれる!!」


 拾った本を本棚に投げるようにしまう。


「これからのプランに移るわ!」


 テリーちゃん、お友達計画! ニクス君とお友達になろう!


 別名、


 テリーちゃん、ニクス君とお友達になって復讐しよう計画。


「これからはちょっと遅めのピーク時の12時に行ってやる! 友達だもの! だからあいつに声をかければ、あいつは嫌でも、仕事の途中でも、眠くても、どんな状況でも、友達であり、客でもあるあたしの相手をしなければいけなくなる!! どんどん仕事は溜まる! レジに並ぶ客も増える!! 客を放置して怒るのは客よ!! でもあたしのことも放置出来ない! だって? 初めてのお友達なんだもの! でも? 他の客も放置できない! …この期間で店を観察してきた。店員の数も圧倒的に少ない。人手不足。だから店を回せない。そうなればどうなる?」


 そうよー。ニクスは困るのよー。


「今後これから何度もニクスの困った顔を拝めるのね! ふふふっ! 馬鹿め!! これから地獄を見せてやる! 職場で怒られて叱られて苦しめばいいのよ! あの雪のような可愛いお顔を見ただけで虫唾が走るわ! イライラするわ! はらわたが煮えくり返るわ! 腹が立つわ! 癪に障るわ! 癇癪が起きるわ! ヒステリーになるわ! ヒステリックになるわ! ムッカムカが止まらん! 下らん! 収まらん!! もっと苦しめ裏切者の嘘つきめ!! このテリーに恨まれたら最後、ラスト最後の最後ラストまでとことん追い詰めて苦しめて泣かせて痛めつけてやるんだから!! ほっほっほっほ!」


 順調な計画の経過に、気持ちよく笑う。


「おーーーほっほっほっほっほっほっ!!!!」


 手を添えて、大きく高らかに笑うと、ドロシーがうんざりした顔で机の下から出てくる。暗い低い、憂鬱そうな声で唸り、ため息をついた。


「そんな事だろうと思った…。だからさあ…、君のそういうところだよ…。いいじゃないか。別に。たった一回、約束破られたくらいで、くだらない…」

「あのね!!」


 あたしはドロシーにびしっ! と指を差した。


「あたしは、あいつがどうしてもその日に見せたいものがあるって言うから、ずっと待ってたのよ! この寒い季節の中、寒空の下で、寒風に当たりながら、寒気に耐えながら、ニクスを待って三千里! 結局あいつは来なかった! おかげで次の日にインフルエンザにかかって屋敷から出られなくなって行くはずだった旅行にも行けなくなった! 全部、全部あいつのせいよ!! メニーの件に関しては、確かにあたしも加担してたから自業自得と言われて納得できるわ! でもね! でも!! ニクスとの事は、あいつが最初から最後までファーストからラストまで全部全部悪いのよ!! あたしは悪くないもの! 先に裏切ったのはあいつじゃない!!」

「君ってさ、時に純粋だよね。そして時に物凄く素直だよね…」

「何よ、その目。その哀れんだ目」


 ぎろりと、またドロシーを睨みつける。


「やめてよ! あたしはね! 今、物凄く! 腹が立ってるのよ!!」


 顔を押さえて呆れるドロシーにカンカンになって怒ると、ドロシーが顔をしかめさせて、とんがり帽子をくい、と上に上げた。

 視線をあたしに向けて、眉をひそめる。


「引き続き罪滅ぼし活動が必要なようだね。このままだと君、またメニーに八つ当たりをしそうだ」

「何よ。この世界では、あたしすっごく優しいじゃない。甘々ないいお姉様を演じてるでしょ! キッドと出かけた時だって、スケートも、メニーの相手も、とても、めちゃくちゃ、どちゃくそ、なまら、すごく、頑張ったんだから!」


 ああ、思い出しただけでムカムカしてきた! 背筋もぞわぞわぞわぁ!


「キッドの野郎…! 何が離れがたい俺のプリンセスよ…! べたべた触ってきやがって…! いつ誰があんたのものになったってのよ…! メニーはなんで人参食べないのよ…! リトルルビィはなんであんなにスケートが上手いのよ…! キッドから余計なこと聞いて鵜呑みにしてるし、本当、純粋なんだから! あたしがいないとリトルルビィが不正に走るわ! ああ、むかつく!! キッドの野郎! 腹立つ!! 生理は終わったって言うのに!! これもそれもあれもどれも、全部メニーのせいだ!! 全部メニーが悪いのよ!!」

「今日もキレてるね、うん。すごいよ。テリーのめちゃくちゃで理不尽な罵詈雑言は今日もキレてて君もキレてるね」


 深く感心するドロシーに背を向け、ふしゅーーと呼吸を整える。少しでも冷静にならないと、頭の中の恨みと憎しみとイライラが止まらない。

 こめかみを指で押さえ、ぐっと歯をくいしばった。


「ニクスにパン屋で会った時に、あたし、すぐにひらめいたのよ。ここで働いてるならチャンスだって思った途端に、この素晴らしい復讐計画が頭によぎったの。計画を一から百まで考えたら人間は行動あるのみよ。レディ、ゴーよ。お陰でニクスとお友達様になるまで持っていけた。ああ、なんてこと。あたし、なんて天才なの。素晴らしすぎる。いいこと。ドロシー、これからあたしの事を、天才策略家テリーちゃんとお呼びなさい」

「天才策略家テリーちゃん、ニクスについて質問いいかな?」

「どうぞ」


 ドロシーが暖炉の近くの椅子に座り、あたしと向かい合う。


「そのニクスって子はさ、テリーをどんな風に思ってる子だったの? 君にも分かるくらいに、君のような貴族を小馬鹿にしてる感じ?」

「ふんっ! あいつは人を小馬鹿にする度胸なんか持ってないわよ!」


 度胸なんてない。


「あいつは」


 ニクスは、


「静かな子よ」


 いつだって、静かだった。


「あたしとは違って、気が弱くて」

「あたしとは違って、優しくて」

「あたしとは違って、気遣いが出来て」

「あたしとは違って、大人しくて」

「あたしとは違って、日陰のようで」

「あたしとは違って、影が薄くて」

「あたしとは違って、少し無邪気で」

「あたしとは違って、口が堅くて」

「あたしとは違って、隠し事が多くて」

「あたしとは違って、すごく家族思いだった」


 ドロシーが首を傾げる。


「ニクスは、悪い子?」


 訊かれて、首を振った。


「真面目すぎる。誠実すぎる。優しすぎる。とても約束を破るなんて考えられない子」


 だから、トラウマとなった。ニクスを記憶から抹消するほど。


「それは、今でも変わらない?」

「どうかしらね。可愛い顔して、あたしをまた騙そうとしてるのかも」

「何かあったんじゃないの? 事故とかさ」

「残念ね。ドロシー、あたしもそう思って、当時調べたのよ。同じように誘拐されたのかもしれないと思ってね」


 あたしの顔はどんどん険しくなる。


「でもね、そんなものは無かった。事故も誘拐もなかった。事件は何も無かった。あるとしたら地震だけ。地震が多くなっただけ。それだけよ!」

「地震の時に亡くなったとか」

「地震で亡くなる? どうやって? 土砂崩れだって何も無かったのよ?」


 うーん、とドロシーが考え出す。


「でも、それはちょっと引っ掛かるね」

「引っ掛かるって?」

「地震。今も多いだろ」

「何よ! どいつもこいつも! 地震なんて、ただの自然現象じゃない!」

「………もしさ」


 ドロシーが、真面目な顔であたしに訊いた。


「もし本当に巨人がいたとして、以前のミス・クロシェの時の事件同様、犯人の巨人にニクスが何かされてた、とかっていうのは、無いのかな?」


 ――――――あたしは黙った。


 急に、その言葉を聞いて、頭の中が静かに、無音に、冷静になった。すると、ドロシーが慌てて否定する。


「ちょ、本気にしないでよ! もしもの話だよ!」

「………死体が見つかれば、新聞に載るわ」


 でも、


「ええ、確かに、新聞なんて見てなかった。あの当時。興味もなかったし」

「なら、やることは一つ」


 復讐計画じゃない。


「調べてみたら?」

「…ニクスの事を?」

「この世界では、ニクスはまだテリーの目の前にいて、テリーとニクスはお友達様。ほら、材料は揃ってる」

「でも、いろんなところが違う。あたしの家は荒れてないし、メニーは使用人になってない。ニクスもパン屋でなんて働けてないし、リトルルビィもキッドも生きてる。一度目と環境が全然違う。どう調べろっての?」

「環境が違うから何? また約束をするまでを、再現するといいだけの話じゃないか」

「再現…?」


 訊き返すと、ドロシーが頷く。


「原因が分かれば、君はその子に対する恨みは少なくとも小さくなる。真面目で誠実で優しい貧乏な子。そんな子が、何もないのにテリーとの約束を破るって言うのかい?」

「…現に、破ったわ」

「その後、どこにもいなかった」

「ええ」

「夜逃げとか」

「夜逃げ…」


 ああ、


「一度目の世界で、父親の手伝いをしてるって聞いたことある。この世界では一緒に苦しい生活をしてるって。そうね。父親は関係してるかも。大きな借金抱えてるとか」

「ニクスのお父さんは見た事あるの?」

「無い。会った事だって無い」

「調べてみたら、何か分かるかも。夜逃げならしょうがないよ。相手にも悪気は無いし」

「もし違ったら?」

「理由によって考えればいいさ」


 さて、


「テリー?」


 ドロシーが星のついた杖を振ってみせる。


「今回のミッションは決まったかい?」

「本気でやるの?」

「そうだよ。罪滅ぼし活動だ」

「呆れる。罪滅ぼし活動には何も関係ないじゃない」

「へえ。そう思う?」

「ニクスとあたしの問題よ。あたしが罪を償う相手はメニーでしょ。あのね、ドロシー、あたし、今回はメニーに何もしてないの」

「メニーに、何もしてない?」

「そうよ」


 ドロシーがちらっと、あたしを見た。


「本当にそう思ってる?」

「何よ。あたしがその事で何の罪を犯したって言うのよ」

「テリーは12歳。メニーは10歳になった頃か」


 ドロシーが突然、満面の笑顔を浮かべた。


「酷かったらしいね」


 僕は全部聞いてるよ。


「さーあ? 天才策略家テリーちゅわーん? 自分がメニーちゃんへした事を、覚えてるかなー?」


 ドロシーがゆっくりと立ち上がる。あたしはドロシーを睨む。


「寒い冬に、地下室に、閉じ込めてー?」


 あたしははっとした。


「屋根裏部屋に、閉じ込めてー?」


 あたしはドロシーから視線を逸らした。


「お腹の空いたメニーの前でー?」


 美味しく、美味しく、暖かいパンを食べたんだっけーーー?


「メニーが言ってたよ。理由は知らないけど、当時のテリーからの扱いが一時的に悪化した。虐めに虐め抜かれた。きっと何かあったんだろうけど、とりあえず、お腹が空いていた時に、テリーがこれ見よがしに目の前で食べていたパン。あれほど美味しそうだと思ったパンは無い。だから満足なくらい食べられる環境がとても幸せだって」

「……………………」

「で、テリー、なんだっけ?」


 何の罪を犯した、だっけ?


「さあ、復讐じゃなくて、復習の時間だ。テリーちゃん」


 ドロシーがにんまりと、笑って、あたしに顔を近づけた。


「君は、何の罪を犯したんだっけーーーー?」

「…………………」

「そうだよねぇ。そうだよねえ。僕、君の話を聞いてて、全部つじつまがあって、理解出来たよ。天才策略家テリーちゃーん」


 ニクスだ。

 君はニクスへの恨みをメニーで発散しやがったんだ。


「罪滅ぼし活動と、何が関係無いんだい?」


 メニーへ酷く当たった。


「死刑判決が下された」


 君の罪が死刑へと繋がった。


「ねえ、テリー、もしもの話だ。ニクスが約束を破らずに、そのまま君の傍にいて、君の心の支えになっていたとしよう」


 君は、妹だと思っていたメニーをそこまで酷く虐めていたかな?


「愛っていうのはさ、満たされたら自然と悪い事をしなくなっていくものさ。テリーは、枯れていた。誰からも満足に与えられなかったから」


 僕はこう思うんだ。


「ニクスがいたら、君はある程度成長した後、身分も家族も屋敷も全部捨てて、ニクスと共にいたんじゃないかな」


 ニクスは君に満足なくらいの愛を与えてくれる唯一の存在だったから。


「そして、メニーを使って心のもやを発散する事も無かった」


 罪は重なる事無く、死刑にもならなかった。


「さあ、テリー? ここまで復習したら、予習の範囲がもう理解出来たはずだ」


 あたしは黙る。


「そんな顔しない」


 あたしは舌打ちをする。


「舌打ちしない」


 あたしは親指の爪を噛んだ。


「君は親指の爪を噛むのが好きだね」


 歯を食いしばり、爪から口を離して、ふう、と呼吸して、顔を上げる。

 ドロシーを見る。ドロシーはあたしに笑顔を向ける。


「さあ、ミッションは?」

「『ニクスが約束を破った原因を突き止める』」

「では、テリー」


 くるんと杖を一振り。


「復唱!」

「愛し愛する。さすれば君は救われる」

「素晴らしい!」


 ドロシーが拍手をするが、あたしはため息をする。


「何が素晴らしいよ。あのね、ドロシー、訂正しておくわ。あたしはメニーが嫌いだから地下室にも屋根裏部屋にも閉じ込めてからかってやったの。あいつの絶望した面白い顔が見たくて。そして、ニクスとは、暇つぶしに遊んでただけ。本当に愛も恋も何も無い。メニーに八つ当たりも存在しない」


 ただ、一緒にいただけ。

 それを、ニクスが裏切った。

 あたしは傷つけられた。

 だからニクスが悪い。

 簡単な計算式だ。


「何が愛し愛するよ…。あたしは許さないわよ…。…絶対に許さない…」

「テリーってさ、本当に純粋だよね。感受性が高いと言うか」

「は? なんのことよ」

「メニーの時と一緒じゃないか」


 顔をしかめる。ドロシーは苦く笑ってる。


「大切な友達だと思っていた子に、たった一回の約束を破られて、その後も姿を現さなかったから、すごく怒ってる。テリー、君は本当に見てて面白くなるくらい純粋だよ」


 僕でも分かるくらいさ。




「本当に大好きだったんだね。ニクスの事」





 ―――――――大好きじゃない。




「暇つぶしよ」


 ただの暇つぶし。


「ただの遊び相手」


 それだけ。


 それだけの存在よ。ニクスなんて。


 名前も忘れるような、どうでもいい存在よ。




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