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108話 四天王、大苦戦!

『KIIIIIIIIIIILLLLLLLL!!!!!』


 ヲキシが水魔法を使い、陸上に大津波を生み出した。

 俺ことリージョンはゲートを開き、津波から部下たちを守る。津波はゲートをくぐって、火山の火口へ放り込まれた。

 爆発する前にゲートを閉じる。するとヲキシは背後に回り、槍を突き出してきた。


「遅い」


 再びゲートを開き、槍を回避する。俺に触れるなど、お前にはできない。空間を操る力を持った俺に、物理的な攻撃など通用しないんだ。

 ヲキシが距離を取るも、それも無駄。俺に距離の概念などない。

 ヲキシの前にゲートを開いて、火炎弾を撃ち出す。火口に直接ゲートを開き、マグマを落下させているんだ。

 マグマが直撃し、ヲキシが蒸発する。通常の生物ならこれで死ぬのだが……。


『KILLKILLKILLKILLLLLLLLLL!!!!』


 ヲキシはまたしても俺の背後に回り込み、槍による攻撃に切り替える。復活したヲキシに部下たちは驚愕していた。

 別に驚くことじゃないさ、あれしきで倒せるとは思っていない。

 能力で部下たちを落ち着け、ヲキシを睨む。すると奴は体を水に変化させ、渦潮の棘を作って俺に飛ばしてきた。

 ゲートで全部回避すると、水の棘が一つに集まり、ヲキシを形作る。さらに腕を水に変え、強烈な水の刃を振るってきた。


「むぅっ」


 ゲートを開いて対処したが、さばききれずに頬を切られた。水に変化すると素早さが増すな。

 四星龍の厄介なところだ。奴らは二つ名の自然物に変化する力がある。ヲキシは全身を水に変化させる力を持ったドラゴンなんだ。


 ゆえに、俺との相性がよくない。


 ゲートで体を切り落としても、水に変化されていなされてしまう。先程のようにマグマを当てても、水蒸気に変化するだけで有効打にならないのだ。

 はるか遠くに飛ばすという手もあるが、水蒸気にもなれる以上、大気中の水分と同化し、すぐさま戻ってくるだろう。水はそれだけ自由な存在だ。


「リージョン様、雷魔法で対抗しては!?」

「真水になって対処されるのがおちだ、魔力の無駄になるだけよ」


 水に電気が通るのは、溶けている物質が電気抵抗を低くしているから。本来真水は電気を通さぬ物なんだ。

 あいつに有効になるのは、感情を操る力だけだ。しかしそれをどう有効打に結び付けるか、まだ思いつかないな。


『KIIIIIIILLLLLLLLLLLLLL!!!』


 ヲキシは狂戦士の呪いでハイになっているのか、苛烈に攻めてくる。ゲートによる防御は魔力の消費が大きい……。

 このままでは、俺が先に押し切られてしまうな。どうしたものか。


  ◇◇◇


「やーんもぉ、時止めを使っても、時進めを使っても、なんの意味もなぁーい!」


 私ことメイライトぉ、絶賛いやんな気持ち中~。


『殺す殺す殺す潰して殺す殴って殺すすりおろして殺す殺す殺す殺す!』


 のっしのっしとズシンが迫ってくる。一歩歩くたびに凄い地震が起こって、空気が揺れちゃうわ。

 もう一度、ズシンの時間を止めてみる。ズシンの動きはぴたっと止まって、一見効果があるように見える。でも、


『殺す殺す殺す殺す殺すころすすすすすすす!!!!』


 全く別の所から新しいズシンが出てきて、私にハンマーを振ってくるのよぉ。

 ズシンは体が土に変化するドラゴンで、その性質上厄介な特性があるの。

 それは、触れている地面全てがズシンの影響下にある事。言ってみれば、大陸の大地全てがズシンになってるような物なの。


 その間、ズシンは本体を地面に隠して、土の分身で襲い掛かってきちゃうの。だからズシンを時止めで拘束するには、土に隠れている本体を見つけるしかないわ。

 大陸全土の時を止められればいいんだけど、私の時止めは狭い範囲にしか効果がない。

 時を進めて急激に老化させようとしても、それもできない。だって土は腐らないもの。

 体を土に変えてる間は、老化も止まっちゃうの。年を取らないんじゃ私の奥の手も効果がないわよぉ。


「むー、ホムンクルスちゃん、かもーん」


 創造の力で爆弾ホムンクルスを作って、地面に爆撃を仕掛けるけどぉ……地面深くに潜られてたらそんなの全然意味ないわよねぇ……。

 結局分身のハンマーで全員潰されちゃって、私に狙いがついちゃう。あーんもぉ、この子だいっきらい! ぷんぷん!


『ころぉぉぉぉぉぉぉぉぉす!』

「いやーん! シラヌイちゃん、ディックちゃん、助けてー!」


 空に逃げても地面を盛り上げて追いかけてくるしぃ、しつこいドラゴンもういやー!


  ◇◇◇


「……風か。我が光を体に通さぬ天敵だな」


 我ことソユーズに相対するビュンに、邪眼の閃光をあびせてみる。

 愚鈍なる敵なれば、我が破滅の刃にて駆除できるのだが、奴は体を風に変化させるドラゴンだ。


『滅ぼしてやる滅ぼしてやる滅ぼしてやるぅぅぅぅうおおおおお!!』


 いかに光を当てようと、風は焼けもしないし斬る事も叶わぬ。我が必殺の光の力が、まるで通用しないではないか。

 金属の力を使おうとも、実体を持たぬ風ではあまり効果が無い。さてどうした物かな……。


『滅べ滅べ滅べホロべぇぇぇぇぇああああああ!!!』

「……来るか」


 鎌を振り上げ、我が命を奪わんと襲い掛かってくる。疾風のごとき速さで振るう鎌は、あらゆる物を惨殺する死神だ。

 実体のない風をいかに封殺するべきか……我が力、金属と光を操る能力でいかに対処するべきだろうか。


「いかに風とて、弱点はあるはずだ……風の性質、我が力の特性……全てをまとめ、考えろ」


 自然は完璧ではない、我の力で必ず倒す事が出来る。……そう信じねば心が折れそうだ。

 会話が出来ないドラゴンめ……いや、会話できても我では交渉とかできないが……あ、それじゃあ結局会話できても意味ないか……。


「……下らぬことを考えている間は、余裕があるか」

『ほぉぉぉぉろべぇぇぇぇぇ!』


 ただその余裕もいつまで続くだろうかな……。


  ◇◇◇


「はぁ、はぁ……やっぱ厳しいわね、カノンの相手……!」


 私ことシラヌイは、炎獄龍カノンを前に防戦一方だった。

 奴は体を炎に変化させるドラゴンだ。だからいくら炎魔法を撃ったところで……。


『襲ってくるぞシラヌイ』

「わかってる! ええい、ファイアウォール!」


 いつものくせで炎の壁を展開し、迎え撃ってしまう。だけど相手は炎その物と言っていい。

 炎に炎をぶつけた所で、より激しく燃えるだけだ。


『ぐるぅあああああああっ!』


 炎の壁を吸収して、カノンが斧を振り下ろしてきた。あわてて避けて、どたばたと距離を取る。

 それですぐに幻術で私の幻を作って、狙いをそっちに移す。カノンは体を炎に変えて私の幻を攻撃し、激しい火災旋風を起こした。

 いくら魔石で魔力を上げていても、炎が相手じゃ攻撃しても意味がない。私にはあいつを倒す攻撃手段が無いのよ。

 ……唯一有効になるのは幻術くらいだけど……まだ使い方に慣れていないから、カノンにどう使えばいいのか思いつかないの。


『あああああがあああああああああああああああ!!!』

「ひゃわわわわっ!?」


 ひたすらに幻術を使ってカノンを遠ざけ、逃げ惑うしかできない。炎を従えるはずの私が、炎に弄ばれちゃうなんて……屈辱だわ。


 でも負けられない、って言うか、負けたくない。


 私はいつもディックに見られている、ディックが傍に居続けている。あいつが傍で見守る以上、情けない姿は絶対に見せられない。

 それにあいつにしてあげたい事が山ほどあるの。耳かきとか、背中流しとか、……とか。

 全部やってあげるって約束したのなら、なんとしてでも果たしてみせる。つーかしないと自分が許せない。いまだにあいつにマウント取られっぱなしだから。


 何が何でも、私が主導権を握って、ディックをドギマギさせてやるんだ!


『こーの重要な場面でよくアッパラパーな妄想をたれ流せるな貴様は』

「うえっ!? 私声出てた!?」

『かなりはっきりとな。ほれ襲ってくるぞ』


 襲ってくるカノンをもう一度、幻術でいなす。ちっくしょうめ、シルフィのせいで調子が崩れたっての。


「けどかえって良かったわ。緊張がほぐれたし、モチベーションも上がったし。ディックとずっと一緒にいるためにも、カノン如き軽く倒してやるんだから」

『惚気話でパワーアップとか前代未聞だぞ』


 言っとけ。サキュバスが自分の男自慢して何が悪いってのよ。

 またディックとキスするためにも、カノン、あんたなんか消し飛ばしてやる!

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