始動への転換期 ACT.4
「今回の試験内容は【スターオーシャン】社の契約社員が捕獲した【茨の王】の取り巻きの排除および汚染地域の除染である。詳細は端末に送った、各自よく確認するように。以上」
監督は簡潔に試験内容を発表するとそくさくと去っていった。
ステラは端末を操作して配布されたデータを開く。
内容は担当エリアにいるホッパー型インテグレートの排除及び汚染状況の確認、汚染を確認したら除染する事。除染の手順の仕方などが詳しく書かれていた。
ステラは端末を腰につけたポーチへしまうと、右手を伸ばし得物を呼ぶ。
エーテルへと変換され腰のエーテルドラムに安置されていた得物がトランサーに設定されていた設計図にによって変換と同時に構築される。
腰から右手へ蛇のように光の帯が這ってゆき、掌でその姿を現世へと表す。
2045年まで主流だった無煙火薬を使用してといたと言われている銃。
ほぼ無限に使えどこでも補給が可能なエーテルが出現した事により、映画等の創造世界の中だけでしかなかった高出力エネルギーを利用したプラズマ兵器等のエネルギー武器が実現し、現在ではそれが主流となっている。
ステラの使っている長銃もその一種だ。
エーテルを固形化する技術に長けたアオギリ社が2048年に作成し、現在に至るまで中距離および遠距離での射撃武器での人気ランキング一位を取り続ける程に愛用者が多く、エーテルの固形化とそれを発射する際に出る熱を放出するため剥き出しになった銃身が特徴的な雷砲と言うコードが付けられた長銃。
トランサーを経由した光が曲線の多いその姿を形作って行き、完璧に再現が完了するや否や光がはじけ青い硬化輝質体プレートで形成されたステラの得物が彼女の手に収まった。
ステラは銃上部のパーツに付設されたサイトを覗き込む。
彼女の動作と連動して、サイト部位に当たる場所にこれまたエーテルで構成されたうろこ状の半楕円型サイトが出現する。
「よしOK、皆準備は?」
雷砲のサイトから目をはずし、ステラは背後を向く。
AMD社が得意とするプラズマ生成技術を利用したブレードを展開する槍斧 【Type:45】を呼び出して肩に担ぎ、野戦服を着込んだカル。
ステラの雷砲と同じくアオギリ社製の刀(というよりどっちかと言うと幅広の鉈に見える)【草薙】を身に付けステラと同じく学校制定のアーマー付き上着に膝丈スカートの戦闘服を着たルナ。そして――
「今さっき終わった」
低いバスの音域で返事を返してきた者は青と黒色のアーマーに身を包み、左手にアオギリ社の半透明固形エーテルシールド【陣蓋】、右手にAMD社の【Type:34】プラズマ片手剣を持った3人とは体つきがまったく違う惑星【ウルガス】出身のウルガノイドのヌタル。
ステラを含めたこの4名が、今回同じ内容の試験を受けるチームである。
「よし、行きますか!」
サイドテールに結ったストロベリーブロンドの髪を揺らしてステラは[[rb:雷砲> ライホウ]]を肩に担ぐと降下艇のハッチを開くボタンを押す。
油圧シリンダーによって後方ハッチが上下に折りたたまれ、瑞々しい新緑の葉を茂らせた木々が視界に入る。
ステラは、ゆっくりと降下艇を降り惑星エイベルdに降り立った。