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栄光へのパラダイムシフト  作者: tanazi1000
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始動への転換期 ACT.13

「で、さっきのは誤解と?」

「はい、そうです」

ルナの隣に座りながら先刻の出来事を男子二人組に話したステラ。

ルナも積極的に話に参加してくれたお陰で二人がそういう仲であることを完全に否定することができた。

特に――――――

「なんと言うかこういうの前もなかったっけな?」

腕組みをして首をかしげる片方の男子はこれもまた同じチームに所属していたアースノイドのカルロス・ゴーンことカル、彼もまた今日ステラを見舞いに来た一人である。

「あ、あの事は忘れて」

当時の事を思い出したからかルナの顔が真っ赤に染まる。

「あれは、私から迫ったから・・・・・・っと言っても、別にそう言うことじゃなくてなんと言うかその・・・・・・」

「はいはい、分かった分かった。とりあえずこの話終わりな、それで退院って何時くらいになるんだ?」

「さっきお医者さんに話されたけど、検査で異常なかったらもう退院らしい」

「えらい早いな」

「肩の脱臼と足の火傷が主な症状だったらしいから、足の火傷はほとんどシグレさんに治癒してもらってるし」

そう言ってステラは机に置かれた缶コーヒーを飲む。苦味と酸味が口の中に広がり、芳醇な香りが鼻を抜けていく。

「ならいいが、もうすぐ発表だぞ」

「何が?」

思い当たる節がないためステラは首をかしげる。

「導師の選抜って・・・・・・そう言えばステラは知らなかったね」

ルナが端末を取りだし、あるものをホロで表示した。

「これって・・・・・」

宙域活動許可書とかかれた令状のようなものがそこにはあった。

「そう、試験合格!」

「おめでとう、ルナ!」

「ありがとう。そして私からもおめでとう」

「え?」

突如お祝いの言葉をもらい戸惑うステラ。

「私だけじゃなくて、チーム全員。勿論ステラも合格」

「え!? じゃあ・・・」

「お前さんの免許もあるぞ。と言っても学校まで取りに行かないと貰えないけどな」

カルがにやっと笑みを浮かべる。

「導師誰になるんだろ・・・・・・」

「それ明日発表だよ」

何気無くステラが呟くとルナが教えてくれて―――

「え!? 明日!?」

「てか明日卒業式だぞ」

カルが呆れたようにやれやれとジェスチャーをとる。

「かっんぜんに、忘れてた・・・・・・」

「「おいおい······」」

男子二人が揃ってステラへ突っ込む。

「まあとりあえず早く退院しちゃって、ね?」

ルナがステラに微笑みかけ、それから席を起つ。

「ほら二人とも、そろそろ帰るよ。あんまり長居してもステラに負担かかるし」

「そうだな、元気な顔を見れただけでもよかったと思う」

「あー? そんな時間か」

カルが 拡張現実(AR)で表示された時計に目をやって、ヌタル共々立ち上がる。

「それじゃあな、ステラ。明日元気に合間見える事を祈ってるぜ」

サムズサップをしてからカルはヌタルと肩を組んでエレベーターの方へと歩き出していった。

「お大事にね~ステラ。明日学校で」

「うん、ルナもまた学校でそれじゃ」

ステラはルナの姿が見えなくなるまで手をヒラヒラと振り続けた。

そして見えなくなり、スッと手を下ろしてから呟きを漏らした。

「そっか、私合格したんだ」

信じられない。

言葉に出しても実感がわかない。

だけどもルナやカル、特にヌタルが嘘をつくような人でないことも知っている。だから嘘ではない。

その結論に至るまでステラは硬直していた。

そして───

「よぉぉおおしっ!」

叫びながらその場でガッツポーズをして喜ぶステラ。その場が静かにしなければならない病院ということも忘れて。

それくらいに嬉しかったのである。

子供の頃から夢見た宙域調査の仕事、宙に焦がれいつか行ってみたいと思っていた場所。

譲れない願いが叶ってしまったのだ、これで喜ばないヒトは居ないはずである。

ひとしきり喜びを噛みしめ、我に帰るとすぐ近くに医者と思わしき若い男性が立って額に少し青筋を立てていた。

「あっ······」

その顔を見た瞬間、ステラは後退りやってしまったことに後悔をする。

「ステラさん、病院ではお静かにお願いしますね?」

「はい······」

注意を受けてしょげるステラ、だが周りの視線は訴えるような鋭いものではなく暖かくまるで祖父母がはしゃぐ孫を見守るような優しいものであった。

「おめでとうさん、あんたノービスになったんだろ?」

声のした方に振り向くと車イスのおっちゃんが微笑んでいた。

「頑張れよ、嬢ちゃん」

「───ッ! はいっ!」

一瞬激励されたということが分からず固まるステラ、だがすぐに理解が追い付き頬を紅潮させ返事をする。

「ステラさん」

医者に名前を呼ばれ背後を振り向くステラ、そこには診断書を差し出してくる彼の姿があった。

「検査に特に異常はありませんでした」

「······ハッ! じゃあ!?」

なんのことか分からず眉根をひそめていたステラだが、すぐに医師の言いたいことに気がつく。

「はい、そのまま退院してもらって構いません」

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