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お酒の力を借りて聞いてみる。


「もう派遣は雇わないんですか?」


いつも坪内さんの補佐をするのは派遣の女の子だった。

一般事務のようなWordとExcelとPowerPointだけ扱える人とは違って、少し高度なAccessやSQLも使える人材。

坪内さんの補佐をするにはそれくらいのスキルがいる。

私にそのスキルは…あまりない。

データ抽出用に使ったりするけれど、それは決められた手順で作業をするだけだ。

1からやれと言われたら無理。


「秋山がいるからいらないだろ。」


私の疑問を他所に、あっさりと否定する。


「それにすぐ辞められたら困る。せっかく仕事を教えてもまた振り出しだ。」


そりゃね、若い女の子を雇うんだもん。

坪内さんの王子様スマイルで皆やられちゃうわよ。

告白して振られたら、やっぱり辞めるよね。

私だったら辞める。

居づらくて仕方ない。


「罪作りな人ですね。」

「俺が悪いのかよ?」


私の言葉に、坪内さんはムッとした。


「優しくするから勘違いしちゃうんですよ。気安くご飯とか連れてっちゃダメです。」

「連れてってねーよ。勝手に好きになって告白してきて振ったら仕事辞めるとかいいやがる。いい迷惑だ。」


「モテ自慢ですか?」

「嫉妬するなよ。」


楽しそうに笑う坪内さんをじろりと睨む。

ああ、本当に、イケメンは罪だ。

歴代の派遣女子たちよ、坪内さんの腹黒さには気付かなかったのかい?

それとも、とにかく顔が好みだったのかな?


なんて考えつつ、先程の会話に違和感を覚える。

あれ?

ご飯連れてってないって言った?

じゃあ私は?


真意がわからず坪内さんを見ると、目を細めながら言う。


「秋山も勘違いしてる?」

「はあ?しませんよ!」


ほんと意地悪な上司だ。

いたずらっぽく笑うその表情ですら美しいとか思っちゃう私の目はどうかしてる。

からかわれてるだけなのに。

これだからイケメンは困るんだよ。


「秋山は勘違いしていいよ。」


坪内さんの言葉の意味がわからず、私は首を傾げた。

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