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夜には体調もすっかりよくなって、「夕飯何にします?」と言う私に、坪内さんは不思議そうな顔をする。


「さっき昼飯食べたのに、夕飯食えるの?」

「食い気だけが自慢の秋山ですが何か?」


昼食にと作ってもらったお粥もどきを15時のおやつの時間にペロリと平らげ夕飯も普通に食べようとする私に、坪内さんは苦笑する。

あ、ここはしおらしくしておくのが女子の正しい対応だったかな?

ちょっと恥ずかしくなって目をそらすと、声を殺して笑う気配があった。


「いや、元気でなによりだ。今日は俺が作るよ。」


ポンと肩を叩いて、ソファーに座らそうとする。


「いえいえ、看病してもらったお礼に私が作ります。」


私の言葉に、坪内さんは大きなため息をついた。


「バカ、ちゃんと休めよ。それにな、一緒に暮らしてるんだから貸し借りはなしだ。持ちつ持たれつって言葉知ってるか?」


持ちつ持たれつ。

知ってます。

坪内さんも、奈穂子と同じことを言う。

急に胸が締め付けられる思いがした。


私は大人しくソファーに座る。

それを見て坪内さんは満足そうな顔をしてから、冷蔵庫を漁り始めた。

その後ろ姿に、私はぼそぼそと話しかける。


「一緒に休んでくださってありがとうございました。きっと明日は仕事山積みですよね。ごめんなさい。」


ただでさえ忙しい坪内さんの仕事を止めてしまった。

申し訳なくて情けなくて項垂れてしまう。


「できる秋山が補佐だから大丈夫だろ?」


坪内さんは背中越しにそう言うと、からからと笑い飛ばした。

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