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*

ベッドに倒れこみそうになって慌てて反対の手を着くと、坪内さんの顔が目の前にあった。

目と目が合って、これまでにないほど近くで見つめられ、一気に鼓動が早くなる。


「は、早く起きてくださいよ。遅刻しますよ。」


私はパッと坪内さんから離れると、冷たく言い放った。


「早く着替えて来てくださいね。朝御飯一緒に食べましょうよ。」


そう言って、ささっと部屋を出た。


扉を閉めて深呼吸する。

私は胸の辺りを両手で押さえる。


キス、されるかと思った。


ドキドキが全然治まらない。

ほんの少し、流されそうになった自分がいた。


あーもう、坪内さんのバカ。

朝から何をしてくれるんだ。



私が用意した朝食を前に、坪内さんは目を丸くした。


「秋山が作ったの?」

「そうですよ、早く食べて会社行きましょうよ。」


坪内さんはいただきますと言ってから、黙々と食べ始めた。

美味しいとか言ってくれないのかな?

もしかして口に合わなかった?

あまりにも静かなので、もしかして低血圧症かとまで疑ってしまう。


「なんか言ってくださいよ。」

「え?ああ、悪い。感動して言葉が出てこない。」

「感動する要素がどこにあるんですか。変な人ですね。」


可笑しくて私は笑ったのに、坪内さんはすっごく優しい目で私を見るから、今度はこっちが黙ってしまう。

何だか恥ずかしくなってしまうよ。


あっ!

時間!

私たちは片付けもそこそこに、急いで家を飛び出した。

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