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仕事が終わって、会社のエントランスでスマホとにらめっこをする。

とりあえずビジネスホテルを検索してみるも、意外とたくさん出てきて混乱してしまう。

あーもう、どうすりゃいいんだ。


エントランスに設えられている打合せ机に、身を投げ出すように突っ伏した。

ふいに肩を叩かれ顔を上げる。


「奈穂子…。」

「やっぱり日菜子だった。お疲れ様、こんなところでどうしたの?」


奈穂子は私の隣の椅子に腰を下ろし、心配そうに尋ねてきた。


「何かあった?」


いつもそう。

私が困っているときに彼女はスーパーマンみたいに颯爽と現れるんだ。

元彼の浮気現場を見たときも、タイミングよく現れてくれて、それで頼ったんだっけ。


「実はさ、」


私は奈穂子に、隣の家が火事でうちのアパートの壁が焦げたこと、焦げ臭くて住めないことを告げた。


「ホテル生活をしようか迷ってるんだよね。どこかいいホテル知らない?」

「うちに泊まる?」


奈穂子ならそう言ってくれると思った。

だけど私は丁重にお断りする。


「大丈夫、大人だから。それに、彼氏さんに悪いよ。」

「日菜子、大人だからこそ頼っていいんだよ。それに、彼は絶対いいって言うよ。」


一泊で解決する問題なら、奈穂子に甘えたかもしれない。

今ここで一泊させてもらったとしても問題を先送りにするだけだ。


それに、”彼は絶対いいって言うよ”って言葉に、僅かながら嫉妬してしまったんだ。

好きな人とちゃんと信頼関係が築けている証拠だから。


こんな気持ちになるのも、全部坪内さんが悪い。

私は一人で生きていこうと決めているのに。

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