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不意討ちは絶対罪だと思う

家路につくとサイレンの音がうるさい。

赤色灯が辺りをパカパカと照らしている。


近付くにつれ、それは火事のために出動した消防車や救急車のものだとわかった。


「秋山さん!」


背後から声を掛けられ振り向くと、アパートの大家さんだった。


「よかった。無事だったのね!」


興奮しているのか、手を取り勢いよくブンブン振られる。


「どうしたんですか?」

「うちのアパートのお隣さんが火事なのよ。」

「ええっ!」


近付いて見ると、もう鎮火したのか炎は見えなかったが、確かにアパートの隣の家の柱が炭のようになっている。

視線をアパートへ向けると、壁が燃えたような跡があり火事の凄惨さを物語っていた。


「秋山さん、部屋にいなくてよかったわね。さっきまで煙も凄かったのよ。上の階の奥村さんは煙を吸って大変だったの。」


私の部屋は角部屋の2階だ。

まさに、火事を起こしたお隣さんに面している。

煙を吸った奥村さんは3階の角部屋だ。

それを思ってゾッとする。

よかった、残業してきて。

定時で帰っていたら煙にまみれていたかもしれない。


「それでね、秋山さん。」

「はい?」


大家さんがこれでもかというほど眉を下げて言う。


「アパートの被害は壁だけなんだけど、部屋の中が焦げ臭くて大変らしいのよ。壁は補修工事をするとしても、部屋の中をハウスキーピングしても臭いが取れるかわからないらしいわ。」

「…そうなんですか。」


「どうしましょう?」

「ど、どうしましょう?」


大家さんの言葉は、自分の家の玄関を開けてすぐにわかった。

焦げ臭くてとてもじゃないけどここで過ごせない。

もしかしたら水道管等も熱でどうにかなっているかもしれないから、気を付けてねと言われた。


気を付けてねと言われましても…。

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