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奈穂子は二杯目のビールを飲みつつ、片肘をついて目を細めた。


「王子様は日菜子に興味あるんじゃないの?だって今まで特定の女の子とランチしてる話、聞いたことないよ。」

「まさか?からかわれるのがオチだよ。」


坪内さんが私に興味とかありえないでしょ?

あ、変なやつだとか、そういう感じでの興味ならもしかして持たれてるかも?

そう言おうかと思ったけど、奈穂子の目がそれを許さない。


「私は恋愛に興味ないよ。」


運ばれてきた唐揚げに箸を伸ばしつつ、私は素っ気なく答えた。

とたんに、奈穂子の眉間にシワが寄る。


「まだ引きずってるの?」

「引きずってるっていうか、トラウマだよね。」


そう、私は元彼の浮気現場をあろうことか社内の会議室で目撃してしまった。

大泣きしたあの日、恋愛なんて懲り懲りだと強く思ったんだ。


「日菜子には幸せになってほしいんだけど。」

「いいの、私は一人で生きてくのよ。」


奈穂子が食い付いてくるので、私は許可も得ず勝手に唐揚げにレモンを搾る。

奈穂子は対抗するように、勝手にマヨネーズをかけた。


「強がっちゃって。絶対王子様は日菜子に気があるよ。」

「ないよ。」


「上司だからってそんな毎回ランチ行かないし、奢ってくれようとしないよ。」

「それは坪内さんが王子様だからでしょ?誰にでもしてるんだよ。」


「私はされたことないよ。」

「それは、奈穂子に興味ないんじゃない?」


「お、言ったな!」

「違う違う。奈穂子は彼氏がいるでしょー。」


押し問答が続いたけれど、最後は笑って誤魔化した。


ほんとにそうならやめてほしい。

優しさに勘違いしてしまうから。

その優しさが心地よくなってしまう。

人を好きになりたくないもん。

波風たてずに穏やかに過ごしたいんだよ、私は。

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