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第2話「アリス・バーリエル」

第2話目になります。ゆっくりの更新で申し訳ございませんが、楽しんでいただけると嬉しいです。

       第2話「アリス・バーリエル」


 街に戻り、今日得たモンスターの素材を換金してから家に戻った。


 家に戻ると、銀髪長髪の美少女が出迎えてくる。


「おかえりなさい、ユート。今日も無事で何よりです」


 薄桃色に似た瞳でまじまじと見つめられて、俺はどきりとしてしまうが平然を装いつつ俺は返した。


「ああ、そうだな。それとこれはお土産だぞ」


 俺は帰りの間際に狩って手に入れていた鹿肉を、目の前の少女――アリスに差し出した。それを見たアリスは目を輝かせると、俺に抱き着いてくる。俺はそんなアリスの頭をポンポンと撫でてやると、それに満足したのか、アリスは鹿肉を受け取り中に入って行く。

 俺もアリスに引き続いて中に入って行く。


 アリスはそのままキッチンに向かうと、長い銀髪を一つにまとめるとすぐさま調理に取り掛かっていく。

 俺はそんなアリスの後ろ姿を見ながら、初めて彼女に会ったことを思い出していた。


***********************


 俺がこの世界に飛ばされてすぐの頃、俺はこの世界で生き倒れそうになっていた。モンスターとの連戦に次ぐ連戦で、俺は体力的にも精神的にも摩耗していた。そのため、俺は街に帰る途中で道端に倒れ込んでしまったのだ。

 そして、不幸は重なりその時に限ってモンスターがまた現れたのだ。俺はモンスターを倒そうと思ったのだが、あまりの消耗具合で指一本も動かせる状況ではなかったのだ。


 そして、そんな俺をあざ笑うかのようにモンスターは、俺を食い殺そうと近づいてくる。

 そんな時に颯爽と現れて俺とモンスターの間に入ったのが、綺麗な銀髪長髪を持った少女だった。

 少女は細身の片手剣を腰の鞘から抜くと、モンスターをあっという間に倒してしまったのだった。


「大丈夫ですか?」


 少女は片手剣を腰の鞘に戻しながら、そう俺に聞きながら手を差し出してきた。


 俺はそんな少女を見て固まってしまう。なぜなら、その少女はびっくりするぐらい美少女だったからだった。そして、彼女の見た目に驚いた。幼さの残した少女の顔を見て、まさか俺よりも年下かもしれないと思った。それに体格もどちらかと言えば小柄の部類に入るだろうし(この子の年代の中ではどこまでが小柄か分からないけど、小柄な気がするので、そう表現しか出来なかった)。


 俺が固まっているのことに疑問に思ったのか、目の前の少女は首を傾げていた。そんな姿もものすごく絵になるなっと思ってしまう。


「助けてくれてありがとう」


 俺はお礼を言いながら、その俺よりも小さな手を掴んで俺は立ち上がった。


「本当にありがとう。助けてくれて」


 俺は立ち上がると、再び少女にお礼を言った。


「俺は優人。桐川優人。ここで会ったのも何か縁かもしれないからよろしくな」


「私はアリス。アリス・バーリエル。こちらこそよろしくです。ユート」


 発音に少し違和感を覚えたが、俺は再び差し出された手を握った。


 これが俺とアリスのファーストコンタクトだった。


 しかし、この時の俺は、アリスの言う名を聞いてあのウサギに誘われて穴に落ちて不思議な国に行った話を思いした。


***********************


 それからというもの、俺はアリスと頻繁に顔を合わせることになった。街で買い物をしている時、街の外に出てモンスターを狩っている時、色々な時に変な視線を感じてその視線を辿ってみると、そこにはすべてアリスの姿があった。

 かと言って、俺がアリスに近づこうとすると、アリスは全力で逃げてしまっていて話をすることも出来なかった。


 何なんだ? アリスは一体何がしたいんだ?


 俺は困惑しながらも、今日もモンスターを狩りに行った。


 

 日が暮れる頃合いに、街に戻って来た俺は街の入り口でぼぁーと立っているアリスの姿を見つける。

 俺は今までのことを聞くべく、そんなアリスに近寄った。


「アリス、何やってるんだ?」


 俺の声を聞いた瞬間、アリスの肩がぴくんとなる。


「ユート、戻って来ていたのですか」


「いや、今戻って来たところだよ。それで、アリスはどうしてここにいたんだ?」


「ユートを待っていました。少しユートと話がしたくて」


「奇遇だな。俺もアリスと話がしたいと思っていたんだ」


 俺はそう言ってアリスに不敵に笑いかけた。



 場所は変わって、街の中にある飯屋に向かった。


 適当な席に座って、店員に向かって何品か頼むと目の前に座ったアリスに向き直った。


「ここは、俺が出すから遠慮なく食べてくれ。それにこの前助けて貰ったお礼もしたいと思っていたんだよ」


「ユート、何か悪い気がします」


「別に構わないよ。だけど、その代り俺のささやかな質問に答えてくれ」


 俺の言葉にアリスは微笑みで答えた。


 かわいいと俺は素直に思ってしまう。


 料理が運ばれてきたのと同時に、俺とアリスは食べ始める。


「それで質問とは何ですか?」


 アリスは美味しそうに料理を食べながら、俺にそう問いかけてくる。


「ああ、ここ最近と言うか、俺とアリスが出会ってからずっとどうして俺のことを見ていたのかなって思ってさ」


 俺の言葉を聞いたアリスは、料理を食べていたせいなのか、盛大にむせていてた。


「おいおい、大丈夫かよ」


 俺は背中をさすりながら、水を差し出してやる。アリスは涙目で「ありがとう……ごほっ……ござい……ごほっ……ます」とお礼を言いながら水を受け取った。

 しばらくアリスが落ち着くのを待ってから、俺は再度同じ言葉を繰り返した。


「気が付いていたんですね」


「ああ、気が付いてたよって……待て待て、アリスだって俺の姿を見て逃げ出してただろう」


 つまり、それはアリスもまた、俺が自分の存在に気が付いていることを理解しているということなのだが、ここでとぼけてくるとは思わなかった。


「冗談ですよ、ユート」


 俺の顔を見て、何を感じているのかを察したのか、アリスはくすくすと笑いながらそう口にした。


 からかわれたのかと思ったが、不思議と怒りは湧いてこなかった。


「それで、どうしてユートを見ていたのかですけど、その質問に答える前にまずは私の質問に答えてください」


「ああ、良いけど」


「ユートはこの数日間何を探していたのですか?」


 俺が探し物をしていることに気が付いていたのか。俺は特に隠すことはなかったので、正直に答えた。


「ああ、それは俺には行かなきゃいけない場所があって、その場所の手がかりを探していたんだよ」


「ちなみに、その場所とは聞いても良いですか?」


「大宮殿と呼ばれる場所に行かないといけないんだ。それも3年以内に」


 俺の言葉を聞いたアリスだが、首を傾げて不思議そうにしている。


「大宮殿……ですか。聞いたことがないですね」


「ですよねー」


 俺はこの数日、この街【パーナ】を拠点にしてモンスターを狩りながら自身の技を磨くのと同時に、住人などから情報収集をしていたのだが、住人たちは今のアリスのように皆知らないと口を揃えて言うのだ。なので、あのクソ女神が指していた大宮殿の情報は未だに掴めていなかった。それに加え、大宮殿と言うからには壮大な城構えみたいに建っているのだろうと勝手に予想していたため、この世界と言うかこの街に来て、そう言った建物が見つからなかった時は、さすがに焦ったものだ。


「それじゃあ、どうしてユートはその大宮殿と言う場所を目指しているのですか?」


 俺は正直この質問にどう答えるか迷った。素直に女神さまに目指せって言われましたと言ったところで、お前何言ってんの? 状態にしかならないのは明白だったからだ。しかし、一度俺は彼女に命を救われていた。だから、ここで変に嘘を吐くのも何だか抵抗はあったのだ。


「ある人に言われたんだよ。俺は大宮殿に目指さないといけないって」


 だからこそ俺はそう口にした。あれを人と扱って良いのかは分からないが、とにかくこれで嘘は言っていないことになる。


「そうですか。なら、私はユートがその大宮殿に辿りつけることを心から願っています」


 そう言ったアリスは、優しく微笑んだ。その微笑みに俺は目を奪われてしまう。元々、アリスは整った容姿をしているため、その微笑みは俺の心を容易に奪っていった。


「ユート?」


 俺がアリスに見惚れていると、アリスが不思議そうに首を傾げている。


「なっ何でもない!」


 俺は慌てて誤魔化した。さすがに見惚れていましただなんて、本人に直接言えるわけがない。


「? 変なユートです」


 アリスの言葉に俺は苦笑を漏らすしかなかった。


「それで、次は俺の質問に答えてくれるんだよな」


 一通りアリスの質問が終わった頃を見計らって、俺はアリスにそう問いかける。銀色の少女は、俺の質問にこくりと頷いた。


「それじゃあ、改めて聞くけど、どうしてここ数日の間俺の後を付けてきて、俺のことを観察していたのか理由を聞きたいんだけど」


 アリスは口に含んでいた食べ物を、水で飲み下すと小さく息を吐いた。


「ユート」


 名を呼ばれて、アリスの薄桃色の瞳が真っ直ぐ俺のことを射抜いてくる。俺とアリスの視線が静かにぶつかっていた。

 しばらくの間、無言で見つめ合っているとアリスはゆっくりとその小さな唇を動かして言葉を発した。


「ユートに一つお願いがあります」


「俺にお願い?」


 銀色の少女は俺の問いにもう一度頷くと、その言葉の続きを口にした。


「ユート、私をとある場所に連れて行って下さい」


 突然のことに俺は戸惑い、反応に困ってしまうが、目の前に座る俺よりも年下だと思われる少女の目はどこまでも真剣だった。

面白いと思って頂けましたら、ブックマークや評価などをよろしくお願いいたします。また、連載中の作品「人生が余りにもクソだったので、とりあえずネット小説を書いてみた」も方もよろしくお願いいたします。

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