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第12話「第5位 ナルザ・バライズ」

あけましておめでとうございます! そして、更新が遅れてしまって申し訳ございませんでした。さて、今回もいつもと変わりませんが楽しんで頂ければと思っております。

  第12話「第5位 ナルザ・バライズ」


「はあん、お前かお前ね。なるほど、ぶっ殺す。この|暗黒騎士団(ヨルムンガンド)・第5位ナルザ・バライズがな!」


 そのナルザと名乗った男は、剣を俺に向けて突き付けてくる。


「ロキが気にかていると思ったら、そんなことなかったな。さてと、俺のかわいいペットを痛みつけてくれた借りをたっぷり返してやるよ」


 ナルザは獰猛(どうもう)に笑うと剣を横薙ぎに払った。そして、見た。ナルザの剣がワイヤーみたいなもので繋がれていて、鞭のようにしなって遠くで弓を弾いていた兵士隊2人を斬り殺したのを。


 ナルザの剣は蛇腹剣(スネーク・ソード)だったのだ。それが力を解放させたナルザの力だった。そして、先ほど優人を斬ったのもこの蛇腹剣だった。


絶望!(デスペレイション) 解放!」(リリース)


 ナルザがそう叫んだ瞬間、リザードロードキングは光に包まれ鎧が剥がれ落ちていった。そして、光が消え去りリザードロードキングは本当の姿になっていた。それはコモドドラゴンのような姿になっていた。そして、今まで与えたダメージは全快していた。


「さてと、第2ラウンドと行こうか! 終わらせる者!」(ターミネート)


***********************


 新手の登場に俺は動揺してしまう。しかも、出て来たばかりだと言うのに、一気に2人も殺してしまった。さらには、苦労して追い込んだリザードロードキングも、本来の姿になったように、コモドドラゴンの姿になっていた。


「ユート、大丈夫?」


 アリスが心配そうに俺のことを見てくる。


「ああ、大丈夫だよ。アリスもありがとな」


 俺はアリスに支えられながら、立ち上がると目の前に立つナルザに対峙する。


「さてと、お望みの通り第2ラウンド相手してやんぜ」


 俺はそう言いながら剣を構え直した。


「アリス、お前はヴァルたちの方に行ってくれ。さすがに、2人じゃあのモンスターの相手は辛いと思う」


「でも、それだとユートが」


「俺なら大丈夫だ。それにアリスならすぐに倒して俺のことを助けに来てくれるだろう」


「うん、絶対に助けに来るから!」


 モンスターに向かっていくアリスを見送ると、目の前の敵に向き直った。


「へぇ~、さしでやってくれんのな」


「俺が用があるのはお前だからな。終わらせる者」


 ナルザはそう言うと、剣を振り抜いてくる。すると、蛇腹剣が俺に向かって襲い掛かってくる。


解放!(リベラシオン) 守護者!」(ガルディアン)


 盾を具現化させて襲いくる、蛇腹剣を防いでいく。


「ほらほら! 守ってるだけじゃ勝てねぇぞ!」


 嵐のように襲いくる蛇腹剣に俺は反撃のタイミングを掴めないでいた。


 どうしたら、どうしたらいい?


 俺は考えていると、いつの間にかナルザが俺の目の前にいた。


「剣ばっかに集中してると、足元掬われんぜ」


 ナルザは俺に腹に拳をめり込ませてきた。傷口も合わせてかなりのダメージになってしまう。 

 そのまま俺は殴り飛ばされて、数メートルぶっ飛び壁に激突した。そこにさらに追撃のように蛇腹剣が飛んでくる。

 俺は何とか盾を前に持ってきてそれを防いだつもりだった。が、実際には防げておらず、それは俺の脇腹を斬り裂いてきたのだ。


「がっ⁉」


 どうしてだ? 俺は確かに防いだはずなのに?


 俺は両膝を地面に着きながら、今の攻防に訳が分からなかった。


「考え方が甘いんだよ! 俺の剣が真っ正面からしか攻撃出来ねぇわけがねぇだろうが!」


 つまり、真っ正面に飛ばしたのはフェイクで、狙いは最初から軌道を反らしてからの攻撃だったというわけか。


 強い、強すぎる。以前に戦ったジャルガンも暗黒騎士だとか名乗っていたが、こいつは実力が違い過ぎる。


「何だよ、ロキの話だともっと骨があるとかないとかじゃなかったっけ? なのにがっかりだな。これはロキの見込み違いじゃねぇか?」


 こいつがさっきから言っているロキって誰なんだ? とにかく、あいつの後ろにはそのロキってのが付いてるって思って良さそうだな。


「さてと、そろそろお前と殺り合うのも飽きたことだし、とっとと殺してあのあそこにいる女の所に行くかな。あの女かなりの上玉だし散々遊ぶだけ遊んで殺せばさぞかし楽しいんだろうな、ひゃはは」


「っ!」


 こいつ、アリスをやるつもりなのか⁉ ダメだそれだけは絶対にさせてはいけない!  俺はあの笑顔を護り抜くって決めたんだ!


 俺は痛む体に鞭を打ち立ち上がると、一気に距離を詰めて上段から剣を振り落とした。

ナルザはそれを元の状態に戻した蛇腹剣で防いで見せる。


「ああん、何だよ?」


「アリスに手は出させない!」


「はっ! お前まさかあの女に惚れてんのか? そいつは結構なことじゃねぇか! だがな、お前が楽しむ前に俺が楽しむだけ楽しんでやるよ!」


「ふざけんなっ! アリスは俺の嫁だ! お前なんかに触らせやしない!」


「良く吠えるな! そんな死にぞこないのお前に何が出来るんだ!」


「やってやるよ! 解放!」


 剣先から冷気が溢れ、蛇腹剣を凍り付かせていく。


「なるほど、それがお前の剣の力ってわけか。でもな」


 ナルザは後ろに飛んで距離を作ると、その凍っている場所を地面に思いっきり叩き付けた。すると、氷はいとも簡単に砕けてしまう。


「まだ甘い。お前の魂の力はそんなもんか?」


 仕返しとばかりに蛇腹状になった剣が、俺の足を狙って飛んでくる。


 俺は力が欲しい。みんなを護れる力が。


 あの女神は言っていた。この力は俺の魂の在り様だと。俺の魂が本当に護りたい時にだけその力は発動すると。だったら、答えてみろよ! 俺に更なる力を! あいつを倒すための力を寄越しやがれ!


 俺は再び口にする。呪いとも思える言葉を。


「女神の加護があらんことを」


 俺の体はあの時のように青白い光に包まれた。


 ***********************


 ユート、ユート、ユート、ユート、ユートッ!


 アリスは優人のことが気になって、目の前の戦いに集中できないでいた。


「アリス! そっちに行ったぞ!」


 ヴァルの叱咤がアリスに飛ぶ。


 アリスがヴァルの声に意識を戻すと、目の前にはリザードロードキングが迫っていた。


 鎧を脱ぎ去り、四つん這いになったリザードロードキングは、先ほどとは比べものにならないぐらいの速さで、アリスに迫っていた。


 アリスは飛びついてからの噛み付き攻撃を肩に受けてしまう。


「っ!」


 アリスは痛みに顔を歪めるが、何とか攻撃を斬り返すが鱗によってそれは阻まれてしまう。


 くっ! 早くユートの元に行かないといけないのに!


 アリスは焦りから、攻撃の精度は荒く決定打となる攻撃は与えられないでいた。


「アリス! 焦り過ぎ! きっとユートなら大丈夫だよ」


 ヴァルがアリスを落ち着けるように声をかけるが、その時にユートが戦っている場所からものすごい音が聞こえてくる。


 視線をそっちに向けると、ユートが壁に激突しているところだった。


「ユートッ!」


 アリスは駆け出そうとした。しかし、そこで自身の異変に気が付いた。血が中々止まらず意識が朦朧とし始めていた。


 足元もおぼつかない足取りになっていき、顔色もどんどん悪くなってきている。冷や汗もだらだらと流れ始めて来た。


「アリス、まさか!」


 ヴァルはアリスの異変に気が付いた。アリスは、リザードロードキングの歯に仕込まれた毒に侵されていた。普通、コモドドラゴンの毒は、ゆっくりと侵食していくタイプの毒だった。しかし、あくまでもコモドドラゴンの姿に似ているだけで、その歯に仕込まれていた毒は非常に強力なものだった。


 その隙を逃さずにリザードロードキングはアリスに追撃をかけようとしてくるが、それはガータルが防いで見せた。


「ヴァル! 宿屋に戻って早くアリスを治療するんだ!」


「隊長は?」


「早く行け! アリスの状態は一刻を争う!」


 ガータルの声に、我に返ったヴァルはアリスを抱えると宿屋に入って行った。


 リザードロードキングは怒りの咆哮を上げると、ガータルに襲いかかっていく。牙や爪、尻尾などで攻撃を仕掛けていく。


 ガータルはそれを器用に防いでいく。そして、ガードしている斧を使って反撃をするが、俊敏な動きで避けられてしまう。


 ガータルは斧を捨てると、リザードロードキングに接近して掌を当てると、掌底打ちを放った。


 それは見事にリザードロードキングの内臓にダメージを与えて、動きを鈍らせる。


「私がいる限り、アリスの元には行かせはしない」


 


 ヴァルは、医務室に駆けこむと解毒剤を用意する。


 アリスの意識はさらに朦朧としているのか、虚空に手を伸ばしている。


「ユート、ユート、ユート。今行くから」


 アリスは先ほどからずっとその言葉を繰り返している。


「アリス、すぐに助けるから」


 ヴァルはすぐさま解毒薬を用意して、アリスに飲ませた。


 すると、たちまちアリスの顔色は元の色合いに戻り始めていた。


 とりあえずは、これで大丈夫かな。


 応急処置は終わったけど、後はゆっくりとアリスの体内に残っている毒素を抜いていなければならない。


 アリスの荒かった呼吸が、規則正しい呼吸に戻り始めていた。しかし、アリスの口からは先ほどと同じ言葉が繰り返されている。


 ヴァルは次に肩の傷を消毒して包帯を巻いていく。


 手当てを終え、ヴァルはアリスをベッドに寝かせると、自身も戦場に戻って行く。


 宿屋から飛び出ると、ガータルはあのモンスターと互角の勝負を繰り広げていた。攻防自在に動き回るモンスター相手に、ガータルも守り攻めを繰り返し、確実にダメージを与えて行っていた。


「隊長! 戻りました」


 ヴァルはガータルの隣に立つと、剣を構え直した。


「うむ、アリスの様子はどうだ?」


「一命は取り留めました。後はゆっくり寝ていれば毒は完全に消え去ると思います」


「よし。あのモンスターは我々で狩るぞ」


「はい!」


 2人はアイコンタクトでタイミングを計ると、一気にモンスターを挟み撃ちにする。


 しかし、リザードロードキングは尻尾を振り回して2人の攻撃を防いでしまう。


「やっぱり、堅い!」


「泣き言を言うなヴァル! かてぇなら断ち切って見せろ!」


 ガータルの声に、ヴァルは剣に力を込める。


「ぶった斬れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」


 気合一閃。ヴァルの剣は尻尾の鱗を剥がし落とし、尻尾の付け根から切断してみせた。


「ハッ! やるじゃねぇか!」


「隊長のおかげです」


「このまま畳みかけるぞ!」


 ヴァルはガータルの言葉に頷くと、そのまま攻撃を繰り出していく。その途中で、ヴァルは目撃するのだ。優人が青白い光に飲み込まれていくのを。


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