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第11話「リザードロードキング」

第11話目になります。本作も楽しんで頂ければと思っております。

  第11話「リザードロードキング」


 俺とアリスが談笑していると、ドアがトントンとノックされた。


 俺が「どうぞ」と答えると、外からヴァルが入ってくる。


「2人の甘い夜を邪魔して悪いね」


「入って来て早々何言ってんだよ、お前は」


 いきなりの言葉に俺は呆れてしまう。それにアリスは恥ずかしかったのか、俺の胸に顔を埋めてくる。


「まったく、妙なことを言わないでくれよ。アリスはこの手の話は弱いんだからさ」


 そうなのだ。アリスはこの手の話には弱く、少しでも聞くと顔を真っ赤にして恥ずかしがってしまうのだ。


 俺はそんなアリスの頭を撫でながら、ヴァルに視線を向ける。


「それで、どうしたんだよ?」


「いや、ただ話をしようと思ってきただけさ。隊長の話だとこの2、3日が怪しいんじゃないかって話だからさ。


「そっか。そういや、この町に来て初めて会ったのもヴァルだったな」


「ああ、あん時ね。いきなり、襲い掛かってあの時は悪かったよ。何だか危険な奴としか見えなくてね」


「お前、それを本人に言うか? でも、あの時の俺は確かに余裕はなくて殺伐としてたかもしれないけどさ」


「そうそう、見るからに危険なオーラを纏ってたよね。それで斬りかかったんだけど互角でさ、隊長に止められなければ、きっとあの時決着が着いたか分からないよね」


「ああ、確かに。でも、今でも模擬戦やるけど勝敗がしっかりと着いたことってなくね?」


 俺は思い出しながらそう言うと「確かにね」とヴァルは笑っている。しばらく、2人してよもやま話に花を咲かせるが、そろそろ寝ないと明日に響くと言う事になり、ヴァルは自分の部屋に帰っていた。


 そして、俺は終始無言だったアリスに声をかける。


「おーい、アリス。大丈夫か?」


「うん、もう平気」


「そっか、なら良かったよ」


 俺はアリスの頭をポンポンとすると、寝るためにベッドに行こうとした。が、その時、外からものすごい爆発音が響いたのが聞こえた。それも連続して。


 俺とアリスは顔を見合わせると、自身の剣を持って外に飛び出した。そして、見た。燃え盛る炎の中で佇んでいる一匹のモンスターの姿を。


 あれが、資料で出てきたモンスター【リザードロードキング】なのか。


 全長2、3メートルぐらいだろうか。手には巨大な斧を持ち、全身は硬そうな鎧で身を包んでいる。そして、その姿はトカゲで、巨大なトカゲが2本足でしっかりと立ち、この辺りを歩いていた。


 アリスがピタリと体を寄せてくる。怖いのだろう。それも当然だ。奴の存在感がものすごく感じられるのだから。


「ユート! アリス!」


 遅れてヴァルやガータル、そして残っていた数人の兵士たちもやって来た。


「あっあれが!」


 ヴァルもあの姿を見て驚きの声を上げている。他の兵士たちも息を呑んでいる。それぐらいの迫力が奴にはあった。


「くそ、まさか今日の内にやってくるとは、まったくの想定外だったが、住人の避難だけが済んでいたのが幸いだったか」


 ガータルの言う通りだと俺も思う。これで住人がいたとしたら、どれほどの被害を生んだのか分かったものじゃなかった。


 俺とそのモンスターの目が合った。そして、それが戦闘の合図だった。リザードロードキングは、俺の姿をとらえると、その巨体に合わないような俊敏さで俺との距離を詰めてくる。


 速いッ!


 俺は剣を抜いて、その巨大な斧を受けようとしたが、受けきれないと判断して後ろに大きく飛んで回避する。しかし、リザードロードキングの攻撃はそこで終わらず、俺を追って追撃を繰り出してくる。


解放!(リベラシオン) 守護者!」(ガルディアン)


 避け続けるのは無理だと判断した俺は、魂の力を解放させて盾を作り出しそれで斧を防いだ。


 くっ、重いッ!


 それを証拠に地面が沈み、網目状に亀裂が走って抉れている。


「ユート!」


 アリスの声が聞こえる。俺は何とか押し戻すと、その斧を押し返す。隙が生まれた体に剣を突き込むが、鎧と鱗にが堅すぎて刃が通らず、耳障りな音が響く。


 その際にアリスが駆け寄って来て、リザードロードキングに斬り込もうとするが、危険を察知して奴は大きく飛んで俺から距離を取った。


「ユート大丈夫ですか?」


「ああ、まだ攻撃を食らったわけじゃないから大丈夫だ。だけど、あいつのあの動き、明らかに他のモンスターと格が違い過ぎる。気を付けろよ、アリス」


「うっうん」


 俺は立ち上がると、剣を構え直す。前線ではヴァルやガータルといった兵士隊が攻撃を繰り出してはいるが、俊敏な動きで躱されるのと同時に、堅い鱗と鎧のせいで思うようにダメージを稼げないでいた。


「アリス、俺たちも行くぞ!」


「うん!」


 俺とアリスは駆け出すと、兵士たちの合間を縫って奴に近付き斬りかかるが、斧で防がれてしまう。しかし、その横からアリスの突きがリザードロードキングの急所を狙っていくが、そこも堅く突き切れない。


「うっ堅いッ」


「下がれ! アリス!」


 俺はアリスに怒鳴る。なぜなら、リザードロードキングの腕の筋肉が膨張したかのように見えたからだ。そして、それは気のせいではなかった。俺が剣で押し込んでいた斧がいとも簡単に押し返され、俺はそのままぶっ飛んだ。


 それを見逃す奴でもなく、ぶっ飛んだ俺に追撃を仕掛けようとするが、それはヴァルやガータルに防がれていた。


 複数人で斬りかかっていると言うのに、あのモンスターには疲れたようも感じさせず簡単にあしらっていってしまっている。


 すると、リザードロードキングの腹が大きく膨らんだ。まさか!


「みんな横に飛んで逃げろ!」


 そう言った瞬間、リザードロードキングの口から高熱のブレスが吐き出される。まさに火炎放射と言ったところか。


 そして、その攻撃で2人逃げ遅れて焼き殺されてしまう。


「くそったれがぁッ!」


 俺は剣を持ち直し、一気に斬りかかる。しかし、全て斧で防がれてしまう。しかし、それで良い。剣と斧が打ち合わされた時、俺は叫ぶ。


「解放! 凍り付けよ!」


 剣先から冷気があふれ出して、奴を凍り付かせようとするがすぐさま後ろに下がれられ不発に終わってしまう。


 リザードロードキングは咆哮を一度上げると、下から斧を救いあげるような形で振るように突進してくる。


 俺はそれを盾で受け止めた。


「アリス!」


「分かってます!」


 アリスは俺が防いでいる間に回り込み、再びリザードロードキングに突きを繰り出した。今度は絶対に堅くなるはずがない目へと。


 それは見事にヒットし片目を潰すことに成功した。


 奴は苦悶の声を上げると、斧をめちゃくちゃに振ってくるので、俺もアリスも距離を取る。


「何とかダメージは与えられたか」


「ですが、まだまだあのモンスターに致命傷とは言えません」


「だな」


「ユート、何が考えがあるかい? あるのなら僕も全力で協力させてもらうよ」


「なら、アリスとヴァルは目がつぶれてる右目方面から攻撃してくれ。俺とガータル隊長でもう片方の目を潰しに行く!」


 俺たち4人は頷く。


「そして、残り2人は弓で援護射撃を」


 俺の言葉に全員が同時に動いた。


「ヴァル、アリスのことは任せたぞ!」


「はいはい、君のお姫様には傷一つ付けさせないさ!」


 俺とヴァルは軽口をたたき合うと、両側面から攻撃を仕掛けていく。しかし、さすがと言うべきなのか、俺の攻撃を斧で防ぎ、ヴァルの攻撃と腕の籠手で防いで見せた。そのまま俺の肩に噛みついてくる。


「がぁッ!」


 痛さで一瞬意識が飛ぶが、そこにガータルの斧の斬り上げが来て、奴が持っていた斧を斬り飛ばした。俺はすかさずそこに、宙返り蹴りを(サーマルソルトキック)奴のあご下に決める。数歩後退する奴に追撃をかける。俺とヴァルで次から次へと斬撃を繰り返していくが、やはり鎧や鱗で防がれてしまうが、俺はそこであることに気が付いた。段々と体の鱗が剥がれていっていることに。


 手数で攻めれば行けるか!


「アリス! ヴァル! どんどん攻撃を繰り返してくれ!」


 俺の言葉通り、アリスとヴァルはとんどん斬撃を繰り返していく。手数で攻めるなら2人の方はスピードは速いのだ。しかし、リザードロードキングもただやられているだけでなく、再び腕の筋肉を膨張させると、その太くなった腕でラリアットを繰り出して2人を攻撃しようとするが、2人は何とかして避けている。そして、その隙に俺とガータルが奴に急接近しようとするが、再びのブレス攻撃をしようとしてくる。


「守護者!」


 盾でそれを防いで、その際にガータルはリザードロードキングにピタリと張り付くように手を添えると、そこから掌底打ちを繰り出した。


「ぐぎゃああああッ!」


 苦痛の声を上げるリザードロードキング。確かにそこに隙が生まれた。


「そこだぁぁぁぁぁッ!」


 俺はその隙を逃さず、もう片方の目を潰した。


 さらに苦痛の声を上げるが、俺はすかさず止めをさすべく力を解放しようとしたが、何かに斬り飛ばされた。


「えっ?」


 何が起こったかが分からなかった。しかし、腹に走る痛みが斬られたのだということを伝えてくる。


「ユート!」


 アリスが駆け寄って抱き起こしてくれる。


「俺のかわいいペットに何てことしてくれてんだよ」


 俺とアリスは声のした方に視線を向けた。すると、そこには闇に負けないぐらいに黒い鎧を纏った1人の男が立っていた。そして、それは俺たちが見たことのある鎧でもあった。


「俺のかわいいペットの両目を潰したのはお前か?」


 男は静かに問いかけてくる。その鋭い眼光は、誰もが怯えるんではないかというぐらいに鋭かった。


「だとしたら、どうした?」


 俺はそう問い返す。


「はあん、お前かお前ね。なるほど、ぶっ殺す。この暗黒騎士団(ヨルムンガンド)・第5位ナルザ・バライズがな!」


 そう言って男は凶悪そうに笑うと、剣を俺に突き出してきた。


 

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