六 四日目と五日目 運命の出会い 火曜日と水曜日
朝起きるとリスティーがまだ寝ていたので、そのまま登校した。
何時もの時間の電車に何時もの席に付いた。
そして何時も姫野さんがのって来る駅に付いた。俺の中で姫野駅という名前を付けている。
今日も今日とて姫野さんは乗ってきた。昨日少し仲良くなったので話しかけてみようと、「ひ」まで発声したのだが、姫野さんの肩を抱くように一緒に乗ってきた金髪のイケメンを見て駅に降りた。
次の電車で学校へ向かった。知ってはいた聞いてはいた。けど昨日の夕暮れの事で少し期待していた。姫野さんは少しぐらい俺に興味があるものだと期待していた。
しかし、あの決して他人では近づけない姫野さんの肩を抱いている彼氏を見て直感した。俺に姫野さんは惚れてねぇと。だって彼氏姫野さんと同じレベルでイケメンだったもん。
と、言い表せない気持ちを持って歩いてたら何かに激突した。
「おい!! いてぇーな! 慰謝料よこせやー」
明らかに不良というのを醸し出した男三人に即座に囲まれていた。
周りに助けを求めようと同じく登校している学生を見ると、目を反らされた。同じクラスの渡辺君や斎藤さんが目も合わせてくれず早足で校舎へ向かう。同じく同じクラスの音音さんなんか俺と不良の間をつっきたのにも関わらず気付かずに通りすぎて行った。まあ音音さんは何時も通りなので良いとして他の同じクラスの奴らは助けてくれても良いのでは無いでしょうか?
とか思っていたら校舎裏に連れていかれた。
「ほらさっさと金出せやぁ!」
とモヒカン野郎が言う。
「カツアゲは犯罪だと思うんだけど」
と言ったら普通に殴られて鼻血が出た。めっちゃいたい。そしてモヒカンの仲間が俺のサイフを鞄から見つけだし既に、物色を終えて諭吉さんを三枚奪っていた。昨日下ろしたばかりの諭吉さんを三枚奪れた。
「俺の! 俺の諭吉を返しやがれー!!」
乱闘になった。しかし悲しいかな、三対一では勝ち目など無い。そこまで喧嘩なんか強くない。むしろ向こうの方が強い。
最後に残ったのは討ち滅ぼされた俺のなきがらだった。
「諭吉ちぃいいいいい!!」
と叫んで覚醒した俺は、服はボロボロ。サイフは空っぽ心も空っぽ、遅刻は確定の状態だった。もう4時間目が始まっているかも知れない。
「誰かが言った。復讐は何も生まないと、しかし男には戦うべき時がある!!」
そう決意して教室に向かった。勿論更にクラスで浮いたりしたし。身体がズキズキ痛む。だが名誉の負傷だ。勝てないことは分かっていた。けど。戦った。
「何故遅刻したんですか?」
「諭吉さんを取り返す為に戦って負けました」
「つまり喧嘩で遅刻したと言うことですね」
「いや。諭吉.......あ、はい。そうです。喧嘩です」
教育指導の先生に睨まれてしまったので状況を説明できない。話を聞いて貰えない。諭吉を取られたと言ってもこれだ。コイツの諭吉を取ってやろうかな。
怖いからやらないけど。
「そういう事なら今日はもう帰りなさい! それと反省としてそこの荷物を音楽室に運んでから帰りなさい」
「あの~諭吉は.......」
バン!! 扉を出ていく教育指導の先生を見て悲しく呟くが返事は無かった。朝から殴られるわ、金奪われるわ、怒られるわ、ぱしられるわで最悪だ。
仕方ないので、言われた通りに音楽室に運ぶ。......結構重かった。段ボールだけど中に何が入っているんだろう。なんかムカついてきた。俺は何も悪いことしてないのに何でこんなことしないといけないんだ! くそ! 音楽室は防音だからこの気持ちを叫んでやる。
扉を開いて中に入る。そして叫ぶ。
「こなくそがぁ!! あのハゲやろう!! ズラなのバレバレなんだよ!! ふぅすっきりした.......」
と思ったら音楽室のピアノの椅子に座りながら俺を凝視する人が一人。
「.......貴方は誰だったかしら?」
「音音さんじゃん! 誰って同じクラスの星野空だよ! 覚えてないの?」
そう朝、俺のことを無視した人の一人。音音と書いておとねと読む。因みに名前は音音と書いてねねと読む。音音 音音という奇跡の様な名前の人だ。しかもネネは小柄で青い髪という特徴もあるので目立つその小ささは既に高校生としてはどうなのかというレベルだ。リスティーや姫野さんも小柄だが去るらに低いのだ。入学して最初名前だけは覚えた。それに実はクラスで姫野さんの次に可愛い子だったりもする。まあ圧倒的に姫野さんのほうか゛可愛いのだが。
「.......貴方に興味が無いのよ」
興味無いのは知っている。俺にというより、誰にも興味無いのだろう。誰が話しかけても無視するし、いつのまにか帰ってるし。一ヶ月同じクラスだったけど声初めて聞いたもん。薄い綺麗な声だ。存在自体薄いけど、名前のインパクトが無かったら俺は同じクラスだと気付かないかも知れなかった。というか普段クラスにいないし、確か特待生で......なんたらかんたらと聞いたことがあるような無いような。......俺も興味ないのかもしれな......いや! 普通そんなものだろう。
「そうか。別に俺もそのふざけた名前を付けたお前の親に興味はあるけど、お前自体には無いから」
「.......貴方.......まさかね」
一瞬目を開いた気がしたが気のせいだろう興味無しということか、まあ発声しただけでレアケースということか。
そんなことよりも段ボールを降ろして早く帰りたい。
「.......違うわ、あっちよ」
俺が壁際に段ボールを置いたら反対側に指を向けた。
「そうか。でも。俺は段ボールを音楽室に運べくそガキ! としか言われてない。ということで俺はこのまま帰る」
わざわざ重い段ボールをもう一度持ち上げてそれなりに広い音楽室の壁から壁へなんて動かしたくない。諭吉を返して欲しい。
とか思っていたら、音音さんがピアノの椅子から立ち上がり段ボールに手をかけて持ち上げた。どうやら自分で運ぶようだ。ふらふらして目が離せなくなる。そして三歩程進んだ所で音音さんが段ボールを落とした。足に直撃した。
「つーーーーー!!」
バタバタと床をころがりまわり痛がっている。しばらくして立ち上がりもう一度持ち上げて今度は二歩で落とした。足の小指にあったったらしい。またバタバタと床をころがりまわる。流石に見てられないので、ころがりまわる、音音さんを踏み付けて動きを止めてから段ボールを持って移動した。
そして音楽室を後にして帰宅した。
その途中で、姫野さんとリスティーが並んで歩いている所を見つけたが、別にリスティーには声をかける必要も無いし、姫野さんは金髪イケメン彼氏がいるし何と無く話し掛けづらかったので何も言わずに帰った。
その後家でダラダラと過ごしてからバイトに向かった。
「くそ!! あの店長マジで何なの!! くそ!!」
今日も店長に叱られまくり帰宅する頃には、12時を軽く越えていた。
「店長の頭髪無いじゃん!! くそ!! 台風の目みたいになってるじゃん!!」
けして、本人の前では言えない事を愚痴りながら部屋のドアを開けた。
取り合えずお風呂にでも入って気分転換をしようかと思ったら居間に明かりが着いていたのでリスティーが起きて待っているんだと思い、最初に居間に行くことを決めた。
「って寝てるし.......良いけど」
がキッチリ布団をかけて熟睡中のリスティーを見て何故かムカつく。
だがまあ普通のことだと思い直してお風呂に入って睡眠を取った。
目覚ましと同時に起きるとリスティーが俺の布団の上で寝ていた。
なんか良い匂いがしてふわふわな体の感触を.......
「邪魔だよ」
危ない思考に捕われかけたので、リスティーを転がして起きる。
「.......ん.......ソラ.......おはよう」
目を擦りながらリスティーが起き上がる。服はいつもいつも、キャミソールだ。
「おはよう。じゃあ俺学校行くから」
「待って!!」
朝の挨拶を終えて制服に着替えて学校に家を出る。基本的に俺の目覚ましは起きる為の物では無く、行く時間を教える物だ。.......が気が向いたのでリスティーを待ってみる事にした。
「早くしろよ~」
昨日はあんまり話せなかったし、夜は寝てたし、昼は.......俺が寝てたし.......午後はバイトで話さなかったし.......
「えへへっ。お待たせ~」
「ん? なんで笑ってるの?」
制服に着替えて出て来たリスティーが満面の笑みを浮かべていたのが不思議だった。
「ソラと学校に行けるから~」
「幸せな奴だな」
それだけでそんなに笑顔になれるなんてある意味凄い。
他愛もない話をしながら電車に乗り込む。
「きゃっ! 痴漢!!」
リスティーがそんなことを言った。
「よかったじゃん。世の中には痴漢もされない女が居るのに.......リスティーは痴漢されるだけマシだよ」
適当な事を言いながら、リスティーの後ろに立つ中年男性を睨めつけておく。
中年男性は冷や汗をかきながら別車両に移動して行った。
「む~! ソラ、痴漢!!」
「あんまり痴漢、痴漢騒ぐなよ。良いじゃないか減るもんじゃないし。俺が触りたいぐらいだね」
「痴漢!! ソラエッチ! 馬鹿!」
まあ別に本当に触る訳では無いので言っているだけだがリスティーは真に受けたようでさっさと電車を降りてしまった。
「おい、待てよ」
と言って追い掛けようと腰をあげたら、帽子を被って警棒をぶら下げている人に捕まれた。
「えっと駅員さん? 俺この駅で降りたいんだけど」
「ちょっと来てもらえるかな?」
「学校あるから遅刻しちゃうんだけど」
「言い訳は後で聞くから、痴漢は犯罪だよ」
痴漢? 違う! 冤罪だ。犯罪じゃない! リスティーが痴漢、痴漢騒ぐから俺が痴漢したことになっている。
「俺はやってないぞ!」
やるなら、家でもっと過激なことするぜ!! って言いたいが言えなかった。しないからね。
「犯罪者は皆そういうんだ。早く来い! この犯罪者」
「っは!? それはいくらなんでも決めつけすぎだろう! 犯罪者になら犯罪しても良いのかこの偽善者」
既に駅員さんの中では俺は痴漢した事になっている。痴漢の容疑は冤罪だと証明しずらい.......
「私聞きました。その人、俺が触りたいって言ってました」
「違う! 触りたいぐらいと言ったんだよ! 触ってない!」
周囲の女性の目が痛い。周りは敵だらけだ。それ所か同じ制服の奴までいる。
「ああ、もう良いや。はいはい、痴漢ね。痴漢、痴漢。痴漢しました」
面倒になったので冤罪を被ることにした。被った所で被害者はリスティーなので問題ない。
すると周りの女性が次々に手を挙げはじめた。
「私も痴漢されました」
私も私もと手を挙げはじめた結局五人ほどの女性が俺に痴漢されたと言い電車を降りた。
「女の敵」「変態!」「あれって一組の星野君?」
とか何とかちょっとした騒ぎになっていた。しかしもう昨日から不幸続きで苛立っていたので取り合えず、OLっぽい人を指差した。
「取り合えず、あんたは違う。好みじゃない。痴漢にだって選ぶ権利はある」
ズハリと指差したら駅員さんが。
「何を言っている。私は好みだ」
「聞いてね~よ!」
とか言い出したから驚きだ。もう駄目かも知れない。
「はいはい。それで? 土下座でもすれば良いのかな?」
もうササッと謝って登校しよう。
「お金を払うのよ!!」「そうよ!」「そうよ!」
は? 意味が分からない。金? ああ、
「だから、俺に痴漢されたって嘘をついたのか.......働けよ」
詐欺をして稼ぐのも立派な仕事だ。引っ掛かった俺が悪い。仕方ない。
「じゃあ、あんたは五円な、それであんたは千円.......あんたは諭吉、貴方は諭吉二枚あげるから触らせて。で? お前はマイナス三万千円五円な」
一人一人ちゃんと値踏みしてから財布を取り出して中を中を確認する。
「.......あ、昨日カツアゲされたからお金無いや」
悲しいかな.......金が無いと何も出来ない。もっと働かねば。
「ふざけるんじゃないわよ!! なんで私が五円でそこのが諭吉なの」
「当然じゃない鏡を見てきなさい」
「おかしいでしょ! 痴漢されてマイナスって何よ!!」
「坊や、私の魅力がわかるなんて偉いわ。後二枚つけるならサービスするわよ」
「千円.......」
人間とは醜い生き物である。金が欲しかったら何だってするんだから。
騒がしいので呆れていると見知った人がある中年を連れて歩いてきた。
「それ冤罪よ.......犯人はこっちだわ」
そう連れて来たのはリスティーに痴漢した中年男性だった。
「音音さんじゃん! なんで居るの?」
「.......私も痴漢されたから捕まえただけよ」
脂汗を掻きまくっている中年男性をビニールテープで両手を縛り上げてスタンガンを首筋に当てていた。
「!? この人です! 私もこの人に痴漢されました」
「おう、千円.......その健気さから千円五円に各上げするか」
「五円.......」
千円五円が中年男性を軽蔑したように睨んだので一人解決した。
「私もよ」
「一万円! 嘘っぽいけど良いや」
続いて一万円もくら替えしたので後三人。
「坊や.......どうするの?」
「俺最初は好きな人とやりたいかな~なんて」
「そう、じゃあいつでも連絡して」
と言って二万円も俺にメモを渡しながらくら替えした。後二人。
「五円はいや! 私もそっちのキモい方に痴漢されたわ」
五円もくら替えしたのでよかった。適当なやつらだ
「私もよ」
「お前はしらん!! 痴漢にも選ぶ権利はあるんだ!!」
マイナスもくら替えしたが俺と同じ事を言って中年男性はシラを切った。
「まあ良いや。駅員さん。これで俺の冤罪は晴れたよね」
「おお、疑ってしまって申し訳ない」
「まあまあ、そういう仕事何だから仕方ないよ。でもこれからはもうちょっと人の話を聞いてくれると良いかな」
さてとそれでは学校に行くとしよう。遅刻だけど.......
こうして痴漢事件は幕を閉じた。
「なんで遅刻したのですか?」
「痴漢に間違えられて遅刻しました」
「間違えられる方が悪いです」
「いや.......冤罪.......はい。なんでも無いです」
またまた、教育指導の先生に睨まれてしまったので辞める。素直に謝るのが1番てっとり早い。説明したところで信じてくれない目をしてる。決めつけられてる。
「.......空は何もしてなかったわ解放しなさい」
「そうなんですか! そうならはやくそうと言いなさい。遅刻は取り消しです」
だが音音さんの一言で疑いは晴れたまさに鶴の一声である。
このまま終わるのはシャクなので
「いや~でも確か~間違えられる方も悪いんじゃなかったんですか?」
と余計なことを言った。自覚はあったが.......
「なら反省しなさい! 電車に乗るときは異性に近づかない! 両手をあげる! この二つを徹底しなさい! 先生も毎日やってます」
「え? まさか先生も冤罪を受けたことが?」
「..............ここだけの話ですよ?」
「分かりました。俺先生の事を誤解していました!」
と何故か共感してしまった。
先生は怖い人だとおもっていたのに.......冤罪先生と心の中で呼ぼう。
「空.......もう行くわよ」
「はぁ? 一人で.......」
「痴漢.......」
悔しいが行くしかないようだ。もう少し冤罪先生と話をしたかったのに、このままじゃまた痴漢にされかねない。
「先生また今度話を聞かせてください.......かつあげに合ったときの対処方とかを.......」
とか何とか言って冤罪先生のお別れして音音さんと教室に向かう.......
「あれ? 教室に来るんだ? 何時もいないのに」
「.......」
はい。無視られました。
まあ良いや。
そもそも話しかけて答えるような奴じゃないし.......
教室に入ると既に一限目の現国が始まって.......現代文が始まっていた。
勿論奇異の目を向けられたが今更なのでもう高校青春は諦める事にする。
多分三年間友達も出来ないだろう.......
俺はまっすぐ自分の席に座って鞄から教材を取り出す。
「ソラ.......さっきはごめんなさい」
席につくなりリスティーが謝罪をして来るが授業中なので無視する。
別に怒ってる訳ではなく今俺がリスティーと喋ればリスティーもクラスから溶け込めなくなるかも.......
「そこ、違うわ.......私の席よ」
「え? でも.......竹内先生がここで良いって言いました.......」
と隣で何か揉めているが無視する.......事は出来ない。
「いやいや、音音さんあっちだから! ここじゃないから! 真逆、廊側の1番後ろでしょ?」
「.....................そうだったかしら?」
音音さんはカクリと首を傾げて指定した席に向かった。
自分の席ぐらい覚えろよと言いたいところだが.......まあそれだけ普段から着ていないのだろう。
四限が終わり昼休み.......
ぞろぞろとリスティーに群がるクラスメイト達から逃げて食堂へ向かおうとしたら。
「星野さん待ってください! 置いてかないでください!」
「ん? 姫野さん? 何か用事でもあるの?」
美少女姫野さんに声をかけられた。
姫野さんは肩で息をしながら頬を膨らませた。
「星野君!! 約束は守ってください! 私は昨日お弁当を作らなかったんですよ?」
「ん? 約束? ああ!! 奢るって話か.......リスティーが奢ってくれなかったの?」
一昨日確かそんな約束をしていた。色々あってというかカツアゲにあって行けなかったが、リスティーが金持ちだから奢ってもらえるはずだ。
「むーっ。ソラにしか奢らないもん!」
とはクラスメイト達の肉壁を越えてきたリスティーの言。
「そうですよ。約束したのは星野様です、リスティーさんではありませんよ」
「様!?」
「..............気のせいです。忘れてください」
「いや今俺のこと様って.......」
「忘れてください!」
まあ気のせいだよな、同級生に様付けで呼ばれる訳が無いもんな。
「ささ、いきましょう。リスティーさんも良いですよね?」
「.......むーっ! べー」
姫野さんに背中を押されて教室から出る。
「.......待って私も行くわ」
「え? 音音さんまで俺からたかるの?」
「..............自分で食べるわよ」
「なら良いけど」
ん..............何故か美女三人を連れて昼食を取ることになった。
役得.......でも無い。クラスメイト達の視線が痛いもん。
明日からは一人で食べよう。
「.......音音音音さんでしたか?」
「そうよ、貴女は.......」
「私は姫野聖です。面白い名前ですね。音音さんと呼べば良いですか?」
早速姫野さんが音音さんのコミュニケーションを取っている。
「そう.......貴女.......そういうことね、音音で良いわ、飾るのは嫌いよ」
「そうですかでは音音、よろしくお願いします」
そして瞬時に打ち解けている。流石だ。
「むー増えた!」
「確かに不思議ちゃんばかりが増えていくよね」
「リスティーは不思議ちゃんじゃないもん!」
リスティーのキンキン声が頭に響く。
それを全く気にせず姫野さんと音音さんが話している。
「貴女がいるという事はそうなのね。それであの子は?」
「あの銀髪の少女は星野さんの.......家で同棲しているようです。まあ間違いなく彼女でしょう」
ん? 彼女!? 違うよ! 全然違うよ!
「そう.......彼女なのね。まあ良いわ何時もと同じね.......」
「ということは今回も?」
「聞かないでくれるかしら? 今からが本番よ」
「そうですか.......では好きにしてください.......」
「好きになんてできないじゃない」
「そうですか? 私は好きにしてますよ」
「貴女は何時もそう楽しそうね」
「音音さんはここから楽しむのでしょう?」
「そうね」
何か仲良さそうだ。と思ったので聞いてみる。
「クラスメイトだから知り合いなのは当然として訳ありだったりするの?」
「.......聞きたいのかしら?」
「そうですね.......簡単に言えば彼氏の元カノです」
「まあそういうことよ」
凄く聞きたくない話をきいてしまった。
重いよ。君達の関係。