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3 二日目  家族の意味      日曜日

 玉子が焼ける香に食欲を刺激されて目を開ける。


 「痛っー、体中が痛い、床で寝るもんじゃねーな」


 昨日、床で寝た為に体中がきしきし痛むけどまあ良いか。

 

 「おはようソラ。朝ごはん作ってるからもうちょっと待って」

 「ああ、ありがとう、良い香だね」


 俺が起きたことに気付いた。銀髪の少女が声をかけてきた。


 「クスクス」

 「なんで笑ってるの?」


 何故か俺を見て笑ってる銀髪の少女は昨日、親父がいきなり俺に預けてきた子だ。俺の胸ぐらいの背しか無いが、俺と同い年である。


 「ソラ。口調が優しくなってるから」

 「あ! .......忘れろ馬鹿」

 「忘れないもんっ」


 ついうっかり嫌われる大作戦実施中の事を忘れていた。寝起きだと頭が働かない。


 「ソラが本当は優しいの知ってる」


 ニコニコと笑いかけて来る銀髪の少女を素直に


 「可愛いな」

 「クスクス。ありがとう。嬉しい!」

 「あ! くそ! 忘れろ」

 「忘れなーい」


 本当に頭が回らない。しばらく喋るのを辞めよう。

 

 コトコト、ササササササ、カタカタカタ。

 

 心地の良い音が.......胸糞悪い音が響く。


 テレビの無い子の部屋で、唯一動く銀髪の少女の事を視線で追ってしまう。純白のキャミソールがフリフリしている様子をただ眺めながら.......


 「お前。なんつう格好してるの?」


 銀髪の少女は薄いキャミソール一枚しか着ていなかった。後ろから見ているだけで、少女の白い肌が透けて見える。


 「どう? 可愛い?」

 「もしかしてお前、淫乱なの? 家を回されたって聞いたけどまさか.......ぐぅ!」


 腹に蹴りを入れられた。もろに溝内に入って喘ぐ。


 「ソラ。大っ嫌い!」


 銀髪の少女の宣言と同時にアラームが鳴り響いた。7時だ。


 「おっ。バイトの時間だ。行ってくるわ」

 「え? 朝ごはんは?」


 俺が出掛ける宣言をすると、銀髪の少女がしゅんとして聞いてくる。


 「あーあ。悪い。俺、遅れるから行くわ」

 

 昨日の休むときに既にクビ宣告もらってるのに今日遅れたら洒落にならない。

 どたばたと準備を整えて玄関に向かった。


 「じゃあ行ってくるから、出掛けても良いけど鍵をかけていってな」

 「待ってソラ! ワタシも行く!」

 

 俺が出掛ける準備をしている間に、銀髪の少女も着替えを終わらせていたようだ。

 今日は昨日と少し違う白いワンピースを着ている。


 「こんな朝早くからどっか行くの?」

 

 まさかバイトが必要な訳でもあるまいし。

 

 「ソラと一緒に行く!」

 「俺今からバイトに行くんだけど?」

 「ワタシも行く」

 「ついて来てどうするの?」

 「終わるまで待ってる」

 「終わるの夜7時なんだけど?」

 「待ってる」


 馬鹿だ馬鹿だといってきたが、今こそ本気で言おう。


 「お前。馬鹿だろ、用事が無いなら大人しくしてろ、俺は行く」

 「分かった。待ってる」


 そうして俺は家を出てバイトに向かった。


 午前のバイトを終えて午後のバイトに行く。午前のバイトは飲食店でやけに忙しい。それと店長が恐い。が午後のバイトはしがない喫茶店なので落ち着いている。というか客がいない。


 「マスター。潰れたりしないですよね」


 優しい顔付きのおじさんマスターに暇なので話しかけた。


 「ウチは趣味でやっているからね、死ぬまでやめるつもりは無いよ」

 「昨日はすいませんでした。急に休んだりして」

 「良いんだよ。若いから色々会ったんだろ~。それに昨日も客は来なかったよ」


 マスターが遠い目をしている。ここで働くのを気に入っている俺としては、もうちょっとだけ客入りが増えてもらわないと


 「俺、クビになったりしますか?」

 「星乃君をクビにするときは店を畳むよ」


 心強い言葉を貰い、安心する。でも土日に客が来ないっていうのはどうなんだろうか?


 チリーン、チリーン。


 とか思ってたら客が来た。すぐに対応しに行く。


 「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」

 「ソラ!?」


 お辞儀から顔をあげて客を見た瞬間影響スマイルが壊れた。

 だって客が真っ白のワンピースと白い帽子を被った。銀髪碧眼の少女だったからだ。俺はこの町で、銀髪銀眼の少女なんて一人しか知らない。白いワンピースを着こなしている少女なんて一人しか知らない。


 「お前。何でここにいる?」

 「お布団を買った帰りだよ」


 そういえば昨日そんなような話をした気がする。ここはアパートからそれ程離れてないしそんなことも有り得るのか。となっとく。


 「星乃君、どうしたの?」

 「なんでも無いですよ」


 俺のもたつきに違和感を覚えたマスターが声をかけてきたので適当にあしらう。


 「カウンター座れよ」

 「何処でも良いんじゃ無いの?」

 「.......良いけど」


 至極真っ当に返されて口ごもる。ちょっと話したかったのだがまあ良いか。

 

 銀髪少女はぐるりと店内を歩き回ってからカウンターに座った。

 結局カウンターかよ! と突っ込みたい気持ちになったが仕事中なのでやめる。


 「ホットコーヒーを一つとクッキーを.......二皿ください」

 「マスター。ホットコーヒー、一つとクッキー二つ注文です」


 どうやら完全に俺がいる事を知らなかったようだ。つけられたのかと思った。

 それにしても素っ気ない.......


 「マスター?」


 何故かマスターの反応が無かったので様子を見に行くとがたがた震えていた。


 「マスター!? どうしたんですか!」

 「星乃君。あの綺麗なお嬢さん、きっとスエーデン人だよ」

 「だから何ですか?」

 「スエーデン人と言ったら.......いや何でもない。気合いを入れて入れるよ」


 よくわからない。銀髪少女はスエーデン人だったって確か親父も言ったてたな。

 マスターがコーヒーを入れてる間に、クッキーを二皿載せる。ってあいつ二皿も食べるのかよ。

 そしてクッキーを二皿銀髪少女の前に置く。

 しかしクッキーには手を付けず、俺をちょっとムッと睨んできた。

 訳が分からない。

 

 しばらくして。コーヒーを入れ終えた。マスターが恐る恐る銀髪少女に運んだ。

 銀髪少女は無言でコーヒーカップを持って香を嗅いでから一口飲んだ。その様が優雅で少しだけ見とれてしまった。マスターなんか汗をかいて様子をじっと見ている。

 銀髪少女がカップから口を離してふぅーと一息入れてから。


 「美味しいコーヒーです」


 マスターがフーッと息を吐き出して見るからに安心している。そして銀髪少女がコーヒーの味や豆やしまいには水にまで語りはじめたと思ったら、マスターが嬉しそうに微笑んで説明をしていた。

 俺には何を話してるのか分からなかったから、黙って外を見ていた。


 「ソラ」


 名前を呼ばれて視線を向ける。既に銀髪少女が来てから30分近く経っていたので帰るのだろうと思った。


 「えっと、会計は.......」

 「むー。ソラ! こっち」


 どうやら違ったみたいだ。頬をぷくりと膨らませながら銀髪少女の隣の椅子をばしばし叩いている。座れと言うことだろう。


 「いや、仕事中だから」


 いくら温厚のマスターだからってさすがにそれは怒るだろう。


 「星乃君。相手をお願いするよ」

 「マスター? 良いんですか?」


 しかし予想を反してマスターが反対しなかった。


 「スエーデンでは普通の事なんだよ」

 「そうなんですか.......ならマスターが話し相手になってあげてくださいよ。俺じゃあそいつの.......お客様の話についていけませんよ」


 コーヒー豆の話とかされても困る。全く知らない。


 「ソラの意地悪」

 「意地悪っておい! 俺は.......」


 なんか素っ気ない態度取ったりムッとしたり、今度は座れって言ったり何なんだよ


 「星乃君。お嬢さんは星乃君とフィーカしたいんだよ」

 「フィーカ?」

 「スエーデンでは、コーヒーを飲むのは一つの文化なんだよ。テイータイムのコーヒー版っていえばわかりやすいかな」


 なんか聞いたことがなくもない。



 「コーヒーブレイクって聞いたことがあったっけ」

 「それだよ。とにかく、お嬢さんは星乃君と話したいんだよ。接客のうちだよ」

 「分かりました」


 仕事と言われれば断れない。たださえ客が少なくて普段何もしていないのだ。こういう時にマスターに頑張りをアピールしなければ!

 俺はカウンターに腰掛けた。.......が知り合いだとやりずらい事この上ない。


 「で、お客様は何をお望みで?」

 「.......」


 無視された。ムカつく。


 「星乃君、彼女何でしょ? 普通に話していいよ」

 「彼女じゃないですよ。知り合い、顔見知り、遠い親戚です」

 「ソラ! 酷い」

 「嘘じゃないだろ! じゃあ彼女なのかよ!」

 「違うけど.......」


 コイツよくわからない。俺にほれてるのか嫌われてるのか、何でもないのか、微妙な所だ。まあ、マスターが普通にしろって言うならするけど。


 「で? 優雅にコーヒーを飲んでいるお前は俺に何のような訳?」

 「クッキー食べて」

 「.......いやダメだろ、仕事中だから.......」

 「星乃君。どうせ他にお客様いないんだ。気にしなくて良いよ」


 マスターにそういわれたら仕方ないのでクッキーを一つ食べる。朝から何も食べてなかったので凄く美味しかった。

 

 「もっと食べて」

 「何? 頼んだは良いけど嫌いなの? 戻して来ようか?」


 たまにある。頼んだけど思ったのとは違って口に合わない時が、だから、一つ二つしか口を付けてないクッキーぐらい棚に戻しても問題は.......無い。



 「むー。ソラの馬鹿」

 「お前いい加減にしろよ。俺で遊ぶな! さっさと帰れ!」


 ついつい頭に来て怒鳴ってしまった。銀髪少女の瞳が揺れる。

 そこにマスターがコーヒーを俺の前に一つ置く。


 「お嬢さん。言葉にしないと分からないこともあるんだよ」

 「マスター? 何でコーヒー何か」


 マスターが顔を振って答えない。そして銀髪少女に合図を送っている。どうやらコイツから聞けということか。何と無くコイツが俺にコーヒーを頼んだのは分かった。


 「ソラが.......お腹減ってると思って」

 「ああ、そういうことか、お前は最初から俺に食べさせる為にクッキーを頼んだのか、だから渡した時、不満そうな顔をしたんだな、そして俺が食べないからお前もクッキーには手を付けなかった訳だ。そうなんだろ」


 銀髪少女がコクリと頷いたのを見てクッキーを食べる。


 「悪かったよ。ありがとう。ちょうどお腹が空いてたんだ」

 「美味しい?」

 「そりゃマスターの手作りだぞうまいに決まってる。お前も食えよ」

 「うん」


 銀髪少女が初めてクッキーに手を伸ばした。それを見ながら思い出す。

 

 そういえば昨日も俺が食うまで食わなかったなコイツ。何かあるのだろうか? 大方親戚を回されてる内にそういうのが染み込んだんだろうな。

 

 「お前。まさか、朝飯や昼飯も食べてなかったりするの?」

 「うん」

 「別に俺が食べなくても勝手に食べていいんだよ。腹が減ったら食べろ」

 

 全く、ムカつく。心底ムカつく。銀髪少女をこんな風にした奴らに心底怒りを覚える。

 確かにコイツは大量の金を持ってるんだろう。でも、それしか見ないなんてのはひど過ぎる。コイツはきっとコイツ自身を見てくれた奴なんていなかったのかもしれない。一人で飯を食うことすら許されないなんてそんなの家族でも何でもない!


 とそこまで怒りをたぎらせた俺に銀髪少女が言った。


 「でも、一緒に食べるのが家族でしょ」


 見事に俺の思考とミックスしたその答えは俺の心を打ち砕いた。

 確かにそうだ。一人で食べるなんて家族でも何でもない。


 「お前は俺と家族になりたっのかよ」

 「うん。ソラと家族になりたい!」


 ため息が出る。家族を失った少女が求めていたものは家族だった。それだけだ。ちょっとだけ銀髪少女に取った態度を反省する。


 「お前確かクリスティーナだっけ?」

 「リスティーって呼んで」

 「分かったよ。リスティー。これからは出来るだけ一緒にご飯を食べるよ」

 「やっぱりソラに会えてよかった」

 

 もう追いだそうとするのもやめるか。不毛だし。


 「そのかわり、俺がいない時でも飯は食べろよ」

 「ソラと食べたい」

 「いつでも食べられる分けないだろ! 良いな! 俺がいない時でも飯を食べる事分かったか?」

 「分かった」

 

 俺とリスティーの話を聞いていたマスターが泣いていた。


 「星乃君。リスティーちゃん困ったことがあったら相談してね。その年で家族になるだなんて大変だろうけどオジサンは応援するから」

 「マスター? 大変ってほど大変じゃないですよ。対して今までと変わらないですから」

 「無理しなくて良いんだよ。でも結婚式には呼んでほしいな」

 「「ぶーっ!!」」


 俺とリスティーが同時にコーヒーを吐き出した。

 家族になる。なるほど確かに結婚するとも捉えられる。


 「マスター。そういう意味じゃ無いですよ」

 「今更隠さなくてもオジサンは応援するから大丈夫だよ」


 駄目だ。話にならない。


 「リスティー。仕方ない結婚するか」

 「ーーーーっ!!」


 思いっきり殴られた。冗談だったのに.......


 「ソラ。大っ嫌い!」


 バタバタと店を出て行った。お金も払わず。


 「マスター。あいつ無銭飲食ですよ。捕まえましょう」

 「良いよ。あんなに可愛い子がウチのコーヒーを飲んでくれたんだ。それだけで満足だよ」


 それはずるいだろ。可愛いければ許されるなんてのは間違っている。


 「甘やかしちゃダメです。マスター。捕まえましょう」

 「そんなに言うなら星乃君が払ってあげなよ」

 「え?」

 

 恐る恐る、伝票を覗くと2500円の文字が。足りない。全財産使っても全然足りない。


 「マスター。ちょっとだけ抜けて良いですか? 捕まえて来ます。あいつが俺の財布を握ってるようなものですから」

 「もうそんな関係なのか、若いっていうのは素晴らしいね。今回は良いよその代わりにまた来て欲しいって伝えてくれるかな」

 「もちろんです。必ず来させます」


 なんかさらに勘違いされたがまあ良いだろう。でも二千円は払ったのだった。

 

 アルバイトを終えてアパートに戻るとリスティーが拗ねていた。

 見るからに私機嫌が悪いですといったふうだ。

 無視してお風呂に直行した。

 別にわざわざ構う必要は無い。あいつのせいで俺の財布は空っぽだ許せん。

 が既に湧いているお風呂の湯を見て気が変わった。


 浴室から出てまだ拗ねている。リスティーを見る。


 「リスティー。何で怒ってるの?」

 「ソラが、からかうから」

 

 やっぱり結婚云々か、まだ怒ってるのか面倒だな~。でも。


 「じゃあ何でお風呂湧かしたの?」

 「ソラが入ると思ったから」


 怒っててもそんなことをしてくれたリスティーに素直に感謝する。

 

 「結婚とか言って悪かったよ。ごめんね」

 「ソラは、ワタシと結婚したいの?」

 「いや全く全然したくない」


 めんどくさいし、料理下手だし、過去とか色々重そうだし。絶対嫌だ。


 「むー。酷い」

 「で? 許してくれるの?」

 「んーーーーー。.......良いよ」

 「よかった」


 許してくれなかったら追い出してやろうかと思った。マジで。うざいし。


 「じゃあ風呂入ってくるけど、トイレ先に行く?」

 「行く。ソラはこれ付けてて」


 渡されたのは耳栓だった。俺はそれをごみ箱に投げ捨てた。


 「だーかーら! 無駄金を使うなって言ったよね」

 「無駄じゃないもんっ」

 「諦めろよ、この家で住む限りプライベートなど無い。自慰とかもお互い気付かないふりしよう」

 「そんなことしないもんっ」

 「嘘だね。昨日夜遅く.......ぐふ!」


 蹴られた。


 「ソラのエッチ! スケベ!」

 「リスティーがやって.......ぐふ!」


 殴られた。


 「大っ嫌い!」


 順調に嫌われてるみたいだった。


 お風呂から上がって部屋に戻ると既に夕食が出来ていて、何故かちゃぶ台がありそこに夕食がおいてあった。その横でリスティーが待ち疲れたのかすやすやと寝息をたてていた。


 「だから、待ってなくても良いのに。馬鹿だなー」


 ほっぺたをつんつん突いて言うが起きる気配無し。この場合俺は食べていいのか? そしたらなんか怒りそうだな。食べなくても拗ねそうだな。よし起こそう。

 

 リスティーの肩を揺する。


 「おいリスティー起きろ、せめて布団で寝ろ風邪引くし体痛くなるぞ」

 「うっううん。ん? ソラ?」


 目を擦って俺を見るリスティーが急に抱き着いてきた。


 「ソラ! 会いたかったよ! ずっと会いたかったよ! ソラ大好き!」

 「お、おいリスティー。寝ぼけるな。抱き着くな暑苦しい」


 がっちり掴んで離さいリスティー。


 「ソラ。ありがとう。大好き」

 「意味が分からない、ぞ!」


 覚醒させるために頭にチョップをする。

 すると覚醒したのかクビを傾げはじめた。


 「ソラ。何で抱き着いてるの?」

 「リスティーが離さないんだろ! 嫌なら離せよ」

 「? 嫌じゃないよ」

 「嫌じゃなくても離せよ。夕飯食べるんだろ?」

 「あ! 冷めちゃう!」


 ぱっと離れてすぐに夕飯の確認をする。

 それをちょっとだけ、惜しいことをしたなと思った。


 「冷めちゃった。温め直すから待って」

 「リスティー」

 「ん?」

 「.......何でもない」

 

 何を言おうとしたんだろうか?

 一つだけはっきりしているのは、その日の夕食もまずかったということだ。


 就寝前布団を敷きながらリスティーが聞いてくる。


 「ソラ、今日も一緒に寝ないの?」

 「寝ないよ。ってかリスティーと一緒に寝たら睡眠所じゃなくるかも知れないし」


 勿論、健全な男子高生の俺にも性欲とものは在るただでさえトップアイドルよりも美しいリスティーと同じ布団でなんて寝たら理性が持たないかもしれない。


 リスティーとは家族になるのだそんなことはしたくない。それに今までたらい回しにされてきたリスティーを思うとそんな気分にはどうしてもなれない。あかるい彼女の心の傷を広げるような真似だけはしたくない。


 それに何より俺には好きな人がいるのだ。リスティーに負けず劣らず可愛い子だ。というかリスティーより可愛いなうん。一目惚れとはあの事なんだろう。ああ、明日から学校だまた会える。話せて無いけど......。


 「ぶぅ~! 良いのにソラなら」

 「良くない!」


 こんなやり取りの後しっかり二枚の布団を引いて睡眠を取った。少女の甘い匂いだけはどうしようも無かった。

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