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十八 八日目 満月下の誓い  土曜日 (最終回)

 俺は走る。全速力で足を動かした。辺りはもう夜のトバリに包まれて、満月の月明かりに照らされる五月の夜を一人かけていた。


 たった一人、遠い異国の地から俺を尋ねて来てくれた少女を頭の中に思い描いて。

 初恋の少女の想いを蹴り飛ばし、迷わず俺は駆け出した。


 大量に汗をかきながら、喧嘩して別れた銀の少女のいる場所。一間しかない小さな小さなボロイアパートの一室に笑って怒って喜んで哀しんでそして泣いたあの少女の元に。


 息をきらして夜遅く、もう時刻も十時になる頃にようやく俺はたどり着いた。

 数十時間ぶりの自宅の扉を開ける。どうせまた一人で料理を作って待っているだろう、そう思って扉を開けた。


 そこで部屋に明かりが灯って無いことに気付いた。この一週間、一度も彼女が来てからそんなことは無かったのに相当怒っているんだろう。

 そう思い、俺はたった一つの扉を開けた。


 「リスティー.......!? リスティー?」


 暖かい料理の香は漂っている。そこに少女は居るはずだ。居るはずだった.......

 居るはずの銀の少女はそこには居なかった。まだ湯気が経っている皿を残して忽然と姿を消していた。


 呼び声に静寂で答えられた。

 居ない。そう確信しながらも俺は、明かりをつけることすら忘れて小さな部屋中を探し回った。お風呂場を、押し入れを、でも.......居なかった。


 居ないと分かったら急に足に疲労が来た。力が抜けて一人、部屋で座り込んだ。

 たった一人の部屋は八日前までは当たり前だったのになぜだか無性に淋しくなる。とても心細い。


 「俺.......あいつにこんな場所で一人待たせてたんだな.......リスティー。お前がバイトやめてっていうわけだよ。淋しいな」


 リスティーの気持ちをほんの少し理解してそれでフッと笑ってしまう。


 「何だよ。ちくしょー。居ないのかよ。姫野さんの家を出てきちゃったじゃん。全く......どこ行ったんだよ」


 そんな俺の誰にも問い掛けてない問いに答える声があった。

 鈴の音の様に透き通り綺麗なその声色で、


 「帰ったのよ」


 そういった。

 振り返るまでも無い。


 「ネネ。居たんだ.......よかった。居ないから、また戻っちゃったのかと思ったよ」

 

 音音音音、俺が四億で買った少女。そして俺が人生を共にしても良いと思う少女だ。

 そんなネネは電球の紐を引いて明かりを付けた。


 「そうね。それも良いかも知れないわね」

 「ふざけんな!」


 ネネの冗談に俺は本気で怒る。

 それだけは許さない、なにがあっても、もう絶対にネネにあんなことはさせやしない。


 「でも、ダーリン貴方......朝と声が違うわよ。覚悟を決めた、そんな声だわ」

 「.......そんなことまでわかるの?」

 

 ネネに見抜かれていることに驚く。

 俺が朝とは違う覚悟を決めたことを。

 姫野さんと話し。全てを知って疲れて見た『あの』夢で俺の覚悟はガラリと変わった。


 「ふふん。当然よ。私は貴方をずっと待っていたのよ。私には貴方しか居ないから、それぐらい分かるのよ」

 「そう.......なんだ」


 ネネという一人の人物は不運な生い立ちから始まり、そして俺と出会い結ばれることで初めて幸せの花が咲く。


 「ネネ.......俺は.......」


 それが前世でネネだった人が残した呪縛。人生を縛ってようやく俺とネネの間に輪廻を超える絆を結んだ。それ程、前世の俺は前世のネネに愛されて居たのだろう。


 「色々思い出したよ。というか、姫野さんに聞いちゃった」

 「そう.......私は何にも恨みは、しないわ。勿論、前世の私がしたことにも。貴方が選択する今にも、これから私に待ち受ける未来にも、何一つ、誰一人、私は恨まない。たった今。こうして貴方に会えている、それが私の全てを捨てても良い、理由なのだからね」


 俺とネネの間に具体的な話は一切無い。けれどネネは俺の選択を予感していて、俺はネネの選択が分かっている。


 「俺は恨むよ。前世の君を、そして俺を、何も考えず、ただもう一度、会いたいと願った、そんな馬鹿な奴を、俺は......恨むよ」

 「ダーリンは優しいわね。私は恨まないのかしら?」

 「君は悪くない。悪いのは全て君を縛った前世の俺と君だよ」

 「.......ふふん。そうかも知れないわね。もっと上手く貴方に会いたかったわ」


 そういってネネは後ろから俺に抱き着いた。

 そして


 「さあダーリン。前世の貴方は王だったから全ての女性を愛せたわ。でも今の貴方は日本で生まれた、ただの一般人。全てを愛せる、何て都合の良い話は無いわ。選びなさい」

 「.......ネネ。俺は『..............』よ」


 俺はネネにそういった。するとネネは愉快そうに涙を流した。そして。


 「そう.......私は貴方の選択を受け入れるわ、例えそれがどれだけ悲しいものでもね、愛しているわダーリン」

 「.......ごめん。ネネ。君の人生をくれとはもう言えないや。でもネネ。約束して? この先何があっても二度とその身体、売らないって」

 「それはダーリン.......貴方次第よ。私は死にたくわないわ。生きてる限り、いつか貴方がまた私を迎えに来てくれるかも知れないから、ね?」


 奥歯を噛んでそれ以上のネネとの会話を切り上げる。決めたことを覚悟を決めたことをいつまでも話してたって仕方ない。


 「ネネ。リスティーはどこ?」

 「帰ったわ。そういったはずよ。律義にお金は私に渡してね『ソラと幸せになって!』そういっていたわ」

 「あの。馬鹿野郎!! クソ! 空港かよ!! どこの!?」

 

 リスティーが帰ったのならスエーデン以外に有り得ない。金持ちリスティーの事だ。スエーデンにだっていくらでも居場所はあるだろう。こんなボロいアパートで、こんな馬鹿でスケベな俺と暮らす必要は何一つ無いのだから。


 この町から海外へ行く方法は一つしかない、しかも今すぐとなると飛行機しかない。

 けれど、空港は二つある。西と東に一つずつ。


 「ダーリン。ごみ箱にあの子の日記が捨てられていたわ」

 「.......待って。今はそんな事どうでもいいから」


 外せば二度と会えないだろう。スエーデンに帰ったリスティーを俺は見つけられる気がしない。

 どっちだ? 西か? 東か?


 「ダーリンとあの子の始まりの日も記されていたわ」

 「良いから! ネネ。黙ってて」


 時間が無いのか、あるのか、すらわからない。分からないけれど、どっちかに行かなきゃリスティーとはもう二度と会えない。なら行くしかない。

 西か、東か、最早かけだ。


 「私は読んだ方が良いと思うわよ」

 「ネネ!」


 ネネが渡してきたリスティーの日記を投げ捨てて俺は走りだそうとして......そして。日記の内容を目にした。


 ■■■■■■


 「ソラ.......さようなら」


 クリスティーナ・フォン・ソフィアは飛行機の前に立っていた。そしてクリスティーナは最後に楽しかった思い出の地を見渡して飛行機に乗り込んだ。


 「.......ティー!!」

 「.......!」


 クリスティーナの耳に、聞こえるはずの無い声が聞こえた。

 有り得なかった。クリスティーナは十分に彼を待って彼が帰って来ない事を確認してここまで来た。

 それにここが彼に分かるわけが無い。


 「リスティー!」

 

 分かるわけが無いのに彼はそこにいた。沢山の警備員に捕まって、押し倒されて、それでも彼は這って一歩、前に進んだ。


 そんな彼の姿にクリスティーナは。


 「ソラ! 何で!?」


 クリスティーナは飛行機を飛び降りて彼、星野空の元に駆け出した。

 しかし。クリスティーナと空の間には一枚の分厚いフェンス。そして何よりクリスティーナの遺産を求めて日本にまで自家用ジェット機を飛ばしたスエーデンの大貴族、コールトール伯爵の警備員が空とクリスティーナを突き放す。


 「リスティー! お前! ふざけんなよ! 何で勝手に帰ろうとしてんだよ!」

 

 クリスティーナ様。お早く。

 警備員にクリスティーナは腕を取られ飛行機へと無理矢理乗せられる。


 「しかも、西空港でも東空港でもなく自家用ジェットとかマジ危ない!」


 そう、クリスティーナがいたのは国際空港ではなく、個人が持つ滑走路だ。

 実はクリスティーナは日本に来る際ある約束を強いられた。未成年の少女にはその約束を呑むしかなかった。


 クリスティーナ・フォン・ソフィアはコールトール伯爵の養子となり日本での生活で星野空との婚姻を結べない場合、可及的速やかにスエーデンへと帰国し、コールトール伯爵に全ての財産を明け渡す。そういう約束だ。何枚もの契約書に血印を押していた。


 期限は高校卒業までだが星野空にクリスティーナ以外の交際者が現れたら即帰国。


 そんな条件もあった。

 それを呑まなければ永遠に日本にクリスティーナが来日することは出来なかった。それ程、クリスティーナが持つ財産は大きかったから。


 「リスティー! 戻って来いよ。俺が悪かった。もう約束は破らないから」


 星野空の言葉にクリスティーナは足を止めることは無かった。

 止めずにクリスティーナは言う。


 「ソラの馬鹿! 約束、覚えてない癖に! リスティーの事、忘れてる癖に!」


 クリスティーナは嬉しくて、つい駆け寄ってしまったが、もう諦めていた。


 ソラを待って帰ってこなかったから、すぐに戻ってきてくれると思った......ソラは夜になっても戻ってこなかった。

 クリスティーナの目の前でいくら誘ってもクリスティーナには手を出さなかった空が音音としようとしていた。


 それはクリスティーナの敗北を認めさせ。過去の約束を諦めるには十分だった。


 「馬鹿! 馬鹿! 大っ嫌い! 何も覚えてないソラなんか大っ嫌い」


 クリスティーナの瞳には大量の涙が溢れていた。

 そんな涙を見て空は口を結んだ。なにか一つ、ここからなにか一つ、言葉を間違えればリスティーとはもう二度と会えなくなる。そういう予感がしたから。

 

 何をいえば良い? 何を? 言えばリスティーは?

 何を? 決まっている。決まっている。


 男が女を引き止めるときに言うことなんて、決まっている。その覚悟はもう決めてきた。ネネにも姫野さんにも言ってきた。

 だから空は飛行機に乗り込むクリスティーナに向かって全力で叫んだ。


 「俺は!! クリスティーナ・フォン・ソフィアが!! 好きだーーっ!!」

 「え?」


 クリスティーナの足が止まった。そしてクリスティーナは口を開いた。


 「でもソラはネネが.......」

 「ああ。好きだよ。でもリスティー。君が泣くから振ってきた」

 「え!?」


 ああ。そうだよ。言ったよ。あんなに健気で可愛いネネに言ってやったよ。


 「俺は『リスティーを選ぶよ』って言ってきた!」

 「っ.......ぁ......ぅ」


 ほんの一瞬。クリスティーナの目が見開きそして暗い表情でいう。

 もうクリスティーナも覚悟を決めていた。今更そんなことを言われてもどうしようもなかった。

 だから。


 「ソラは何も覚えてないでしょ? リスティーの事、何も覚えてない! 約束.......したのに!」

 「ああ」


 星野空は肯定して。


 「もうリスティーを独りにはしないよ」

 「え!」


 そう言った。


 「あの日の事全て思い出したよ。いや.......もう一つの方は忘れてたけど」


 リスティーの日記に書いてあった。『将来ソラと結婚する!』の文字が。

 そんな約束をした覚えないが、


 「リスティーが独りになった時、その時は俺のところに来い。そうだろ? だからリスティーは来たんだよね? 遠い異国の地から、たった一人の家族(俺)を求めて」

 

 姫野さんの家で全てを聞いたからか、リスティーの涙を見たからか分からないけれど、俺はあの夜のことを思い出した。


 不幸で縛って輪廻を超える程、愛してくれた少女や、桜の下で出会った初恋の少女より前に、白銀の少女との約束を思い出しそして選んだ。

 

 「リスティー。俺はもう、君を独りにしないーっ! だからリスティー.......」

 「ソラ! 違う! リスティーが聞きたいのはそんなことじゃない! ソラ! 約束。ソラとの約束! そうじゃないとリスティーは帰らないといけないの! ソラ.......お願い.......約束!」

 「だから独りにしないって!」

 「むー! ソラ!」


 .......約束?

 約束.......

 嘘だろ.......だってそっちはリスティーが勝手に言ったんじゃん。


 「リスティーもソラが好き! ソラが大好き!」

 「.......ありがとう」


 いきなりの告白.......じゃないか。リスティーはずっと言ってくれてたし何より俺がリスティーに最初に言ったんだ。おかしくない。


 「ほら! ソラ! 大丈夫! ソラが言って! ソラに言ってほしい!」 

 「言いたくない!」

 「むーっ! 帰る! 馬鹿! 大っ嫌い」


 好きって言われたり大好きって言われたり嫌いとか馬鹿とか大嫌いとかコロコロ変わり過ぎだろう!

 クソ! クソ! クソ!

 言わなきゃリスティーが居なくなるなら!


 「リスティー! 行くなよ! 俺と.......俺と結婚してくれよーっ!!」


 言ってやった。言ってやったよコンチキショー!

 

 それに、リスティーは今日初めての笑顔を見せて飛行機から飛び降りた。そしてフェンスの網目から手を伸ばして俺の手を掴んで。

  

 「うん! リスティーはソラと結婚します! 末永くよろしくお願いします!」

 

 そう言った。

 その笑顔が可愛くて、俺の選択に何も間違えなんか無かった事が分かった。

 リスティーを選んだ俺の選択に何一つ間違えなんか無い。

 

 俺はフェンスをよじ登って飛び降りてリスティの細く小さい身体を抱きしめた。


 「もっと早くリスティーを抱きしめていれば良かったよ。俺からもよろしく頼むよ。リスティー......簡式だけど婚約の誓いのキスを」

 「はい......」


 高校生の俺ではまだ結婚してあげられないけど、コールトールの前でキスをすることで結婚の証とする。

 迷わず目をつぶるリスティの薄い唇に俺の唇を重ねた。


 ちゅ......っ。


 リスティーの涙の味がした。

 唇を離してリスティーを見ると大量の雫が目から零れている。

 あれ? 嫌だったのかな?


 「キス? 嫌だったの?」

 「ううん......」


 涙を流すリスティーは首を横に振って言う。


 「ソラと結婚するの夢だったから、嬉しくて......涙が勝手に!」


 拭いて拭いてもリスティーの目から涙は零れる。何度も目を拭うリスティーの腕をとりとめる。

 そしてもう一度キスをする。


 「ソラ?」

 「リスティーの涙が止まるまで、キスするよ。いくらでも泣いて良いんだよ。その涙は全部、俺が受け止めるから、だってもう『家族』何だから、リスティーのうれしい涙も、悲しい涙も、たった今から、全部俺が受け止める」


 むちゅ......っ。


 リスティーの涙が止まるまで俺は何度も何度もリスティーと唇を重ねた。


 《プロローグ》

 

 コールトール伯爵は俺とリスティーに数十もの誓約を書かせてスエーデンに帰国していった。

 

 そのあとリスティーと色々話してまずネネの処遇が決まった。

 流れは俺とリスティーの事を聞いて部屋を出ていこうとするネネに一言。


 「ネネはソラの愛人(ペット)! だから出て行かないで」

 「良いの!?」


 ペットと言われて喜ぶネネにリスティーは続けた。


 「うん。リスティーの夢は叶ったから今度はソラの夢を叶える!」

 「ダーリンの夢?」


 そこでリスティーは俺の腕に抱き着いてにぱっと笑って言った。


 「愛人を作ること!」

 「無いよ! そんな不貞な夢は!」


 思わずツッコミをいれたが無いよね?

 前世の俺はそういうことしていたみたいだけど......今世は......今世の俺は!

 ......。


 「良いの?」


 良いなら是非に!! と一瞬で考えを改めて聞いてみると。


 「良いの! だってソラ。ネネとも一緒にいたいんでしょ?」

 「......うん」

 「なら良いの!」


 そういうことになった。

 因みに。


 「姫野さんは?」

 「やー!」


 駄目らしい。姫野さん......リスティーに何したんだよ。

 

 まあそんなこんなで一見落着し、俺は日常に戻った。

 月曜からは普段通り高校に通う。変わったことといえば、リスティーとネネと手を繋いで登校することか、更に姫野さんもちゃっかり一緒にいるし。


 「クリスティーナさんと結婚ですか? それはおめでとうございます。それで私とはいつにしますか?」

 

 それがリスティーとの件を聞いた姫野さんの反応だった。重婚はできないよっと伝えれば。


 「いえいえ。それは違います。あくまで重婚は婚約を取り消ししなければいけないと言う訳で出来ないわけではありません。私の母国の法律とも複雑に絡み合い、法律の抜け道として婚約出来ます。重婚の夫婦から生まれた子についても嫡出子として問題なく出生届出ができますよ。してはいけないだけで出来ないわけではありません」

 

 と張りきっていた。そんなグレーゾーンの話をされても困るし、俺はリスティーがいやがる限りそんな事はしないけどね。

 

 嫌がらないなら......ゲブンゲブン。


 近日中にリスティーとの愛の巣も買う予定になっている、アパートをリフォームすれば定期的な収入源にもなるし大きな家を買おうと思う。リスティーとの夜の初めてもそこでと言うことだ。


 俺は残りの貯金を全て使って婚約指輪も用意した。


 コールトールとの誓約で結婚適齢期になるとすぐに俺とリスティーは席を入れることになっているのでそのための準備だ。


 そんなことを思い出してから俺は隣を歩くリスティーを抱き寄せてキスをする。


 「リスティー、十年後も二十年後も俺はきっと、リスティーが俺の家に来てくれた日を忘れないよ、好きだよリスティーこれから幸せになろうね」

 「うん! リスティーもソラが大好き! 約束を思い出してくれたソラが大好き! これからもずっと好き!」


 そうしてもう一度唇を合わせた。


 三年後


 大きなグランドベルが鳴り響く中、黒いタキシードに身を包み俺は花嫁を待っていた。

 純白のウエディングドレスを綺麗に着こなしてタッタッタッタと走って来るリスティーを両手で受け止める。


 レッドカーペットと歩き神父の前で誓いを立てる。


 「星野空はクリスティーナ・フォン・ソフィアを妻にして生涯苦楽を共にすることを誓いますか?」

 「誓う」


 即答する。

 

 「クリスティーナ・フォン・ソフィアはーー」

 「リスティーも誓います!」

 

 早い! 早いよリスティー、神父さんまだ途中だよ!

 気が急きすぎて誓いの言葉すら待てなかったリスティー。


 「......では! 誓いのキスを」

 「はい!」


 それを無視して進める神父。

 元気良く返事をするリスティに俺は微笑みながら唇を交わした。


 【完】

 




 

 

 

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