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日常ディファレンス   作者: ユーサ
3/10

部員たちの出来上がった日常

三話目です。

ツイッターをいまさらながら始めました。

つぶやきはあまりしませんが。

なんてやりとりをしているところに扉が勢いよく開いた。

「や~遅れちゃったかな!?他のクラスの子と話してたら時間忘れそうになっちゃってたよ~。」

謝っているようで謝っていないその男子生徒はへらへらと笑いながら部室に入ってきた。

やんちゃ好きに見えるあどけない笑みを浮かべているその男子は迷わず部室奥のソファーに向かっていった。

そのまま荷物を横に置き、ソファーにダイブした。

「いや~、三階から全力で走ってきたから疲れたよ~。ってかまだみんな来てないんだね。」

「まあ集まりが早い方なのは矢野くらいだからな。別に遅れることに関しては何も言わないさ。」

「この部活も目的はっきりしてないし、俺も適当に寝てるくらいだからね。」

ここにきている三人に加えまだ来ていない部員全員が特に目的なくこの部活に所属している。

そもそも映像研究部なんてよくわからない部活に入っている時点で部活に対する意欲がそこまで高くないこともうかがえてしまうものではあるのだけど。

「ん~~・・・なんか暇だよね~。なにかすることないかな、ささちゃん?」

「今日、私らのクラスは課題が出てただろう。それをやればいい。あと、”ささ”まで言うなら全部言えばよくないか?」

「課題はもうとっくに終わってるから大丈夫!それとささちゃんの”ささ”は佐々羅早苗の苗字と名前の最初を取っているからそれは無理!」

力強く断られてしまい、言い返すこともできない。

名前なんてなんと呼んでもかまわないけど、ささちゃんなどと呼ばれたことがないので違和感しかない。

「ねーねー楓。なにか面白いことない?」

「元気だね一条君。俺眠いから力になれないよ・・・」

「寝るなーかえでー!眠ったら死ぬぞー!てゆーか遊ぼー!」

「雪山かここは。一条はちょっとは落ち着け。」

矢野の返答に即興で茶番を始める一条にツッコミをいれ、落ち着かせる。

相変わらずのハイテンションと無限大のコミュ力でこの部の部員は出会って一ヵ月だが居心地が悪くなるようなことはなかった・・・多少鬱陶しくはあるけど。

矢野は一条のことを気にも留めないように、すでに眠りについているようだった。

相手にされず、私も課題に集中し始めたので観念したのか一条もあきらめてスマホをいじりだした。

部室にしばらくの静寂が訪れる。

聞こえるのは文字を書く音と音楽室や中庭から聞こえる吹奏楽部の楽器の音。

落ち着いた空気のなかせっせとこなす課題も順調に終わりを迎えていた。

・・・・・三十分ほど経っただろうか。

課題も終わり同じ姿勢のままだったので、凝りをほぐすように体を伸ばす。

左斜め前に座っている、というよりずっと寝ている矢野をチラッと見て、やっぱり海藻みたいなんだよなぁ、などと思いつつ今まで大人しくしている一条のいるソファーの方を見てみる。

一条はソファーの上でうつ伏せになって寝ているようだった。

・・・まったく、ここの部員は寝るやつ多いな。昼寝部か、ここは。

と軽く心の中でツッコミをいれ、何をするでもなく窓から聞こえる音に耳を傾けていた。

もう少しで眠ってしまうところで部室の扉が控えめにカラカラと開いた。

「おはよう~~~。」

なんとも間延びした眠たげな声で、放課後にするには間違っている挨拶で女子生徒が入ってくる。

「おはようって・・・七瀬。お前また教室で寝てたな?」

「ん~。HRからずっと寝てたら誰も起こしてくれなかったんだ~。」

先ほど昼寝部と称したが、そのなかでも筆頭なのがこの七瀬遥である。

部室での活動の半分以上を七瀬は寝て過ごしている。

同じ教室の矢野に普段の授業も寝ているのか、と前に聞いたことがあるが授業自体はしっかり受けているらしい。

七瀬はふらふらとソファーの横まで行き、棚に置いてある二つある枕の内一つを手に取り、そのまま私の向かいの席に座り寝る体勢をとった。

「また寝るのかよ。」

笑いながら七瀬に聞いてみると返事は返ってこず、すでに寝息をたてていた。

ちなみになぜ部室に枕があるのかというと顧問でもあり物理準備室を半ば私物化している山田唯がソファーで寝るために用意しているらしい。

七瀬と山田唯は寝ることに意気投合し、七瀬の分の枕も用意したそうだ。

こんな風に皆が寝てしまったり、部の名前通りに映画やドラマ、たまにアニメなどの映像作品を皆で見たりすることが、一ヵ月たった私たちのいつもの日常だったりする。

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