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日常ディファレンス   作者: ユーサ
1/10

なんでもない彼の日常

これがなろう初投稿です。多くの人に見ていただけたら幸いです。


5月、入学式から早一ヵ月が経ち浮足立った新入生たちが落ち着き始める頃でもあるこの時期に、ここ神前高校でも例外なく、俺たち一年生はそれぞれ仲の良い者たちで固まっていた。

きゃいきゃいと楽しそうに話している女子や男子が放課後の予定について話し合っている。

というのも今は6限の授業が終わりあとはHRを残すのみであり、かく言う俺も一日の疲労を労うべく机に突っ伏している。

神前高校は神社の裏に建てられた学校であり、むしろ神後じゃん?と思ったこともあるがとりあえずそれは気にせず話を進めよう。

自然豊かで山や森はあるが電車や車道はしっかりしており大型のショッピングモールや専門店などもある地域もあり、田舎とも都会とも言えないどっちつかずな町である。

三代山の麓にある三代神社の裏に建てられているこの学校は部活動に力を入れており、生徒全員が強制入部しなければいけなかった。

とはいえ全ての部活動が全国クラスだとかそういうわけではなかった。

もともと自由な高校であったらしく昔の生徒たちが訳の分からない部活を大量に作っていた。

それに伴い力をいれている野球部や吹奏楽部等とは異なりオカルト研究部やカバディ部など実際あるのかすらも怪しい部が存在し、そこに席だけ入部するという生徒も少なくない。

まあ俺もその内の一人ではあるんだけどね。

HRのチャイムが鳴ると同時に俺たちのクラスの担任が教室に入ってきた。

「はーい、HRやるぞ~。何かあるやついるか?」

この適当さにも一ヵ月ではあるが慣れたものだ。

俺たちのクラスの担任、山田唯先生は教卓の前で気怠そうに俺たちを見渡した。

最初はこんな適当で大丈夫なのかと心配したが、今年で勤続4年らしくこのスタイルでもやっていけているようだ。

セミロングの髪を無造作に跳ねさせ服装も髪型もその適当さが表れているようでおよそ社会人の大人としてどうなのかと言わざるを得ないような人物でもある。

だがその適当さとそれらの負の部分を無効にしてしまうほどの美人であることから生徒からは人気があり、一部ではもっとしっかりすれば完璧超人なのでは?という噂をされるほどだが、身にまとう適当さ故このクラスは既に先生というよりダメな親戚のような感じで接していた。

「特にないな?こっちからも特にはないから今日も解散。後ろの掲示板にプリント貼っておくから各自見るか適当に回しとくように。」

そのまま先生はお疲れさんといいながら教室を去っていった。

神前高校はHR後に掃除をする規則で、掃除分担は月一交代である程度の人数がそれぞれの場所に駆り出される。

今月は当番ではなかったので、そのまま帰り支度を済ませ教室を出る。

教室からは残って掃除することに文句を言いながらじゃれあうクラスメイトの声が聞こえてくる。

他のクラスもHRが終わったらしくイスの足と床の擦れる音があちこちから鳴り、そんな音から離れるように俺は一般教室棟の階段を下りた。

神前高校の校舎は東西に長く、在校生の教室と職員室を含む一般教室棟と授業で時々使われる特別教室棟の二つから成っている。

どちらも4階建てであり一般教室棟は一階は職員室や校長室などがあり、二階から順に三年、二年、一年という割り当てがされている。

特別教室棟は放課後、それぞれの教室が文化部の部室として使用されているが、それぞれの棟を移動するには一階と三階の通路を渡らなければいけなかった。

俺は今、一階から特別教室棟に向かうべく通路を渡っている最中だった。

横目に映るのは一般棟と特別棟の間の中庭には申し訳程度に置かれたベンチが数個と、なぜあるのかがわからないが小さな噴水が置かれている。

噴水には小さな水路と水車が付いていて、いつみても水車と水は絶え間なく動いている。

いつも特別棟に行く際にこれを見ては和まされている。

特別棟を上り、二階に着く。

西側にしかない階段からは遠い東側の一室、扉の上には物理準備室と書かれたプレートが貼ってある。

長々と歩いて少し乱れた息を整え物理準備室の扉を開け、中に入る。

放課後の物理準備室は俺が所属している部活、映像研究部の部室でもある。

教室兼部室には部活動のためにきれいにされている長机とイス、そして物理の先生である山田唯が三年前に持参したらしいソファーが置かれていた。

一度なぜソファーがあるのか聞いたところ、授業のない時はここで昼寝をしているそうだ。

一教師がそんなことをしていていいのだろうか、とも思ったが通常の授業にはしっかり出ているので大丈夫だ、と大丈夫かどうかわからない理由で話は終わった。

基本俺のクラスより早くHRが終わるクラスはないので、大体自分が一番乗りだったりする。

やることもないので、そのままイスに座り他の部員を待つことにした。



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