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Ⅰ 真相の始まり

 輪廻転生って知ってる?

 いや、宗教じゃなくてね。

 僕のことだよ。

 死んでまた生まれ変わる。

 その繰り返し。

 生まれ変わっても30歳までには死ぬんだけどね。

 記憶? 引き継ぐかって?

 覚えていることもあるし、忘れていることもあるよ。

 でも、生まれ変わってから17歳までは、前世の記憶は無いんだ。

 17歳になる年、自分が何者かを知る。

 自分の運命を知る。

 17歳から30歳までの間だけ、僕は世界の一部になるんだ。

 世界が壊れるその日まで。

 僕は運命を繰り返す。


「先生って今22歳だよね」

「うん」

「で、生まれ変わって30歳で死ぬの?」

「そうだよ」

 にっこり笑ってみせると、目の前に座る少年は少し眉を寄せた。

 相変わらず表情がわかりにくい。

 須賀すが由宇ゆう。彼は平凡な顔立ちだけど、何故か容姿が整った人に囲まれていることが多かった。

 初めて見かけたのは、3年前。格好いい父親、綺麗な母親、可愛い弟と一緒にいた。

 次は2年前。今は俳優になっている子と一緒にいた。

 1年前。キラキラした上級生3人と一緒にいた。

 そして現在。可愛い同級生2人と一緒にいた。

 知り合ったのは1年前、由宇が怪我をして病院に来たときだった。怪我は上級生からの理不尽な暴力で負ったもので、その状態で半日倉庫に監禁されていた。本人は平気そうだったけど、念のためということで以前臨時養護教諭として働いていた僕が紹介された。今は在籍していないから相談しやすいだろう、ということらしい。

 話していてわかったこと。それは、彼がぶれない心を持っているということだった。今では患者としてではなく、友人として月に一回は会っている。由宇と話すのは楽しかった。

 そんな由宇だから、自分の正体を話してみた。さて、彼はどう反応するかな。

「あと8年か……」

「信じるんだ?」

「本当のことだよね」

 無表情でわかりにくいけど、由宇は悲しんでいた。

 お伽噺のような、妄想のような話を信じ、30歳までしか生きることができない僕を心配している。

 由宇が僕の話を信じることくらいわかっていた。

 悲しませたかったわけじゃない。ただ、知ってほしかっただけなのに。

「嘘だと思わなかった?」

「そんな嘘を吐く必要がないし。それより、僕にその話をした理由は?」

「君のことが知りたいからだよ。だからまず、自分のことを話さないとね」

 今までこんなに詳しく話したことがなかった。

 まず、輪廻転生や前世の話を信じられない。信じたとしても「オカルトに興味があるから」とか「僕と仲良くなりたいから」とかだった。後は僕を利用しようとするか。

 自分のことを特別な人間だと言うことは、リスクを伴う。

 たとえそれが真実だとしても。

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