再開と不穏な動き
カインとラスは朽ち果てた住宅街を歩いていた。
(ラスと行動するようになってから数日がたった。未だ交わした会話は必要最低限の事だけだ。彼女は俺に心を開いてくれない。気まずいな)
「まずいわ。もうそろそろ食料が尽きてしまう。狩りをする必要があるわね」
「狩りか?なら俺に任せろ!こう見えても狩りは上手いんだ」
「そう?じゃあ期待しとくわ。一番いい獲物はミートエンジェルね。探しに行くわよ」
こうしてカインとラスは食料を求めて探索を開始した。
数時間後ーー
カインとラスはミートエンジェルの背後から数十メートル離れた所に居た。
「ようやく見つけたな!じゃあまずは罠を作ってーー」
カインが得意げに狩りの準備をしていると一つの銃声と共にミートエンジェルが倒れた。
「何すんだよラス!狩りには基本的な準備があってだなーー」
ラスは自分の出番を奪われた事に対してショックを受けているカインをよそにナイフを取り出しながら
「こっちの方が早いわ」
と一言。
(確かに早いが...俺の出番が...)
カインはガックリと肩を落とし慣れた手つきで獲物をさばくラスを見る事しか出来なかった。
夜ーー
カインとラスはかろうじて形を保っている一軒家で雨をしのいでいた。
(こんな世界でも雨は降るのか...)
2人はリビングだった場所で焚き火をしながら先ほど得た肉を食べていた。
「今日の見張りはどっちからするの?」
「そうだな。今日は俺からしよう」
「そう?じゃあお言葉に甘えて少し寝るわ」
ラスは口を手の甲でゴシゴシと拭き横になった。
「ああ、それとーー」
カインが声をかけようとした時には既に寝息を立てていた。
(こうして見るとやっぱりまだ子供だな。俺が守ってやらなくちゃな)
カインはラスの寝顔を見ながらそんな事を考えていた。
数日後ーー
カインとラスはグレートウォールの前に立っていた。
「ここがグレートウォール...この壁の中に町が...」
「そうよ。入り口はこっち。ついてきて」
2人は壁に沿って左に歩き始めた。
「ここはどういう街なんだ?」
「ここはスクラップで作った壁と壁の間にある町よ。ここはエリアごとに区切られていてそれぞれに区長がいるの。そしてそれをまとめているのがここの市長であるラースよ」
2人が会話をしていると一つの大きなゲートに到着した。
ゲートの前にはたくさんの商店が存在しており一種のバザールのようだった。
「賑やかな町なんだな。想像と全然違うよ」
「そうかしら。きっとあなたが見てるのはここのほんの一部よ」
ゲートの右端の方に人間1人が通れるくらいのドアがあり2人はそこから中に入った。
ウォールの中は中央は道となっておりウォールに接している両端に様々な家や店が位置していた。
「じゃあここでお別れね。それじゃ」
ラスはそう言うと早い足取りで人ごみの中に消えた。
(引き止めるひまも、ありがとうを言うひますら無かった…本当にこれでいいのだろうか?彼女は1人でやっていけるのだろうか?)
カインは呆然と立ち尽くしていた。
「あれぇ?もしかしてあんたカインさん?」
聞き慣れた声にカインが振り返るとそこにはガーディアンズの町の酒場の店員が居た。
「何でお前がこんな所にいるんだ?」
「それはですねぇ、実は私もカインさんを見ていたらまた旅がしたくなりましてねぇ。私実は結構腕利きの傭兵だったんですよ」
「だった?今はしてないのか?」
「はい。昔任務でドジってね。それ以来私信用は地に落ちたんです。それに手足も失ってね」
「そうか。すまない事を聞いたな」
「気にしないでください。ここで会ったのも何かの縁だ。酒場まで一緒に行きましょうよ」
「そういえば自己紹介がまだでしたね。私はレントです」
「俺は…知ってるよな」
カインは見慣れた顔に会えた事を喜びながら酒場へ向かった。
2人はテーブルにつきながら酒を飲んでいた
「それで、何でカインさんはこんな所に?」
「ちょっと人探しをな。お前は?」
「私は単にぶらぶら旅してるだけです。でも人探しですか…どうせぶらぶらしててもする事無いし手伝いますよ」
「いいのか!それは助かる!それで俺が探してる人物っていうのはすごいテクノロジーを所有していると人物だ」
「すごいテクノロジーですか?パッとは思いつきませんが、明日昔の仲間に聞いてみます」
「それは助かる!俺も町の人に聞いてみるよ。所で一つ聞きたいんだが、この世界の通貨は何だ?」
「本気で言ってるんですか?アッハハハハ!いやあすいません。そんな事を聞くやつは初めてだったんで。この世界の通貨は銃弾ですよ」
「世間知らずで悪かったな。銃弾が通貨なのか...」
(じゃあこれからは倒した敵から銃弾を頂くとしよう)
「兎に角今日は寝ましょう。もうクタクタです。カインさんの分の宿代も払ってるんで。それでは」
(なかなか羽振りのいい奴だな)
カインは重い腰を上げ部屋へ向かった。
翌日ーー
カインは町の人に聞き込みを行っていた。
だが殆どの住人は何も知らなかった。
(全然情報が入らない。こりゃレントが頼りだな)
カインはどこか憎めないレントの笑い顔を思い出していた。
「すいません。ちょっといいですか?」
カインは突然男性から話しかけられた。
「はい、何でしょう」
「グレートウォールセキュリティの者なんですけど、最近この近くで火薬が盗まれたとの報告がったんですが、何か知りませんか?」
(セキュリティ?警察か)
「いや、何も知らないですね」
「そうですか。ではまた何か情報があったら区長室または他のセキュリティに報告を」
そう言うとセキュリティは他の住人に聞き込みを始めた。
(確かによく見るとセキュリティの奴が多いな。それにしても火薬が盗まれるとは物騒だな。もうそろそろレントも調査をいるだろう)
カインは待ち合わせ場所の町の広場でレントと成果を報告していた。
「こっちは収穫ゼロだ。そっちは?」
「こっちもダメです。諦めて他の町に行くべきですね」
「そうか。ならまずは必要な物資でも買うか」
そうして2人は町の商店街へ足を進めた。
その途中1人の少女が路地裏へと引っ張られていた。
(何だ今の?今のは何か...引っかかる。見に行くか)
カインは人気の無い路地裏へと入っていった。
カインは曲がり角から様子を伺った。
そこには5人の男と1人の少女が居た。
(一体何だ?怖いな)
「てメェの仲間はどこだ!さっさと教えろ!」
サングラスをした男が、帽子をかぶった少女に怒鳴りかけている。
「何言ってんの?あいつは仲間なんかじゃない。偶然そこにいただけ」
「ふざけるな!じゃあなぜ一緒に行動していたんだ!」
「あいつは仲間じゃないって言ってるでしょ!」
「へっ、そうかよ。じゃあ力づくでもいいんだな?」
男が少女に拳を振りあげようとした時
「おい!お前ら何してんだ!そんな小さい子供を虐めて楽しいか!」
カインが男たちに声をかける。
「何だ、にいちゃん。死にたくなかったらさっさと失せな」
「それはこっちのセリフだ」
「ハァ、しゃあねぇ。おいお前らこいつをやるぞ」
男たちはカインを取り囲むように円になった。
「いケェ!」
合図と共に男たちが一斉にカインに殴りかかろうとした。
(まだ駄目だ。もう少し引き寄せて...今だっ!)
カインはエアブラストを唱えた。
男たちは風の力によって壁に叩きつけられた。
「ああくそッ!何だ今の!もういいお前ら行くぞ!作戦がまだある!」
男たちはぞろぞろと路地裏から逃げていった。
「あんた、何であたしを助けたの?」
ラスは立ち上がってカインに問いかけた。
「何でって…助けたかったからかな」
「でもそんなーー」
狼狽えるラスを横目で見つつカインは考え事をしていた。
(あの男たちの言った作戦、盗まれた火薬そして数日前にも2人のレイダーが作戦と言っていた。もしかするとそうかもしれない。これは知らせた方がいいだろう)
カインは突然ラスの手を掴み走り出した。
「悪い!区長のとこまで案内してくれ!」
「は、ハァ?ちょっと離してよ!区長室までずっと真っ直ぐだから離してって!」
カインはラスの言葉を気にもせず区長室まで走り抜けた。
「おい!何だ貴様!」
「緊急事態だ!火薬についての情報だ!」
「わ、分かった!」
カインは扉を思い切り強く開け区長の前に現れた。
「何だお前!」
「盗まれた火薬についての情報だよ!いいかあの火薬はーー」
カインは自分の考えを区長に話した。
「それは本当か!なら今すぐセキュリティを配置につかせなくては!おい!セキュリティ!戦闘配備だ!」
「了解です!おら!お前ら戦闘配備だ!」
セキュリティ達は武器を抱え区長室から出て行った。
「報告感謝する!君も早く逃げなさい!」
「いえ、私は戦います。ですが一つだけこの子を安全な所に」
その言葉にラスは
「はあ!?あたしも戦える!」
と反論したが意味はなかった。
「わかった。この子は私が責任を持って保護しよう。一緒に戦ってくれるなら外のセキュリティの指示に従ってくれ。それではーー」
区長が話し終える前に爆音が響き、地面が揺れた。
1人のセキュリティが駆けつけ息を切らしながら
「やられました!レイダー共に壁を開けられました!」




