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失敗と出会い

初の戦闘シーンです!

町を出てから数日後ーー

カインは倒壊した建物の間をぬってグレートウォールへと向かっていた。

(暗くなってきたな。そろそろ野宿する場所を見つけないと)

カインは長老から貰った水を飲みながら今夜の野宿場所を見つけるために歩き始めた。


数十分後ーー

「今日の偵察はここまでか?」

「ああ、ボスがこれ以上近づくなと」

布をつなぎ合わせた服を着た男二人が車の陰で会話していた。

(あいつらは...いわゆるレイダーって奴か。日本に居た時はゲームでよく殺してたが、現実はそうはいかないだろう。ここで様子を見よう)

カインの判断は実際正しかった。この世界は残酷なのだから。


「だが、最近のボスは慎重だよな」

双眼鏡を覗いていた男がもう一人に話しかける。


「まあ仕方ないだろう。今回の作戦はかなりデカイ。これが成功したら、当分飯には困らねぇ」

(作戦?こいつらただのレイダーじゃない?組織的に動いてるのか?)


「それもそうだな。さあ、そろそろ時間だ戻るぞ」

そう告げると二人の男は暗闇に消えていった。


(ここら辺は奴らの支配下ってところか。注意して進もう)

そんな事を考えながら進んでいるとカインは公園に到着した。


(こんな世界にも公園はあるんだな。まあボロボロで殆どないに等しいが。あのトラックを今日の野宿場所にしよう)

そう考えカインは公園の中心で横転しているトラックの貨物室の中に入り野宿を始めた。


(だがまずいな。このままじゃ、物資がグレートウォールに着く前に無くなってしまう。いよいよ狩りをするべきかな)

すると突然カインの頭の中に女性の声が響く。


「斗真様。旅はどうですか?中々楽しいですよね〜」

(またお前か)

「意外とな。それに俺はまだ幸運だ。未だに戦闘を一回もしていない。それと何で本名で呼ぶんだ?」


「そうですね。普通の者ならもうそろそろ死んでるはずなんですけど〜流石私が見込んだ英雄様(笑)です!本名で呼ぶのはあなたが面白いからですよ〜」

女神は笑いを含んだ声で答えた。


「俺は英雄様(笑)じゃねぇ!まったく。それで調査の方は?」

(もう本名の事は諦めよう)


「調査?なんですかそれ?なーんて嘘ですよ。ちゃんと調べました。ですが...成果は無しです!」

(何故あの女神はドヤ顔をしているんだ)


謎の女神のドヤ顔にイラつきながらカインは話を進める。

「成果は無し?一体どういう事だ?」


「そうですね〜通常なら私の術あるいは私自体に干渉した際には必ず微弱ですがエネルギーの余波が発生します。ですが今回はそれを感知できないのです」


「じゃあ今回はそのエネルギーが出ていないと?」


「それはありえません。先程も言ったようにエネルギーは"必ず"発生します。となると考えられるのは...何かの装置によってエネルギーが感知されないようにしてると考えるのが普通ですが...」


「こんな世界にそんなスーパーなテクノロジーは存在しない...だろ?」


「そうです!流石斗真様!イケメンです!天才です!そんな事より見たいテレビがあるので私は帰ります。それと一つ助言、早く食べ物を入手なさい」


「はいはーいさよならー」

カインは諦めたように返事をした。

無理もない、こんな事は以前の世界でも日常茶飯事だったのだから。


(とにかく今日は寝よう。明日は狩りだな!)


「奴は罠に引っ掛かるかな?」

「多分引っ掛かるな。あんな狂った格好をしているんだ。きっと頭はお花畑さ。さあ準備だ」

不穏な陰二つがカインのいるトラックを見ながらほくそ笑んだ。


翌日ーー

カインは狩りの準備を終えたところだった。

(さてさて今日は狩りだな!前の世界ではよくしたがこの世界ではどうだろう?)

カインが獲物を探しに公園から出ようとしたその時


三回程の銃声が響いた。

(銃声...普通なら行かないが今は食料が優先だ。死体から何か貰えるかも)

カインの判断は通常なら間違っていた。

だが今回は違う。今回はこの行動がカインを救った。


(銃声がしたのはこの辺りか。だが何も見えない。....いや、待て。今のは?)

カインはミートエンジェルとその横に1人の男が倒れているのを発見した。


ミートエンジェルというのは、牛がウイルスによって変異したものだ。

私達の世界の牛と違うのは、変異によって体が大きく膨らみ大量の肉がゲットできる事。それと鋭い角と凶暴性だ。


(あれがミートエンジェル。とても天使には見えないな)

カインはミートエンジェルに近づき、横の男を観察した。


(これは...死んでいるな。脈も無い。安全だな。)

そしてカインがミートエンジェルに一歩踏み出した時。


背後に気配を感じたカインは振り返ったが時すでに遅し。

鉄パイプの感触だけがカインに残った。


どこかの地下室にてーー

カインは目を覚ました…牢屋の中で。

(また気絶してたのか。結構鉄パイプ痛かったなー)


「馬鹿が目覚めたみたいだな!」

鉄格子の前に立つ1人のレイダーがカインに大声で語りかける。


「なあ、見逃してくれない?」

開口一番にこんな事を言う奴がどうして英雄になったのか。

筆者である私も残念だ。


「やっぱりお前は馬鹿だな!貴重な取引材料を逃がすかよ!」


「取引材料?それは一体?」


「何だ?とぼけんのかぁ?言わなくても分かる!お前はーー」

レイダーが自慢げに推理を始めようとしたが...ドカン!

爆発によって遮られた。


「侵入者だ!増援を!」

突き当たりの階段の上から声がする。


「チッ!てメェの料理はまた後だ!」

レイダーは推理を遮られた事に不満げながら階段を上って行った。


(どうやら助かったな。ちゃんと武器と盾もあるな。前の世界でかけてた呪文が役にたったな)

カインが武器ーー剣ーーにかけていた呪文というのは所有者以外は呪文がかけられているものに触れられなくなる呪文だ。


(さてと、これぐらいの鉄なら一振りで切れるかな)

カインの気のこもった一撃が鉄格子を一刀両断した。

そう、カインは一応英雄だ。


(とりあえず上に行くか)

カインは階段を駆け上がった。


ちょうど階段を登り終えた時。

「何でてメェがここに!」

レイダーが銃口をカインに向け引き金を引いたが一歩遅かった。

カインは素早く手刀で銃はたき落としレイダーの首を両手で折った。


(どうやらここは警察署だったみたいだな。誰かさんのおかげで注意がそれてるし今の内に逃げよう)

その時警察署入り口の方からレイダーの大声が。


「早くあいつを殺せ!お前ら何手間取ってんだ!相手はただのガキだろう!」

(ガキ?こんな所に攻撃するガキなんかいるのか?でも、こんな世界ならありえなくは無い。向かうべきだな)


警察署の入り口付近にてーー

「早く撃て!じゃなきゃ俺がお前らを撃つ!」

「1人やられた!仇は取るからな!」

警察署の入り口周辺にはバリケードが築かれ、絶賛戦闘中だった。


(敵さんは全員こっちは見ていないが、1人殺したらすぐバレるな。だがまあ仕方ない)


カインはゆっくりと土嚢の後ろに隠れているレイダーに近づく。

「うわぁ!何だおまーー」

声を荒げる前にそのレイダーは心臓を突き刺されていた。

だが残念だ。他のレイダーがカインに気付いた。


「脱走者だ!3人こっちに来い!あいつを撃て!」

カインに向けて一斉射撃が展開される。


(あっ、死んだな俺。一か八かで盾使おう)

カンッ、キンッ。

盾は銃弾を弾いた。

(うおおお!まじか!銃弾防ぐじゃん!これで何とか遠距離でも戦えるかも!では、行くか)


深呼吸を合図にカインの攻勢が始まった。

「うわあああああ!熱いいいいい!助けてーーー!」

突然レイダーの1人が炎に包まれた。

カインが無詠唱で"ファイア"を唱えたのだ!

残る3人は燃えているレイダーに、カインに恐ろしさを感じながら発砲を続けた。


ピカッ

レイダー3人の前に強力な光が発生した。

カインの"フラッシュ"だ。

3人の目が眩んでる内にカインは1人に素早く盾を投げ首を折った。

カインは2人のレイダーに突っ込んで行く。

1人が闇雲にカインに向け発砲したがこれを難なくかわしカインは2人のレイダーの目の前に居た。


片方のレイダーの銃をはたき落とし、もう片方のレイダーを剣で心臓を貫く。


最後のレイダーがナイフを取り出しカインに切りつけたがカインは素早く心臓を貫いたレイダーとの位置を反転し交わす。


ナイフを持ったレイダーが再び攻撃しようとしたが足をすくわれ転んだ。

カインは容赦なく転んだレイダーを殺した。


(これで最後か)

カインが安堵したのもつかの間再び入り口から銃弾が飛んできた。


(まだいるのか。流石に疲れたんたが。まあいい...待て!銃声は一つしかない!という事は恐らく例のガキか)


「待ってくれ!俺は敵じゃない!こいつらに捕まってたんだ!」

カインが大声で叫ぶと1人の中学生ぐらいの子供が姿を現した。


帽子をかぶりバンダナを顔に巻いているので顔はよく見えない。

その子供はカインに近づき一言。

「助けはいらない。邪魔だから消えて」


「おいおい、あんな量の敵お前見たいな子供じゃ倒せないぞ!」

(何だか違和感がある。なんか髪がやたら長いし、声も高い。もしかして…)


「それにお前もしかして女の子か?」

カインがそう言うと子供はバンダナを取って答えた。


「そうよ。でもこの世界じゃ年齢も性別も関係無い」

少女は冷淡に答えた。


(嘘だろ!こんなに小さいしかも女の子が銃を持って…)

「確かにこの世界じゃ年齢も性別も関係無いかもしれない。だが大人として見過ごせない。どこか目的地はあるのか?そこまで送ってやるよ」


少女はライフルをいじりながら答える。

「いらない。邪魔よ」


(子供らしくねぇな。だが俺の心が言っている。ここで1人で行かせては人間失格だと)

「俺の実力を見たろ?4人を一瞬で、しかも格闘戦で倒した!どうだ、頼りになるだろう?」


少女ははぁ、とため息をつき

「分かった。でも邪魔になったり裏切ったらその時は殺すから」


「あははは....それで目的地は?」

(なかなか怖いな。でも以外と黒い髪が似合っててかわいいな。だが俺にロリコンの趣味はない)


少女は再びバンダナを付け答えた。

「グレートウォール。そこが目的地」


「いいね!俺もそこが目的地だったんだ。さあ一緒に行動するんだ、自己紹介をしよう。俺はカイン・ラーク」


「あたしはラス。じゃあ行くよ。時間がもったい無い」

ラスは早足で歩き始めた。


(愛想が悪いが仕方ない。こんな世界でしかも1人で生きてきたんだ。グレートウォールに着くまでは彼女と行動する事になる。いい関係を築けるといいが)


こうしてカインは1人旅から2人旅なった。

この出会いがカインにいい事だったのかそれは分からない。

だが彼らが出会った事でまた一つ歴史が動いたのだ。





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