真実と事実
「一体...なんだよそれは!!」
「見りゃ分かるだろ?」
頭がうまく働かない。ファイアーマンは、奴の顔は完全に俺の顔だ!そして声も...完全に同じ...。
「おやおや、ようやく顔をさらけ出したのか?」
いつの間にかフューチャーが戻ってきていた。横には変わらず女神様が居る。
「これはどういう事だよ!」
「落ち着きたまえ。ちゃんと説明してやるから」
説明...説明を聞いてもこんな状況を受け入れられるのか?だって...クソっ!目の前に自分と同じ顔で、同じ声で喋る奴がいるんだ!気持ちが悪い!
フューチャーが、どこから話そうか、と語り始めた。
「君は、本当にカイン・ラークかな?一回でも不思議に思わなかったか?何故、この世界に来るより前の記憶が殆ど存在しないのか。答えは簡単!君は造られたものだからだ。君にも分かる様言えば、クローンだよ」
は?そんなの信じられるか?クローン?じゃあ俺は俺じゃない?確かに前の世界の事は思い出せない。でも、そんなの信じられるか!俺は造られてなんかない!
「ハハハ!受け入れられないよなぁ。まあ君がどう思うかなんて関係ない。君がクローンなら、オリジナルはどこにいるのだろうな?」
そんな...。じゃあ今目の前にいるのが...本当の俺?
「ファイアーマン...」
「正解!これで合点がいっただろう?君がこの世界で目覚めてから数日間の、女神とやらの声。一時的に魔法が使えなかったのも、全部我々が操作していたんだ。今回は実験だったんだよ。やっぱり彼の力ってのは凄くてね。彼と同じ力を持つクローンが大量に生産できたら?簡単に世界から汚れた人間を消せる」
「おい!ファイアーマン!いや、カインか?何故あんな奴に協力したんだよ!」
オリジナルのカインが、やれやれといった表情で両手を挙げた。
「別に俺はこいつらが好きで協力した訳じゃない。ただ俺の望みを叶えてくれるから協力しただけだ」
「望みって?」
するとオリジナルのカインが、女神に憎悪のこもった眼差しを向けた。
「娘と...妻の仇打ちさ。そこの女神は決して許されてはいけない!」
突然オリジナルのカインがスイッチでも入ったかの様に、昔の事を語り始めた。
ーーー
ーー
ー
「お願い...私じゃなくて、あの子を、ミアを助けてあげて」
ベッドには1人の女性が、おびただしい量の汗をかきながら、寝転んでいる。
その横には産まれたばかりの赤ん坊を両手で抱えながら、泣きかけている男が1人。そしてその横にもう1人女性が佇んでいた。
「そんなこと言わないでくれ!どっちかを取るなんて、俺には無理だ!」
「選ばなくてもいいですが、もし選ぶなら早くしないと2人とも死んでしまいますよ」
「そんなの!分かってる!あんたは女神なんだろ!なら2人とも救えるだろ!」
男が女神に片手でしがみつく。女神はピクリともせず男を見続けた。
「なんども言ってますが無理です。ですが私の祝福を受け取れば、どちらか1人だけ助けられます。かわりに宿命を負うことになりますが。この世界を救うという」
男は今度はベッドの女性にしがみついた。
「早く...。ミアを助けてあげて。私はもう充分幸せよ」
「クソっ!!ハアハア、ごめんな。お前も助けてやれなくて!愛してる!だから許してくれっ!女神様!どうかミアを、この子を助けてあげてください!」
「宿命を負うことになっても良いんですね?」
「はい!」
男は迷うことなく即答した。すると女神が男の額に手を当てた。すると男の体が光り始めて、あたりが光に包まれた。
ー
ーー
ーーー
そんな事あったか?思い出せない...やっぱり俺はクローンなのか...
「それのどこがどう復讐に繋がるんだよ?むしろ感謝するべきだろ?」
「ああ。ここまでだけならな。お前も娘が死んだ事は覚えてるんだろ?あれは女神にそう仕組まれたんだよ!」
女神様の方を見てみると、ただバツの悪そうな顔をするだけだった。
女神様が?嘘だろ?
「女神の祝福。それには宿命が伴う。その宿命は世界を救う事。そして世界を救う際、弱みがあっては困る。だから娘が死ぬ事は、祝福を受けた瞬間決定した。それだけなら良い。だが、奴は娘が死ぬと知っておきながら俺を勇者に仕立て上げるために、娘が死ぬ事は黙ってたのさ!」
そんな...。女神様も否定しない....なら本当なんだろう。
「だから俺は復讐を果たす」
突然オリジナルのカインが女神の元まで一瞬で移動し、次の瞬間女神の首が地面に転がった。
「オエエエッ!」
後ろからラスの吐いている声が聞こえる。
まじかよ...あいつまじで女神様を...。次は俺か?そしてその次はあの2人...
「2人とも逃げろ!俺が時間を稼ぐ!」
「分かりました!」
俺がなんとか時間を稼いで2人だけでも逃さないと!そう思った時、銃声が響いた。
「は?」
俺は思わず声を出した。だってさっき分かったと言ったレントがラスを撃ったんだ。
「おい!レントォ!お前何してる!」
「すみません」
フューチャーの高笑いが部屋にこだました。
「傑作だなぁ!そいつはこっち側だよ。だからタワーで急に消えたのさ。どんな気持ちだ?自分を否定され、信じていた者に裏切られた気分は?」
頭に血が上り、鼻息が荒くなる。体力は尽きたと思っていたが、奥底から湧き上がってくる。
「レント、信じてたのに...」
一瞬レントを殺そうと思ったがやはり無理だ。裏切り者だとしても。だからフューチャーを殺す。
フューチャーにゆっくりと確実に近づいて行く。
「なんだ今更。お前にできる事は何もないぞ。周りには敵ばかりだ」
フューチャーまであと10歩。
「全く。カイン、奴を殺せ」
「断る。もうやる事はやった」
「なっ!これだから野蛮人は!」
フューチャーまであと5歩。
「レント!奴を殺せ!」
「......」
「おい!何してる!お前にその手足をやったのは誰だと思っている!」
フューチャーは目の前だ。剣を喉に当てる。
「死ね」
「ふざけるな!私は選ばれた人間だ!こんなところでーー」
フューチャーの喉元から血が溢れ出す。無言でラスの元まで行き、抱きかかえようとした時。
「わっ!」
「うわぁ!」
ラスが突然起き上がった。その顔は眩しいほどの笑顔で、死とは1番かけ離れていた。慌ててレントをみると同じく笑っていた。
「どういう事だ!?」
「良い演技だったでしょ?」
「ええ。カインさん完全に騙されてましたよ」
「裏切り者なんかじゃなかったんだな!」
レントは歯切れが悪そうな顔をした。
「いえ、確かに私はホープの人間でした。本当にすいませんでした。気がすまないなら殺しても良いですよ」
レント...
「誰がそんな事するかよ!確かに裏切られてたのはショックだ。でも最後は戻ってきてくれたんだろ?こっち側に」
「カインさん...ええ!」
「とにかくここから出ない?」
「だな」
3人でエレベーターに乗ろうとすると、カインに呼び止められた。
「おい、ここから出るなら早くしろ。もう少ししたら俺はここで暴れまくる。巻き込まれたくなかったらさっさと逃げろ。お前らに一回だけならどんな衝撃も耐えられる魔法をかけてやる。下についたら飛び降りて逃げるんだな」
「あ...ありがとう」
エレベーターの中に入り、扉が閉まるのを待つ。扉が閉まりきるその瞬間、カインが泣いているように見えた。
街の端にたち、真下に広がる雲海を見渡す。
「これ本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。俺が保証する」
「本当に?」
「ああ、さっさと行くぞ。せーのっ!」
「「「うわああああああ!」」」
ーーー
ーー
ー
「本当に大丈夫でしたね」
「ああ。だから言ったろ?さてこれからどうする?」
「私は両親のとこへ帰るよ」
「?」
ラスの両親?見つかったのか?
「実はレントが見つけてホープに捕まってた所をこっそり助けてくれたんだ。今はグレートウォールにいるからそこに行くよ」
そっか。元々その為に旅してたんだな。
「僕はレッドたちとまた傭兵やりますよ。あいつらもこっそり助けてやったんですよ。全く手がかかる...」
あいつら生きてたのか!よかったよかった。
「「それでカイン(さん)は?」」
そうだな、女神様は死んでしまった...。それに俺はクローン...。ま、それでも俺は確かに生きてる。とりあえずスロットに女神様の事を伝えるか。
「まあ、適当に旅するさ。自由に生きるよ」
「そうですか。じゃあさよならですね」
「うん...でも!またいつか3人で会おうね!」
「そうだな!じゃあ皆それぞれの道を行く時だ」
それじゃあと挨拶をかわし、3人はそれぞれ別の道を歩く。
色々あったが、ただ1つだけわかる。
俺は生きてる。
完
はい、正直無理やり終わらせました。というのも、この小説あんまり設定を練らずにで書いてたもので(汗)
後悔してます。次回作はちゃんと設定練ってあります。でもいつ書けるかは分かりません。近いうちにはと思います。よければ、アドバイスとか頂けるとありがたいです。
それでは、ここまで読んでくださった方ありがとうございました。




