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ファイアーマン

発電所の中は真っ暗でスロットの先導なしじゃ進めなかっただろう。

あいつがいて本当に良かったと思うよ。

「イテッ!」

数分に1人は何かしらに頭をぶつけていた。


どうやら発電所は三つの区画に分かれているようだ。

制御区画、発電区画、住居区画の三つだ。

その他にも細かく部屋が存在してるがその説明は必要ないだろう。

それぞれの区画は大体、体育館一つ分くらいかな?


最初の区画の住居区画は何事も無く進めた。

部屋自体にも変わったところは無く、仮眠用のベッドがあったり、食堂があったりといった感じだ。


二つめの区画である制御区画へと繋がるドアの前に来た時スロットが手を挙げた。

「みんな止まれ。奴らがいる」

ドア少し開け隙間から覗くと制御区画は電気がついており、重武装の兵士が何十人もいた。


一番近くにいる2人の兵士の会話が聞こえて来た。

「今回の作戦に一体なんの意味があるんです?」

「任務は初めてか?気にすることはない。俺達はただ命令に従うだけだ。ただ言える事があるとしたらこれは実験だな」


「実験、というと奴の事ですか?」

「ああ。もし科学者達の言う事が正しければ、今後の計画もスムーズに進むだろうな。おや、もうこんな時間だ。荷物をまとめろ」

「こいつはどうします?」

「そこに放置しとけとの命令だ。さあみんな!移動開始!」


男の合図で兵士達が動き始めた。

奴らを逃すまいと部屋に入ろうとするとスロットに止められた。

「やめとけ。あの人数でしかもあの重武装。まともに戦って勝てる相手じゃない」

お目当の奴らはあいつらかもしれないのに!


今すぐ飛び出していきたい気持ちを抑え奴らが出て行くまでグッと堪える。


「よし。入るぞ」

兵士がいなくなったのを確認し部屋に入った。

制御区画はあちこちに制御盤のついた台が置いてあった。

壁には大きなスクリーンが映し出されていた。


「ああエンジェル!生きてて良かったぜ!」

スロットと部下達が部屋の中央で縄に縛られた人物の元へ駆け寄って行く。

「みんなー!会えて本当に良かったです〜!」

どうやら女性のようだ。

スロットに縄をほどいてもらいこちらを見た。


「あちらの方々は.....って斗真様!!!???」

えっ。

その場にいる全員が斗真って誰だ?という顔をしていた。

「めめめ、女神様っ!???!!」

再び皆が女神様?という顔をした。

いったいドユコト?

「わーん!ずっと探してたんですよ〜!」

今にも泣き出しそうに女神様が言った。

「ねえ、カイン知り合い?それにトーマって何?」

「えーと....な、なあレント。悪いけどこの発電所を再起動しといてくれないか?俺はちょっと話が」

レントは何か察したのか頷いてラスを連れて制御盤に向かった。


女神様を部屋の隅まで引きずって行く。

「なんで女神様がこんな所にいるんですか!?これが例のサプライズですか?」

できる限り声を小さくしながら話す。

「サプライズ?何を言ってるんです?それよりもずっと連絡が取れなくて心配だったんですよ!」


どういう事だ?俺は確かに女神様と会って、会話をしていたはずだ。


「何言ってるんですか。ここに来てから何回も会ってるじゃないですか。それでサプライズがどうとか言ってからはずっと連絡が無かったじゃないですか」

女神様がポカンとした表情で首をかしげる。


「何言ってるんですか!あなたを転移させてからずっと連絡が取れなかったじゃないですか!それで心配になって探しに来たら死にかけてるじゃないですか!だから女神の弓で助けてあげたんですよ!覚えてないんですか!」


橋の上ってラストソルジャーズに協力してた時のやつか!

あれは女神様だったのか!

たまには女神様っぽい事するじゃん。

だがそんな事はどうでもいいんだ。

もし女神様の言ってる事が本当なら今まで俺が話してた女神様は一体何だ?

あれは俺の幻想だったのか?


「その節はありがとうございました。でもなんでその後すぐに来てくれなかったんですか?」

「会いに行こうと思ったんだけど、兵士達に追いかけられて、それで....その.....逃げてる内にお腹が空きすぎて倒れちゃって....それで気づいたらあの方達に助けて頂いてて」


なんつーか...相変わらずドジ女神だな。

まあ、ここに来てからは息が詰まるような事ばっかだったし、何より馴染みのある人に会えるのはかなり嬉しい。


「それでスロットさん達と一緒にとりあえすアリーピーに行こうってなってしばらく滞在してたんですよ。そしたらある日突然さっきまでそこにいた兵士達が攻めて来て、とにかくスロットさん達だけでも逃げてもらおうと思って、そしたら捕まっちゃったんです」


やっぱりお人好しの女神様だよな。

ま、女神っていう役割にはぴったりの性格かもな。


「カインさん!もうそろそろいいですか?再起動も終わってこっちは準備万端ですよ」

話し込んでいる間に再起動も終わり、皆が待っていたようだ。


「とりあえずここから出ましょう。まだまだ聞きたい事はありますがそれは安全な所に行ってからにしましょう」

女神様もうん、と頷き皆のとこまで戻って行った。


「結局あの人は知り合いだったの?」

「んー、まあな。腐れ縁みたいなもんさ」

こころなしか、レスの顔が怒ってないか?待たせ過ぎたのかな。短期は損気だぜ。


ここでする事も終わったので次の区画である発電区画へと進んで行った。

再起動されたはずだが発電区画は電気が付いていなかった。

だが部屋の中央に地面から天井に繋がっているでっかい透明のパイプがありその中を流れてるマグマのお陰で暗くはなかった。

中央以外にも部屋のいたるところに中央のやつほどじゃないけどパイプが天井と繋がっている。


「出口はどこだ?」

「あれだよ」

スロットが部屋の奥の扉を指差す。


「じゃあ行こうぜ」

出口に向かって歩き出した時、突然部屋が真っ暗になった。

「ここはマグマが流れる時間と流れない時間が決まってるんだ。どうやら運悪く流れない時間になっちまったな。まあ数十分おきに変わる筈だ。しばらく待とうぜ。発電区画には全然来た事がなくってな」

スロットがどすんと床に座った。

スロットにつられ他の皆も座り始めた。

俺も座るか。


それは数分経った頃だった。

突然目の前が明るくなったのだ。

何事かと思って顔を上げるとそこには、何といえばいいのだろう。

全身が炎に包まれている男が仁王立ちしていた。

「おいおい、嘘だろ!何でこんなとこにファイアーマンがいるんだよ!」

スロットが素早く立ち上がり銃を構えた。


ファイアーマンってただの噂じゃなかったのか?

未だに皆今の状況が受け入れられないようだ。

ラスは座ったまま、女神様とスロットの部下達は立ち上がったものの棒立ち。

だがレントとスロットだけは冷静に銃を構えている。


「ボボボ、ボスッ!ファイアーマンって本当にいたんですか!?」

「さあな!何にせよこいつは危険だ!」

スロットの一喝でようやく全員がいつでも戦える体勢になった。


ファイアーマンがゆっくり俺の前まで近づいて来た。

この圧は確実にヤバイ。

前戦ったイエローマンじじいの比じゃない。

「せいぜい頑張ってくれ」

何を頑張れっていうんだ?

ボイスチェンジャーを使っているのか機械のような声をしている。


そのままファイアーマンは女神様の方へ歩いて行った。

突然女神様の首を掴みそのまま持ち上げた。

「この嘘つき者!貴様のせいで俺はずっと苦しんで来た!貴様があの時、あんな契約を持ちかけなければ!」

「うっ!な、なんの事ですか!あなたに会った記憶は!ゴホッ!」

「エンジェルを離せ!」

スロットの部下が背後から襲いかかったが裏拳を喰らい吹っ飛んで行った。


ファイアーマンは突然女神様を投げ飛ばした。

「さあ、時間稼ぎをさせてもらおうか。だがそうだな、お前達と戦うつもりはない。一発でも、かすり傷でも俺を傷つけられたら俺は退散しよう」

随分余裕だこと。


ーーー

ーー

「どうした。もう終わりか?」

あれから1時間程だろうか。俺たちはかすり傷一つもつけられなかった。

「どうなってんだよ...お前は何もんだ!」

ファイアーマンに向かって叫ぶ。

「いずれ知る事になる。まあその時にはお前もこっちの味方さ。おやおやこんな時間か。それではまた会おうか」

奴はそのまま炎を消し闇へと向かって行ったが途中でくるりと回転し

「言い忘れる所だったが、お前らの探している夫婦はセントラルタワーにいる。ささやかな俺からのプレゼントだ。じゃあな」

そう言い残して今度こそ奴は消えた。


味方?あいつの?そんな訳あるかよ!

なんであんな奴に俺が協力するんだっての!

自分はその時イラついていた。奴の訳のわからない態度に、何より一回も傷をつけられなかった事に。


「とりあえず、ここから出ないか?」

スロットが提案し、皆無言で発電所を後にした。


外に出て俺は真っ先に女神様のとこへ向かった。

「女神様、何か知ってるんじゃないですか?奴について。契約がどうとか言ってましたよね!」

声を荒げすぎたのか女神様が少し震えている。

「し、知りませんよ!あんな変な奴見たのは今日が初めてです!」

女神様は嘘をつけるような人じゃない。

てことは本当に面識が無いって事だ。


「ハァ。女神様はこれからどうします?俺たちはセントラルタワーに行きます」

あいつの言うことは信用できないが他にあてがないのも事実だ。

「私は....彼らと残ります。彼らに拾ってもらった恩を返したいのです。それとこれを」

女神様は十字のネックレスを渡してきた。

「それがあればいつでも連絡が取れます。使い方は簡単。連絡したい時はそのネックレスを握りしめ私ことを思い浮かべて下さい」


「ありがとうございます。それじゃあここでしばらくお別れですかね。気をつけて下さいよ。あなたはドジですから」

言われなくても、と言って女神様はスロット達の元へ走って行った。


「残念ですねー、カインさん。かわいい彼女さんとお別れなんてえ」

は?

「何言ってんだよ!俺はあんなドジな人全然好きじゃねぇよ!」

「そうだよレント。カインに彼女なんてできる訳ないよ」

は?

「ヤキモチかな〜、ラスちゃん?でもああやって急いで否定してるのって怪しくない?」


ラスとレントが言い合いしているのを横目にスロットがやってきた。

「ありがとな。お前らのおかげで大事なエンジェルを救えたよ。セントラルタワーに行くんだってな?気をつけた方がいいぜ。あそこはどの勢力も狙ってる場所だ。いつ戦争が始まるか分からねぇ。それにバケモンもあそこが好きみたいだしな。まあまた会った時はよろしくな」

こちらこそ、と握手をかわすとスロットは行ってしまった。


ラスとレントにセントラルタワーに行くと伝え出発の準備をする。

良く考えるとファイアーマンは本気を出してなかったんだよな。

そう考えると冷や汗が流れる。

もしあいつが敵だとして、その時奴を倒せるんだろうか?

そんな一抹の不安を抱えアリーピーを後にする。


そういやスケルトンズ大丈夫かな?

まあ発電所は再起動したしどーせ「使徒よ!」とか言いながらよろしくやってんだろ。


その頃ラーザスでは

「「「「使徒よ!!!」」」

カインの予想通りであった。



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