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第三話

 以前の成果無しの二日間から更に1週間程、遠くのほうの比較的人の手の入っていない惑星を探し、宇宙を飛んでいたけれども、特に成果はなかった。

 成果がなく、イライラしている私に見かねたのか、司さんが急遽休みを入れてきた。

 そのため、今日は突然の休みになってしまった。

 突然の休みのため、友達との予定もあう訳がなく、一人でニュースサイトを巡っていた。

 ここ数日まともに時間を取れるタイミングがなく、しばらく更新を見逃していたため、情勢に疎くなっていたから今回の休日はよかったのかも知れない。

 ――ニュースサイトを巡り続けているが、目ぼしい記事が見つからない……ほぼ10日分の記事があれば……何かしらあってもいいと思うのだけれども。

 「あー……つまらないなぁ……どっかに未踏査惑星発見!!みたいな記事落ちてないかなぁ……」

 つぶやきながら、別のWebページを開く。

 『新惑星発見』

 「新惑星発見……?」

 いぶかしむようにつぶやきながら、見出しを選択して開く……記事を穴が開くほど細かいところまで読んでいく。

 「ふぅ……」

 読み終わった時には思わずため息が漏れていた。

 記事の内容は、とある探索会社が新たな惑星を発見したらしい。ということだった。

 発見した会社の名前は、同業他社から疎まれるので乗せたくないという理由で詳細が記載されていなかったけど……その会社は政府からの報奨で凄い稼ぎが出たことが予想される。

 未踏査の惑星……惑星までの距離にもよるけれど……探索しに行きたいと思った。

 また、こういう記事になったってことは早めに行動しないと、他の人たちがいっせいに探索しに行って何もなくなってしまうという可能性が高い。

 私は逸る気持ちを抑えながら、司さんに連絡する。

 「司さん!ニュースの記事は読みましたか!?」

 「おや、(かえで)ちゃんから連絡くれるとは珍しいねー、こりゃ明日は槍でも降るんじゃないかなー?」

 「そんなことはどうだっていいんです!!新惑星発見のニュースが出てるんですよ!!」

 司さんのどうでもいい言葉を無視してニュースのことをまくし立てるように伝えた。

 「新惑星かー……そりゃあ、あったらすばらしいと思うけどさー……この記事なんか胡散臭くない?発見した会社名すら出てないし。まぁ、おおよその位置は示されてるけどもー、もしかしたら嘘の情報なんじゃないのー?ライバル会社を一掃するための。」

 「うっ……その可能性は否定できませんけど……けど行ってみないとわからないじゃないですか!特に最近は何も取ってきてないんですし!止められても行きますから!」

 司さんの言葉を聞かずに通信を切る。思い立ったら吉日、膳は急げだ。私は早速準備に取り掛かった。


 宇宙に行くための手続きを済ませ、ハンガーから離着陸場に愛機を移動させる。

 管制からの通信が入り、離陸許可が下りたら、エンジンを始動させていつものように大気圏を抜け、私は宇宙へ飛び出した。

 「えーっと……位置関係としてはこの方向に直進してるから……そろそろ見えてもいいとは思うのだけど……」

 端末で例のページのスクリーンショット画像を見ながら、うんうん唸りながら飛行を続ける。

 唸り続けても何も変わらないし、自分の進行ルートを自分が不安に思ってどうするんだ!と司さんの叱責が聞こえそうな気がしたこともあり、そのままのルートで飛行を続けた。

 しばらくすると……件の惑星であろう星が見えてきた。惑星の大気圏に突入し、高度を取り、地表を観察する。地表には建物らしきものが見える。

 「アクアから結構な距離があるというのに……光が届いてる。建物みたいなものがあるということは……文明が発達しているというの?」

 アクアから考えるとこの星はおよそ50000km程の距離がある。私の乗る戦闘機、汎用戦闘機フレイヤの最高速度はM30くらいなので、最高速度で航行した際の速度を時速3000kmと仮定しても、1時間40分くらい掛かる距離だ。

 建物があるということから、知的生命体がいると仮定しても……言葉は……十中八九通じないよね……建物の近くに降りられるのが望ましいな……と考えながら、戦闘機の着陸が可能な場所を探す。

 建物があった場所から20km程の地点に広い平地を見つけた。戦闘機を平地に着陸させる。

 惑星の大気組成を調べるために愛機、フレイヤのコンソールを操作する。『組成調査に時間を要します。このまましばらくお待ちください』コンソールに文字が表示されるので、そのまま待つ。

 「ひーまー!」

 思わず声に出してしまう。何かを待つ時間というのは大抵暇なものだけど……こうやって待つだけじゃなくて何か有用な使い道とかがあればいいのに……と思う。

 『大気組成調査完了、地球およびアクアと同質の大気のようです。』コンソールに調査結果が表示された。

 地球は分からないけれどもアクアと同質ということは出ても問題はないものと考えられる。

 「やった!」

 私は無意識のうちに喜びの声を上げ、ガッツポーズを取る。フレイヤのキャノピーを開け、発見された名も無き星の大地に降り立った。

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