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第二話

 オートパイロットによる飛行に揺られて30分程でアクアの中央離着陸場上空に愛機が侵入する。

 現在のアクアには滑走路が無い……数十年前までは、使用されていたらしいけども、周辺惑星の探索が始まってからは地表で取れる鉱石以上に上質な鉱石が各惑星で出土しているため、金属類の供給は需要を大幅に超えていた。

 噂によると、地表が全て金属で構成された星もあるらしい……そんなこともあり、生産される戦闘機の大半がVTOL『ヴァーティカルテイクオフアンドランディング』要するに垂直離着陸機のことだ。

 出土した鉱石などの詳しいことは分からないけれども、垂直離着陸が汎用的になったことにより、滑走路はお役御免となったようだ。

 また、300年という年月の経過により、アクアの地表の調査は完了しているが、その後の都市開発が思うように進んでおらず、大半の地域が手付かずになっている。

 最初に移住してきた人たちが、輸送船などの離着陸のための場所は、交通などのアクセス等を考慮して、一番広い大陸の中央が望ましいと言っていたらしく、中央離着陸場はアクアの一番広い大陸の中央に設置されており、過去に使用されていた滑走路は現在、地上輸送経路の要として使用されている。

 輸送船などの大型船舶の離着陸をおこなうため、面積は結構広く取られている離着陸場だが、着陸させるとなると私はいつも何故か緊張してしまい、隅っこに着陸する。

 隅っこは落ち着くのだからしょうがない。と自分に言い聞かせながら、座標の設定をおこない、オートパイロットに着陸をおこなわせる。

 オートパイロットによる飛行は便利ではあるのだけれども、マーカーの設置されていない宇宙や未踏査惑星では使用できず、不便な部分が多い……まぁ、すべてが自動で済むようになってしまったら、私たちパイロットは仕事がなくなってしまう訳なので、戦闘機に関してはこれ以上の発展はしなくてもいいかな……とも思う。

 オートパイロットによる着陸が完了した後は、愛機を自分のスペースに納めてエンジンを停止させる。

 その後、キャノピーを開け、戦闘機から降りる。


 戦闘機から降りたことで、私の現在の姿が(あらわ)になる。

 身体を掛かる加速度『G』から身体を守るスーツにごついヘルメット……私はこの姿があまり好きではない。

 耐Gスーツの性能はこの上なく優秀なのけれども、悲しいことにこのスーツは、身体のラインがはっきりくっきりと出るのだ……そして、大気圏内および圏外での飛行をする際は着用を義務付けられている。

 私の貧相な体型がぴっちりとした耐Gスーツのせいで、露にされることがとてつもなく恥ずかしい。

 いつも顔から火が出るのではないか、というくらい赤面してしまう。

 戦闘機を操縦している時は、コックピット内には自分しかいないので、特に気にしたことはないのだけれども、人がちらほらと居る場所に出てしまうと気になってしまい、なきたくなってくる……これが大勢の人になったら私は生きていられるのだろうか……と心配にもなる。

 自分の体型のことで落ち込んでいると司さんが自分の戦闘機に割り当てられたハンガーから歩いてくるのが見えた。


 「かーえーでーちゃん。改めてお疲れ様ー。相変わらず残念な体型だねー。まー、パッと見は残念に見えるけどちゃんと需要はあるから安心するんだよー♪」

 司さんはいつもの調子で私がコンプレックスを抱いている体型のことを容赦なくからかってくる。

 「司さん!?あまり酷いこと言うならセクハラで訴えますよ!?」

 私は涙目でセクハラというワードを含めた反撃をする。

 「わぉっ、訴えられたら僕、社会的に死んじゃうじゃない。絶対訴えるとかやめてよねー?」

 いつもの調子で涙目で訴えた言葉に半分笑いながら対応してくる……この人はきっと私が訴える気がないっていうことも気づいている。色々とずるいな……そう思いながら、私はまだ子供なのだろう……そういう風に思う。

 「それじゃー僕は先に着替えて、政府に今日の成果を報告しに行くから、(かえで)ちゃんも今日はこのまま直帰してもいーよー。おつかれさまー。」

 司さんは私に本日の業務終了を告げ、離着陸場に隣接されたステーション内に向かって歩いていく。

 「あ、はい。ありがとうございます!お疲れ様でした。また明日!」

 私は慌てて、司さんに向かって挨拶をする。

 「夜遊びとかしないで遅くならないうちに帰るんだよー?」

 足を止めずに手をひらひらさせながら、司さんが遠ざかっていく。

 司さんにからかわれても動揺しないようになりたい。そう思いながら、私もステーション内に向かって歩き始めた。


 ステーション内には様々な施設がある。企業スペースや飲食店、公共浴場、娯楽施設など、ステーション内で出来ないことはない。

 そう言っても過言ではないくらい施設が充実している。中央離着陸場に隣接したステーションは計8基あり、それぞれ用途が異なっている。

 また、8基の内3基は居住用として使用されており、宇宙への探索や、周辺警戒など自分の戦闘機を所持もしくは貸与されている者が優先的に入居可能となっている。

 私は居住用のステーションに部屋を借りているため、ステーション内に入ってから、内部通路を使用し、居住用のステーションに向かっていた。

 居住用のステーションを移動し、自室へと帰ることを目的に歩き出す……あまりにも疲れているため、私は今の格好にまで気が向かず、耐Gスーツでうろついてしまっていた。


 自室に辿り着き、鍵を開け部屋に入る。部屋に入り、多少気持ちに余裕が出来て、今の自分の格好に気づき……自分の貧相な体型を様々な人に見られていたことに気づいた……顔から火が出そうなくらい赤面したけれども、その気持ちに勝るくらいに疲れていたため、スーツを脱ぎ捨て、寝間着に着替え、ベッドに潜った……ベッドに潜るとすぐに心地よい眠気が訪れ……私の意識は……夢の世界へと旅立った。

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