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僕が綴る物語  作者: ハルハル
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急章 18 宝


「それからあとは君の知っている通り、家ですみれ達にすべてが終わったと話した。でもほとんど解決していないけどね」

「うん。大事なことは何も終わっていない。私を取り巻く環境は変わったように見えて何も変わっていないんだ。私には依然として不幸と戦わなくちゃいけないみたいだしね」


 君の家が燃えた事件。あれも解決していない一つ。でも君はあれが不幸の一つだと考えたらしい。君がそういうんなら僕は何も口は出さない。一緒に戦っていくっていうのが僕の約束だからね。

 僕は書きかけの原稿用紙に少しずつ文字を置いていった。アイアスが僕に教えてくれたこと、帰った後でまたしょうもない理由で喧嘩してしまったこと。いろいろと書いてみて、僕は書き終わる前にそれを鞄にしまいこんだ。


「翠さん。そろそろ僕らも帰ろうか」

「そうだね、凛ももう着いてるだろうし。早く帰ってあげないと」

「凛ちゃんはすみれにやさしいからね。気をつけていないと変なことに巻き込まれちゃうかもしれない」

 教室をでて、螺旋階段へ向かう。

「ところでさ、今日のご飯はなににするの?」

 階段をおりて、脱靴場で靴へと履きかえる。その際、上履きもきちんと持って帰るようにした。

「カレーにしようか。久しぶりに」

「じゃあ私も手伝うよ」

 僕は逐一、手順を教えた。それを君はやさしい顔で聞いていた。うなずきながら、笑みをこぼしている。

「翠さん」

「ん?なに?」

「生きてくれて本当に良かった」

「私も生きられてよかったよ」

「自分よがりな言い方になるけど、今度は守って見せる」

「うん」

「もう絶対に死なせたりしない」

 もう正門まで歩いてきた。半分開いた門を僕らはそろってくぐる。

「今度は私もしっかり守られて見せるから」


 僕が綴る君の物語は、君の笑顔で幕を下ろすことになった。

 そこにある笑顔は、僕の中で何物にも代え難い宝物になったみたいだ。



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