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僕が綴る物語  作者: ハルハル
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急章 07 亀裂


 学校がある方向とは丁度真逆に、最近出来たばかりのアウトレットモールがある。そのとなりには食料品や雑貨、家電などが置かれる専門店がそろったモールもある。


 道中のバスの中で僕は半強制的にケータイを取り上げられて連絡先を入れられていた。翠さんが登録すると、すみれが取り上げて連絡先を消し、翠さんが顔をしかめながらまた入れなおすことがバスを降りるまで続いた。


「ほら貸しなさい!あんたが消したからまた入れないといけないでしょ!」

「やーだぁ。そんなことしたらおにぃといる時間がまた減っちゃう」

「いいから貸しなさいって。じゃないと暴力に訴えるわよ。あんたのおにぃに」

「!な、何だと!」

 唖然に取られた僕の意識はゆれる視界と共にブラックアウトしていった。なぜ僕に…。

 

「とりあえず、私達は服が欲しいわ。今着てる分しかないからね。贅沢は出来そうにないから後は借りたりしてやりくりしていこうかしら」

「オーケーわかった。じゃあどうする?専門店とか行ってみる?」

「専門店とかは高いからアウトレットの方に行こうよ。今は円高だから輸入品が安いよ?」

「じゃあ、アウトレットに行こうか」

「ちょっと待ってよ、お兄さん。私は国内ブランドがいい。海外の知らないブランドのを買っても後悔しちゃうかも」

「凛、これからの生活は見通しが付かないんだから、出来るだけ安く済ますべきだよ」

「おにぃ、アウトレットでたくさん買おうよ」

「…、みんなの意見は分かったよ。でもATMの前で話すのはやめようよ。後ろからの視線がすごい痛いんだけど」

「「「じゃあ、どこがいいの!?」」」

「と、とりあえず、お金を下ろしてからで…」


 いくつかあるATMの前の一つで、4人がわーわー騒いでたのはそうだけど、いつも僕だけが攻められるのはなんか理不尽じゃない?

 やっとの事でいくらか下ろし終わって、ようやくその場から離れる事が出来た。結局のところいろんな店をまわって見て、それから決めることになった。

 僕らの今いる場所は通称新館といわれるところで、一階には新古の服など色んなメーカーの物が安売りされている。二階から四階まで有名ブランドのアウトレット店が並んでいる。さらに上の階はフードコートと映画館が入っているみたいだ。

 この新館と繋がって建っているのが旧館だ。そちらには家電や食品がそろっている。僕としてはそちらの方が行く機会が多くなっている。最近は主婦の方々とも話が合うようになってきたものだ。

 ということで、安売りの戦地に向かっていった三人を僕はコーヒーを飲みながら遠目に眺めていた。


「何だか、こうやって、翠さんを眺めていると始めての日が懐かしく思えるな」

 もう二ヶ月も前の事になる。あの時は大変なことがあったけど、ここ最近は何もなく平和な感じが続いている。でも、少しだけあのバイオレンスな日々をもう一度味わいたい、と言う気持ちがあるんだ。翠さんしか知らない事だけど、僕には力がある。アイアスからもらった力がまだ僕にはある。折角あるのにつかわないのは宝の持ち腐れって気がしないでもない。


「何だかつまらないって顔してるね」

 僕が腰掛けていたベンチの隣には、白く透き通った肌ときれいな色で長めの金髪を揺らす青年が座っていた。

「そんな顔、してました?」

「してたよ。刺激が欲しそうな顔。でも俺はそういうのは好きじゃないな。与えられた仕事を黙々と進めて、疑問を持つことなく毎日が過ごせればそれで十分。

 おっと、わりぃね。俺の話をしちゃって」

「あなた、公務員か何かですか?」

「はは、よく公務員向きの性格してるって言われる。連れが来たみたいだ。じゃあ、またね」

 そういって金髪の男は行った。

「またねって、どこの誰かもわかんないのによく言うよ…。でも、…どっかで見た様な気もしないでもないな」

「ちょっと、今のはどういうこと」

「翠さん」

「何で、君があの人と知り合いなの」

「今の?いや、あの男とはさっきだけ話してただけだよ」

「男?君にはあれが男に見えたの?」

「え?どうみても男じゃん」

「ああそう、しらばっくれるのね。まあいい。もう私には関係の無い事だから」


 そう言って、君は中央にあるエレベーターのほうに向かっていった。凛ちゃんとすみれは少し遅れてから僕のところに戻ってきた。二人は金髪の男と話していたところを見てなかったようで、君が怒った理由は結局わかないままになってしまった。

 時間も時間なので、翠さんに残りのお金を渡して必要なものだけ自分達で買ってもらうことにした。その間僕は旧館のほうに行って、食品の買い足しを始める。すみれがいたら何も出来ないから、凛ちゃんにたのんで、無理やり向こうのほうに連れてってもらった。



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