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僕が綴る物語  作者: ハルハル
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急章 03 妹s


 さぁどうしようか、洗濯物の紛失は世間にとって珍しいものでもないが、男の洗濯物がなくなるってどういうことだよ。

 まぁ、ぶっちゃけて言えば、妹が取ったんだけどね。

 理由は割愛。分かるでしょう?

 と言うわけで、妹の部屋の扉をどーん、そしてばたん。僕は扉を背に乱れた呼吸を落ち着かせようとした。

「はぁ、はぁ。う、嘘だぁ。あんなの嘘だぁ。よし、忘れよう。見なかったことにしよう。」

 壁伝いにその場を離れようとゆっくり足を上げたその時、背後で扉ゆっくり開き、片足でバランスの取りにくい僕の体は導かれるようにその中へ入っていった。

 僕の首にまわってきたその白い腕がこれまた恐ろしくてたまらなかった。


「妹の部屋にノックもなしで飛び込んでくるあたり、流石シスコンと言ったところか」

「いやいやいやいや、私めは何も見ておりません。何も聞いておりません。故に此処にいる理由も尋ねません。ですので返して下さい。翠さまぁぁぁぁ!」

 状況説明をしよう。RPG風に言ってみよう。つっこみながら言ってみよう。

〝すみれが現れた。有木翠が現れた〟

 いきなりラスボス級が現れたぁぁぁ!?

〝こちらがみがまえる前に攻撃してきた〟

 むしろ僕が逃げる事に失敗したようなものだけどな。

〝すみれは僕のズボンを盗んだ。有木翠は僕のズボンを装備した〟

 僕が引きずり込まれてから起き上がるまで一秒も無かったぞ!?何なんだこの二人は。何なんだ!?


「あらあら、下着姿で土下座なんて節操も何もないわね。こんな兄をどう思う?すみれちゃん」

「はい。私はおにぃが世界で一番好きです」

「会話が成り立ってねぇ。それより早く返せよ!」

「ああ、そうね。はい」

 意外なほどあっさり返してくれた。渡されたズボンを持って僕は彼女を見る、見る、見つめる。

「~ん!あーっ!もう無理。ごめんなさい。もう出来ません!」

「やっぱり凛ちゃんか!一体何のつもりだったんだよ」

「ごめんなさい!ちょっとした悪ふざけで…」

 ちらっ。

「すみれぇぇ!何を言ったんだぁ!」

 と言うわけで、またまた状況説明をしよう。僕が見た事実と共に、彼女達の言い分も含めて言ってみよう。

 僕がその扉を開けたとき、そこにあったのは。

「はぁ、はぁ。これが、おにぃの匂いだよ。しっかり覚えてね?」

「うん」

 ベッドの上で、紛失したはずの僕のシャツに顔を埋めて、はぁはぁあえいでいる二人の姿だった。その時何よりも驚いたのが、翠(実際はその妹の凛ちゃんだったが)が一心不乱に嗅いでいる事だった。

 此処で僕は扉を閉めたのでこれより後は二人の言い分だけで説明。妹の言葉は支離滅裂なので主に凛ちゃん目線で話を進めよう。

「よぉく覚えてね。これから家族になるんだから。匂いだけでおなかいっぱいになれるようになったら完璧だよ」

「うん。…でもこれっていいの?お兄さんのシャツ。勝手に持ってきたんでしょ?」

「大丈夫だよ。私はおにぃの物だもん。同じおにぃの所有物が一緒になっちゃいけないわけ無いもん」

「そ、それはどうなのかなぁ…」

 そんな事よりもさっきちらっと見えたのは当のお兄さんなんじゃないかな。えっ?もしそうならさっきの姿も見られちゃったのかな。やだ、恥ずかしい。恥ずかしいなんてもんじゃないよ。お姉ちゃんの彼氏にこんな姿…。!そうだ、もし此処にいたのがお姉ちゃんだったら…、何とかなるかも。

「ねぇ、すみれちゃん。…」


「ええ!?じゃあ何?あれは凛ちゃん発案の事だったの!?」

「おにぃ、私がやらせたと思ったの?」

「ごめんなさいお兄さん。どうにも、…その、変態だと思われたくなくて」

 だからと言って自分の姉に全て背負わせようとするのはどうかと…。

「それよりもすみれ、全くまた僕のシャツを持ち出して。洗濯物を出しとけとは言ったけど、持っていけといった覚えは無いよ」

「ごめんなさい、おにぃ。もう、おにぃの匂いが消えちゃったから」

「!何だこれ!僕が一ヶ月前に捨てたシャツじゃないか。もはや原型が無いくらいにボロボロ。こんなものを抱いてたら病気になっちゃうだろ。もうそのシャツはやるから、これは捨てるぞ」

「いいの?おにぃ、ありがとう。大好きだよ。大切に使うね」

「これからゴミは漁るなよ」

 ボロ雑巾みたいになったシャツを持って、僕は妹の部屋を出た。


「…、すみれちゃん。ちょっと変じゃないか?」

「どこが?いつもの優しいおにぃだよ?それに私達はただ、愛し合ってるだけだし」

「それがおかしいよ…。まさかすみれちゃんだけじゃなく、お兄さんまでだったとは…」




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