急章 02 日常
唐突だが、僕の洗濯物が紛失してしまったようだ。
四人家族の僕だが、両親が共に家にいない今、必然的に家事のほぼ全てを僕が行う事になるのだが、それでも一般高校生の僕だ。折り合いを付けねば上手くはいかない。ということで洗濯は土日、主に日曜日にやっているのだが…、なぜか無い。
起床から現在までの回想。
僕の寝起きは良くはない。良くはないがそれでも毎朝六時には起きるようにしている。ということで今日も目覚ましが六時を告げるベルを鳴らす前に起床、目覚ましのスイッチを切り、僕の胸に顔を埋めて寝ている妹を振りほどく。
なんら変わらない、普通の朝だ。そうだろう?以前、翠にこのことを話したらビンタをもらってしまったのだが。なぜだろう。
僕らは人間である前に動物である、動物である前に一つの生き物であるから太陽は欠かせない。ってどこかで聞いた覚えがあるので、日光浴とまではいかないが、カーテンを開けて朝日を浴びる。此処で、切り上げるまでのタイミングが大切なのだ。五分を超えて朝日を浴びていると妹が…、妹が起きてくるのだ。ほとんど意識の無い状態で起きてくると、ゾンビのように僕を目指して千鳥足で追ってくる。
此処でつかまれたら最後、妹が僕の錘になるのだ。その四十…、ぐへっ。ま、枕が飛んできた。目覚めてない状態でも体重の話には反応するんだな。うおっ。目覚ましが!…ん?しまった、もう四分半も浴びていた。カーテンを閉め、寝巻きから部屋着に着替えて忍び足で部屋を出る。その時、ベッドの上にうつ伏せで寝ている妹を一瞥するが、その服装については語るまい。むしろ語れない。
リビングのテレビをつけ、チャンネルをニュースに合わせる。キッチンに入るとテレビが見えないので、音量を大きめにしてからキッチンに入る。ちょっとしたBGM代わりだ。
冷蔵庫から卵と牛乳を出し、食パンを二枚袋から出す。
二枚作ったフレンチトーストをそれぞれ皿に移してその一つを持って、テーブルに着く。コーヒーを添えて、ソファに腰を深く沈める。テレビの音声は頭に入ってこない。少し眼を閉じたら眠ってしまいそうなので、コーヒーを半分ほど一気に飲み込む。
黒々しい液体が僕の体を駆け巡る。なんてことを考えてたらすぐに頭が冴えてきた。
きもちわりぃ。
目も覚めたところで、フレンチトーストを食し、残ったコーヒーで胃まで流し込んで、妹が降りてくる音が聞こえた。
さぁ、静かな朝は終わりだ。忙しくなるな。
「おーはよー、おにぃー」
「はい。おはよう」
寝ぼけたままで僕に抱きつこうとする妹の頭を片手で止める。このままアイアンクローで握りつぶしてしまいそうだ。実際に出来ちゃうし。と言うのは冗談。いくら邪魔で面倒くさくて鬱陶しいからって、実の妹に一度でも殺意を持つはずが無いだろう?
妹をソファに座らせて、ミルクティーを入れてやる。
「ほら、冷めないうちに食べちゃえよ」
「うーにー?んん」
まぁ、訳すと〝うん″と言うことだ。追記だが、やはり妹も朝はたいそう弱いらしい。僕より弱いかも。
「それ食べたら洗濯物を出しとけよ、洗濯しとくから」
「さーいえっさー」
僕はその後、一時間ほど家全体の掃除をしてから脱衣所の洗濯機に向かった。それまで妹の妨害に遭わなかったのは幸運なことだった。が、問題発生を確認して、以上回想終わり。




