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僕が綴る物語  作者: ハルハル
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破章 05 妹2


「ただいま」

二十分ほどかかって、ようやく僕は家に着いた。

「お帰り、おにぃ」


 玄関で靴を脱いだ僕に待っていたのは、妹からの激しいタックルだった。それを食らって僕は悶絶する。別に外人さん真っ青な体格をしているわけでもない。どこにでもいる普通の女の子だ。どちらかと言えば、やせ気味で、スタイルはいい。その体で何故、僕が悶絶するのかと言うと、妹は陸上をやっていたのだ。いや、理由になっていないのはわかる。格闘技やっているわけでもないし。ただ、理由がほしいのだ、僕に。難癖付けていないと、僕が長年くらい続けているタックルが、実は先天的な能力であると僕が認める事になるからだ。この殺人的な威力のタックルが、自分の妹に生まれ持って備わっている力だとは、認めたくないだろう?


「おにぃ、今日は遅かったね。寄り道してたの?ねぇ、どこ?」


 この妹は家族愛が深いのだ。…現代語で言うと、ブラコンだ。略さずに言ってみよう。ブラザーコンプレックス。言い訳…じゃなくて、説明したい。僕の家は、大抵両親共に居ないことが多い。仕事上の理由でだ。そうすると家には僕と妹の二人きりになってしまう。二人で居るには大きすぎる家だ。幼い頃の妹は寂しかったのだろう。何をするにも僕と一緒だった。別に僕としては嫌ではなかったし、親が居ない間は僕が妹の面倒を見ようと責任があったから、僕は妹が傍にいることを拒んだことが無かった。今となっては後悔しているのだ。


「おにぃ、ねぇ、おにぃ。今日は何があったの?ねぇ、お話しよう?」


 傍にしか居なかったせいで、今や、妹は学校以外の時間のほとんどは僕の傍にいるようになった。さらに、一緒に居るときは、学校で傍に居れない時の鬱憤を晴らすかのように密着している。

「今日も私はね、ずっとおにぃの事考えてたんだよ」

 正直面倒くせぇ。

「すみれ、邪魔だからどいて」

「うん」


 そう言って、妹は正面から僕に抱きつく形を止め、サイドから腕に抱きつく形を取ってきた。

 残念な事に、本人曰く、僕の妹は僕の言葉の裏に隠された真の意味を読み取る力があるらしい。最も、僕は別に裏の意味を込めているわけでもないし、そのまま思ったことを口に出しているだけである。分かり易く言えば、妹は自分の都合のいいようにしか、僕の言う事を理解しない。なんとも迷惑な話である。さらには…。


「すみれ、離れて」

「おにぃが何と言おうと、私はおにぃの傍を離れないよ」

超頑固なのである。

「もういい。分かった」


 大抵、僕が妹を諭す事を諦めて、そのまま家に上がる。たまに、異世界人を相手にしているような気分になる事もある。

 僕は重くなった自分の体を引きずって、ようやくリビングのソファに座った。ちなみに、今のこの家にも両親は居ない。よってこの広い家には、二人だけがいて、その二人はそろってソファに座っている。

「もう七時になるな。夕御飯の支度をしないと。すみれ、離れてくれ」

「…、はい」


 流石に、食事に関しては、妹は僕の言う事を聞いてくれる。それでもかなり渋々だが。(幼いころは、全然離れなかったが、長年の教育の成果である。)と言う事で、僕は妹をソファに残して、台所に向かった。基本、親が居ない時の家事は全て僕がこなす事になっている。まぁ、長男として当たり前だが。

 冷蔵庫を開けると、目に映ったのは玉ねぎ、人参、ジャガイモ、冷凍の牛肉。まぁ、カレーの材料だな。

「すみれ、今日はカレーでいいか?」

「私の好物は、おにぃの愛情だよ」

 つまり、嫌いな食べ物はない…と。好き嫌いの無い、良い妹に育って僕は嬉しいよ。



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