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電界妖怪  作者: くるねこ
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秋霖アキサメ

  秋霖アキサメ


 羽喰はいつもと変わらない夜の見回りを終え家に帰ろうと電波を蹴って進んでいた。

「ねえ、何んで不機嫌なわけ?ねえってば」

と羽喰の後を着いてくるのは本日帰宅時に家でくつろいでいた嘘喰である。

「別に不機嫌じゃないわ。」

そういうとスピードを上げて帰路を行く。

「なんか怒ってるじゃん。」

嘘喰は羽喰について帰る。

 夏休みも終わり天電高校は文化祭まじかと浮き足立っていた。その文化祭も無事に終り経費や売り上げの計算で忙しかった十月の終わりの今、日本列島の太平洋側に停滞する秋雨前線の影響でここ一週間は雨続きである。それなのに狂暴化した電妖に出くわすことが一度もなく、夏休み前にあんなに手こずっていたクラゲ型の電妖の姿もない。あのクラゲ型の電妖が楯麟に関わっている可能性がきわめて高い今、早く決着をつけてしまい女王蜂プログラムをどうにかしなくてはいけなかった。

 家の玄関に到着すると

「最近怪我ないの?」

と嘘喰がいう。

「ただ血が飲みたいだけでしょ?それよりも一カ月以上どこに行ってたの?連絡ぐらいよこしなさい。」

羽喰は家の中を進みながらいう。

「それで不機嫌だったの?ごめんね。ちょっと野暮用でね。」

嘘喰も靴を脱いで入る。我が物顔でソファーに座りテレビをつける。

 「貴方にずっと聞きたいことがあったの。ちゃんと答えないと貴方の計画に支障が出るわよ。」

「計画?」

嘘喰は羽喰の言葉の意味は理解できないものの羽喰の放つオーラで真面目に聞くことにした。

「一つ目、貴方、電魔だったのね。」

そういうと嘘喰は目を見開き驚いて見せるも口を三日月のように吊り上げる。

「どこで知ったの?俺、そんなこと一度も言ってないよね?なんでわかったの?」

「認めるのね。なら話は早いわ。貴方があの医薬品会社の倉庫で生まれた電魔ね。」

「そこまで知ってんだ。じゃあ、もう…」

嘘喰のにやけた顔がゆるむことはなかった。作った顔を貼りつけたような顔しかこいつはできないのだ。

「二つ目、蜂須賀の男とかかわって私を電魔にしようとしているけどそれが女王蜂プログラムなの?」

「さあ?そのプログラムについては俺は何も知らない。ただ仲間がほしいだけ」

「仲間?」

羽喰は疑問符を浮かべる。現在の嘘喰の見た目、容姿、性格ならばいくらでも友人なんて作れると羽喰は思っていた。

「言っとくけど俺の仲間と友たちとは違うし、もちろん恋人とも違う。求めているのは同族だ。電妖には電妖の、妖人には妖人の、半妖には半妖の、もちろん人間には人間の仲間が同族がいる。同族の垣根を超えたのはただの友達や恋人だ。でも俺が求めているのは電魔には電魔の仲間がほしいってこと、解る?」

羽喰は嘘喰の隣に座る。

「言っていることは解ったわ。でもなんでそれにあんなプログラムが必要なのよ?」

「俺はまだ完全な電魔じゃない。中途半端だ。電魔になるには強い殺意からの殺戮行為による覚醒がなくちゃいけない。まあ、それ以前に誰かを愛して、愛されて、恐怖や不安を味わい、死ぬ必要がある。だからプログラムがある。」

羽喰は嘘喰の話を聞き、背もたれに体を預けた。

「つまり、あの初期のプログラムはその感情を作るための物だったってことね。でも、時間軸がおかしいわ。貴方が倉庫を爆発炎上させたのは五歳の時、私はすでにプログラムに参加していた。私の前にも八九〇人がいたはず」

「そうだよ。だって、俺が生まれたの事態、日本の実験なんだから」

その言葉に羽喰は目を見開く。だが考えてみれば

「国内では禁術でもあの国ではできた。始めはその国の人間を使ったが日本人のほうがいいと判断して自国民を使った。そうよね。日本人が日本人を集めれば早い物ね。」

納得いく話だ。

「で、俺が生まれる方法と羽喰たちが電魔になる二つの方法が同時に進行したわけ、」

「なるほど、で、あたしはこの後どうなるのよ?」

羽喰が聞くと嘘喰は微妙は顔をする。

「そこなんだよね…。羽喰は死にかけるのと死ぬのどっちがいい?」

と笑顔で言ってきた。

「どっちも嫌だけどどっちでもいいわよ。もう何度も死にかけてるし。」

「そうだよねえ。まあ、その時が来たときに考えればいいよ。」

と嘘喰は言うと羽喰のベッドに入る。

「ちょっと!あんたはソファーで寝なさいよ!」

「ええ、たまには羽喰の匂いに包まれて寝たい。」

「キモいこと言ってないで出なさい。」

羽喰が剣を出して言うとしぶしぶという顔で嘘喰をソファーに横になる。

 羽喰は溜息を吐き、お風呂場に向かった。

 「俺の名前は嘘喰。嘘を吐いて、真実を喰って生きてきた。」

嘘喰は瞼を閉じ、眠りにはいる。



 学校ではテスト前というもののやる気のない空気が漂っていた。

「中間とか面倒臭い…」

と燐がいう。

「学生の本分で一番重要なものを面倒だなんて、まあ、私も面倒臭いけど」

「ダメじゃん」

羽喰の言葉に世良が言う。

「世良君はいいよ。生徒会の本当の仕事にはかかわらないんだから、会計のあの仕事は疲れた……」

「まさか柏尾が流行性感冒にかかるなんて、会計もう一人欲しかった…」

「インフルエンザね。まあ、もとから一人に任せるつもりはなかったからこうなってたんだけどね。」

煌の発言に羽喰がいう。

「さすがに準役員の俺らは手伝えないもんな。」

と今回高みの見物となったタローがいった。

「水流に反対されちゃ仕方ないわ。燐、お菓子とって」

「はい」

今更だがここは生徒会室。お菓子を囲みテスト勉強をする一同だがほぼ羽喰と小楯、世良の勉強時間となっている。

「そういえばみんなに合わせたいバカがいるんだけど」

と羽喰が言うと視線が一気に集まる。

「まあ、一度ぐらい見たことあるかもだけど」

というと燐、煌、燭影、そしてタローを見る。

「まさかあの彼氏?」

「彼氏じゃないわ。」

そういうと羽喰は携帯をいじり出す。

「あのよくわからない人間?あいつ電妖だって言ってたじゃんか、何者なんだよ?」

「もうすぐ来るから解るわ。」

羽喰が携帯を閉じると背後の窓に人影が現れる。

「うおっ!」

驚いて声を上げると羽喰は何食わぬ顔で窓を開け人物を中に入れる。

「傘ぐらい差しなさい。」

「俺のビニール傘持ってたでしょ?」

と羽喰が言われ

「あれ貴方のだったの。この前傘壊れたから借りたわ。」

鞄からタオルをだして羽喰はそれを嘘喰に渡す。

「これがさっき言ったバカで論文の中の人物よ。」

というと燭影が驚いて立ち上がる。

「論文ってあの暗号のだよね?」

慎重に確かめるように聞く。

「ここに居るみんな知ってるわけ?」

「ええ、みんなあの論文を読んでるわ。」

正確には羽喰の音読を聞いていたのだが

「そっかあ……じゃあ、小楯ってのも居るの?」

と嘘喰が言うとタローが小楯を守るように立ち上がり隠す。

「そんな警戒するなって、別にその子を殺しに着たとかじゃないんだ。ただ会って見たかっただけ、兄さんみたいにならずに済んだ彼を」

嘘喰がそういうと小楯がタローと燭影の服を引っ張り

「この人は大丈夫だと思う。」

といわれ二人は椅子に戻る。

 「で、羽喰、こいつを呼んでどうしたんだ?」

タローが聞くと

「ただ合わせただけよ。今後楯麟の捜査も手伝ってもらうわ。」

「聞いてない!」

「ただ飯と電気代分ぐらい働きなさい。それに電魔の仲間がほしいんでしょ?」

「そうだけど…」

と嘘喰は悩む。

「電魔の仲間って何?」

燐が聞いてきた。

「何でも寂しいから同じ電魔の仲間がほしいそうよ。」

「友達ってこと?」

煌が聞くと

「違うみたい。同族の仲間がほしいそうよ。私もそれに協力することになってるし」

「協力って何するんだよ?」

タローが聞く。

「いろいろよ。」

というと羽喰は嘘喰に

「タローの前以外でプログラムの話は禁止よ。解ったなら帰っていいわよ。」

「はあい…」

耳元でいうとそう返事をしてまた窓から出ていった。

「家の中濡らさないでよ!」

といって去っていく姿を見送る。

 彼が窓から出ていき閉められた。

「どう見てもあいつは二十前後のチャラ男だろ。」

「あたしもそう思う」

タローの言葉に賛同するように燐が言う。

「燐は年齢より見た目を言ってるでしょ?」

と煌に言われてだって、と返していた。

「それより年齢だ。会長ちゃんの話だと予想では五十代近かったず、あの姿はなんなんだ?」

燭影がまっすぐ羽喰を見ながら言う。

「そうね。でも薬の効果が途中で切れるとか何等かの原因であの姿なんだと思うわ。」

 「あのさ、このタイミングで悪いんだけど渡し忘れるところだったから今いい?」

と世良がカバンから封筒を出す。

「父さんに依頼していたことの情報だって」

羽喰は世良から受け取り封筒の口を開けて中身を確認する。

「丁度いいタイミングよ。嘘喰について時間を遡って調べてもらった結果だわ。」

とタローたちに説明するとタローは立ち上がり羽喰の持っている紙を見に近寄る。それを見て皆も集まる。

「日本には五歳で帰国になっているわ。戸籍をあらかじめ作ってあったのね。その後は普通に学校に通っていることになっているけど中学卒業以降の学歴はないわね。」

「義務教育内だけは受けさせたのかな?」

燐が聞く。

「と、言うよりはこれは偽装の経歴、中学なんてあの見た目で通えないわ。まして小学校なんて、私みたいに機関のどこかの部屋で一般常識ぐらいが勉強したんじゃない?」

そういうとページをめくる。そこからは本当の足取りなどである。

「帰国時は中国経由で日本に入っている。あそこなら簡単にパスポートが偽造できるものね。中国国籍の民族人に成りすまして日本に入り、機関で保護、その後は国内の蜂の巣を回り女王蜂に力を貸すも女王の失脚が相次ぎ自由に個人で行動するようになる。各地での吸血事件の犯人として度々国に連行されるも脱走を繰り替えす。」

「随分と自由人なんだな。」

タローが言うと羽喰は紙を少しグシャっとする。

「天電町に入ったのは二年前、当時は近くの地区担当の女王蜂に着いていたが彼女の死亡により居座るようになる。」

「どういうこと?」

燭影が聞くも皆よくわかっていない様子。羽喰だけが紙から視線を外すことなく

「よくわからないけれど、嘘喰は女王蜂と接触して電魔を探しているって言ってたわ。おそらくその途中で女王が死亡するようなことが起きたんでしょうね。失脚なんてありえないから多分他の女王もそうなんでしょう。」

羽喰が珍しく曖昧ながら確信のあることを言った。タローは羽喰を見ていた。

「私との接触以前は吸血により人間を死亡、もしくは昏睡させることが度々起きていたもののそれも最近では減ってきている。先日嘘喰の目撃があった地区担当の女王が電妖狩り中に死亡した。」

「随分と人を殺してきたみたいだね。」

小楯が不安そうに言う。

「でも女王にも一般人にも殺意があって殺してきたわけじゃないようよ。彼との相性の問題みたい。」

羽喰はタローと視線が混じる。

「あいつがそういったのか?」

「そうよ。殺意ある殺人行為で彼はやっと覚醒して本物の電魔になれる。ってね。」

「協力ってあいつに殺されることじゃねえよな?」

タローの発言に羽喰に視線が集まる。

「違うわ。どっちかっていうと一緒に生きる方よ。」

「それって…」

タローはなんとなく羽喰が言葉にしない部分の想像ができ言葉を閉じた。

「どういうこと?」

世良が聞くもタローも羽喰も答えない。

 その時生徒会室のドアがノックされた。

「みんないる?」

と入ってきたのは海月で手には有名な洋菓子店の袋がぶら下がっていた。

「どうかしましたか?」

「いや、これといって用事って物はなくて、大量にもらっちゃったものの処理を頼みに」

と袋を軽くあげたので燐がそれに反応

「それはまさかボルトのシュークリームですか!」

ハイテンションで言うと

「正解。ボルトのクッキーシュー。朝寄ったら知り合いが昨日の分廃棄するの勿体無いから持ってってって言われて、おすそ分け」

「やったー!」

燐は袋を受け取り皆に配っていく。

 ボルトとは天電町で一番有名な洋菓子店でこのクッキーシューもそうだがマカロンやマドレーヌなども人気な財布に優しい町の洋菓子店である。

「ここ最近雨だから売れ行きあまりよくないみたい。」

そういうと海月がパイプ椅子を出して座る。

「小分けのお菓子は包装してあるけどケーキの箱は紙だもんね。」

「しかも雨だからかさばる物なんて持って帰りたくないもんね。」

燐と煌はもぐもぐ食べながらいう。タローたちも燐から受け取ったものを落とさないように席に戻る。

「それでみんなで何見てたの?机の上には勉強中の荷物があるけど」

「生徒会の資料ですよ。」

海月の質問にさらっと羽喰が返す。

 羽喰は海月に会うたび違和感を持っていたがそれがどういう物なのかは解らずにいたのでできるだけ関わらすにいた。

「そう、神保くん、今回のテストは俺が作ったからその範囲でないよ。」

と小楯のノートを見ていう。

「え?そうなんですか?」

「夏休み前の物は出ないよ。って、授業中も言ったと思うけど?」

「すみません。聞いてませんでした…」

小楯は教科書につけていた付箋をずらす。

「そっか、ここに居る半分以上が半妖なんだね。」

海月に言われてタローたちが返事を返した。そして海月の視線が羽喰に向く。

「そっか、そっか、勉強しなくてもいい点とれるんだね。」

と海月は言って立ち上がり

「ゴミはちゃんと処分するんだよ。」

といって出ていった。

「なんだったんだ?ていうか、変な言い方…」

タローは疑問に思うも気にすることなく目の前の物を頬張る。

 羽喰は海月の違和感を探りながらも答えが出ないことにモヤモヤを感じていた。ここに土竜がいればすぐに答えをくれそうなのだが…

 生徒会室の窓から暗い空が臨めるようになったころ部屋の電気が消える。

 傘と傘が重なり進む。

「暗いから気を付けろよ。」

「燭影くん彼氏みたい。」

と燐が笑い。

「誰の?」

と煌が聞く。すると一人に視線が集まる。

「なんで俺?」

世良が過剰に反応する。

「だってタローを自分のものにしたかったんだろ?」

懐かしい話を蒸し返される。

「だったら燭影だって…!」

と世良が反論しようとすると

「でも燭影くんには小楯くんが…」

「泥沼のダブルトライアングル…」

と燐が吹き出しそうに笑う。世良の話なんてまともに聞いていない。

「ダブルじゃすんでないけどね。」

と羽喰が付け足し一人歩いて行く。

「待って!」

燐が追いかけていってしまい。

「また明日。」

世良もそう言ってついて行く。

 タローたちもそれを見送り帰路を行く。



 無事にテストが終わったのはそれから一週間と少したった、本日は金曜日である。ときどき青の見える空であるが雲の多い雨模様であった。

 教室ではばらばらと生徒が帰ろうとしているのはテストが終わった解放感からだろう。楽しそうな会話が包んでいる。

「蜂須賀、ちょっと資料の整頓頼んでいいか?」

と海月が羽喰に声をかける。

「構いませんよ。」

羽喰はそう答えて海月のもとに行く。

「もう一人、荷物持ちに丁度いいのは…鳥居、頼んでいいか?」

「先生今聞こえてえたからな!荷物持ちかよ!わかったよ!」

と感情が一人コロコロ変えながらタローは返事をする。

「燭影、先帰ってて」

「待ってるよ。」

燭影はそう返事して小楯と話始めた。

 二人は海月について行き教室を出た。

 しばらく歩きついたのは図書室。

「先生まさか…」

「大丈夫、そこまで大変ではないと思う作業だから」

「適当!」

タローが海月の曖昧な返事に返す。

「古い本を奥に閉まって新しい本を入れるんだけど、その前に新しい本にはシールと保護ビニール貼ってほしいんだ。」

「図書委員の仕事ですよね?」

と羽喰が聞くと

「この学校に図書委員何てありません。」

と海月が答える。羽喰は生徒会と決まっていたので委員会決めにそこまで関わっていない。やりたい委員会に手を上げてもらってジャンケンで決めた記憶しかない。

「だから、よろしく。後で差し入れくらいはしてあげるから」

といって海月は図書室を出ていく。

「あいつやらねえのかよ!」

タローがそういったところでドアはもう閉められている。

「文句言わずにやるわよ。タローは古い本を奥に運んで、その間にシールとビニール貼っちゃうから」

と分担を決めて始める。

 始めて数時間。午前中にテストが終わっているのでまだ時計は昼を過ぎたところであった。

「腹減った。」

「そうね。」

といいながら作業は進む。その時

「羽喰、何してんの?」

と開いた窓からなぜか嘘喰が現れた。

「貴方こそ何しているの?」

羽喰が言い返すと

「だって今日は午前で帰ってくるって言ったのに帰って来ないから、腹減った。」

そういうとこの場の三人のお腹の音がする。羽喰はカバンから財布を出して

「三人分買ってきて、」

と財布を押し付けて言った。

「何食べる?」

嘘喰がタローに聞く。

「金、俺だすよ。」

タローはポケットから財布を出すも

「いいわ、おごる。何食べたい?なんでもいいわよ。」

「じゃあ、ハンバーガーで…」

とタローが言った。

「オッケー、じゃあ適当に羽喰の分も買ってくる。」

嘘喰は窓から出ていった。

「今日は傘持ってきたのね。」

と羽喰は嘘喰が出ていくのを見送って言った。

「ごちそうになります。」

「別にかまわないわ。この前電妖が売れて入金あったばっかりだから」

羽喰は手を休めることなく言った。

 タローは羽喰の向かいに座り一息ついた。

「羽喰は電魔になっちまうのか?」

「それが女王蜂プログラムの最終段階だからならないと私には死しか待ってないわ。」

タローは羽喰を見るも羽喰は手を休めることも視線をタローに向けることもない。

「俺さ、お前のこと好きかもしれねえ。」

「そう、」

羽喰はそう返事をしてしばらく、手が止まる。

「頭打ったの?」

羽喰はやっとタローを見る。その目は真剣なもので冗談ではないのはすぐわかる。

「本気で言ってんだ。俺はお前が好きだ。だから死なれちゃ困る。」

視線は交わったままずれることなく見つめ合う。

「困るって言われても今のところ百パーセントの確立で女王は電魔に慣れずに死んでいる。私が成功する確率も低い。死ぬなといわれてもこっちが困るわ。」

羽喰はそういいながら視線を外して手元に戻す。だがその手にタローの手が重なる。

「なんでお前が電妖にならなきゃいけないんだよ?」

「それが私の運命らしいわ。」

「死んだら燭影や小楯、世良に燐と煌だって悲しむぞ。」

タローの視線が痛い。羽喰は手を振り払うことなく

「大丈夫よ。事前に機関に要請しておけば記憶なんて電妖の力で簡単に改ざんできる。私の代わりに貴方たちに関わったことになっている女の子が用意されるわ。そうなると貴方はその子を好きになる。」

「ならない!」

タローが強く机をたたいて立ち上がる。

 「取り込み中すみませんがお昼です。」

と少しふざけた口調で嘘喰は言う。

 羽喰の隣に座る嘘喰は財布を渡しファーストフードの紙袋から中身を出す。

 タローもその様子に怒りを一時的に抑えて昼食にありつくことにした。

 羽喰は目の前の物を横にスライドさせて自分の前を開ける。

「これが羽喰の分でこっちが君の分ね。」

と取り分ける。飽きらかに嘘喰の前には三人前のセットメニューが残る。

「それ全部食うのかよ?」

「食べるよ。君もの一番ボリュームのあるやつ頼んでみたけど足りない?」

「十分です…」

タローは思うこの前羽喰が言った食事と電気代分働けの意味が分かった。

「そういえばこの前食事と電気代分働けって言われてたけど電気代って?」

羽喰は飲み物のストローから口を離し

「嘘喰が家に泊まるようになってから電気代がバカにならないぐらい上がったのよ。」

「放電じゃなくて吸電体質なんだよね。多分小楯って子の家も結構電気代かかってんじゃない?」

「小楯は放電体質だから問題ない。今は俺の家に居るしな。」

「そうなんだ…」

嘘喰はゆっくりと口を動かし食べていく。

 しばらくして食べ終わったゴミをまとめる。さすがにゴミ箱には入れられず嘘喰と共に羽喰のカバンの近くに置かれている。

 作業を再開してしばらく

「その作業飽きてこない?」

とみているだけで飽きた嘘喰が言う。

「飽きたならタローの手伝いしてきたら?」

羽喰にそういわれたものの

「面倒臭そう…」

というだけで動く気配がない。

「だったらそこで大人しく黙っていなさい。」

そういわれて仕方なさそうな顔で座っていると羽喰のポケットから携帯を取り出し

「ゲームしてていい?」

「音消してやるのよ。」

といわれ携帯をいじり出す。

 そんな作業も三時を回る頃には終わり先に終わっていたタローがシールの貼り終えた本を棚に閉まっていた。羽喰も立ち上がり本を持って棚の前に立つ。

 机の上に山となっていた本がすべて片付いたのそれから一時間半後の四時半ごろであった。

「海月に報告して帰りましょうか。」

羽喰は昼食前のタローの言葉を無視しきりタローもこれといって返事がほしかったわけじゃないので放置しておいた。問題は羽喰が死ぬか生きるかである。

「嘘喰、帰るわよ。」

タローは気付いた。この数時間羽喰と嘘喰の会話はまるで母子の会話のようだと、小学生と母親。普通の子供よりかは聞き分けのいい子供と母親。そんな感じがした。現に今、目の前でゲームを取り上げられた子供が母親に反論しているように見える。

「待って!あと少しでクリアなんだから!」

「帰るって言ってるでしょ?これ、制限時間も敵に倒されるわけでもないんだから家帰ってやりなさい。」

と、こんな感じである。

「海月に報告してくるから」

先に行ってしまおうとドアに手を掛けると

「あれ?」

いくら横に引こうと思っても動かない。

「なんで?あれ?」

と一瞬混乱していると

「どうしたの?」

羽喰が携帯を片手に来る。

「なんか開かない?」

「そんなわけ…あら?」

羽喰も引いてみるも全く動かない。

「壊す?」

背後で嘘喰が物騒なことをいう。

「ダメよ。鍵も掛かってないのに何でかしら?」

「なんか引っかかってるの?」

嘘喰の疑問はタローが確認して

「いや、何もない。」

羽喰は窓に向かって歩く。

「窓から出ましょう。」

と窓の鍵を開けるも窓が開かない。

「なんなのよ…」

羽喰はイラッとしながらいう。

「壊す?」

再び嘘喰が聞くと

「壊しましょうか。」

「ちょい待ち!」

羽喰の発言をタローが静止する。

 羽喰は仕方なく嘘喰に携帯を渡しカバンを机に置くと唯一開いているドアである準備室に行く。だがそれは図書室と同じで鍵は開くもののドアが開かない。窓も開かない。

「充電切れそう。」

嘘喰にそういわれ羽喰は

「カバンにコードがあるわ。」

といって嘘喰を適当にあしらう。

「出れない。」

「なんで?」

タローと羽喰はこの状況の意味が解らなかった。

「蛍火の連絡先知ってる?」

「ああ、電話する。」

タローはそういい携帯を出し操作すると耳に当てる。

「あ、先生、頼みたいことがあるんですけど」

とタローが言うと電話のむっこうで

「頼み?面倒事じゃないよね?」

蛍火がそういう声の向こうでなにか動く音がする。

「なにかしてるんですか?それより学校自体に居ます?」

「いるよ。で、頼みって?内容によっては断るけど」

「図書室を開けてほしいんです。」

タローがそういうとまた受話器の向こうでがさがさと音がして誰かの声がする。

「先生?水流先生もいるんですか?」

「うん、えっと、図書室だっけ?ちょっと待ってて」

とういうと電話が切れる。

「何してんだあの二人?」

携帯を見ながらつぶやくタローを見て羽喰は

「で、どうだったの?」

「ああ、来てくれるって」

「そう、彼等なら不安はあるけどどうにかしてくれるでしょ。」

そういうと羽喰は近くに椅子に座る。

「水流先生が一緒なら何とかなるだろ。」

とタローも隣に座る。

 しばらくの沈黙の末

「羽喰、これどれだっけ?」

と携帯のアプリ画面を見せながら嘘喰が近づいてきた。

「Aに行けば剣士がいてBに行けば山賊がいるわ。どっちに行ってもその先は目的地よ。」

と教えられ嘘喰は再びゲームに入る。

 その時ドアの窓に蛍火と水流の姿が見えた。

「なんだ、中に入れたんだ。」

と蛍火がいうもドアが開かなくてあれ?っと言っていた。

「入るんじゃなくて出れないの。どうにかならない?」

羽喰がドア越しでいうも

「開かないのは結界のせいだから壊すが解除してもらわないと無理だ。」

と水流がいう。

「結界?」

「何で図書室に張る必要があるのよ?」

「さあ?」

ドアの向こうで蛍火が楽しそうに首を傾げる。

「二人はなんでここに居るんだ?テストが終わったんだとっととかいればよかったものをなんでいるんだ?」

「海月に頼まれたのよ。新しい本と古い本の入れ替えを手伝ってほしいって」

「あいつはなんもしてないけどな。」

タローが付け足す。

「じゃあ、その海月先生を呼んで聞いてみよう。これは先生の仕業ですか?って」

蛍火は顎に手を添えて言うも

「あっさり認めるわけないだろ。窓も無理なのか?」

水流に聞かれるも二人は首を振って答える。

「そういえばなんで嘘喰は入って来れたんだ?」

「その時は結界が張られて無かったのよ。昼以降に誰かが張ったんだわ。」

タローと羽喰の話の内容について行けない先生二人は

「嘘喰って?」

と聞いてきた。

「気にしないでください。それよりも出る方法を考えてください。」

「だから壊す?」

と嘘喰が来る。



 時間は少々遡り二時ごろのこと、教室で燭影と小楯は双子や世良と教室で喋っていた。そこに

「神保、ちょっといいか?」

海月が現れる。

「あれ?先生羽喰ちゃんまだですか?」

燐が聞く。

「まだ借りてる。鳥居も、」

小楯は立ち上がり海月に近寄る。

「なんですか?」

「ちょっと成績の話、」

といわれ

「あ、はい…」

今回のテストもそんなによくない点数だろうとは予想していた小楯は進級できるか不安であった。

 一同はそれを見送る。その姿を世良は凝視していた。

「どうした?」

と燭影が聞くと

「俺だって成績そんなに変わらないのになんで小楯だけ?」

「小楯くんのあと呼ばれるんじゃない?」

「そういうことか!」

机に項垂れるように倒れ込む世良。

 その頃小楯は小会議室に入っていた。

「そんなに点数ダメでした?僕以前よりかはいい点とれる手ごたえあったんですけど…」

「そうだなあ、点数は上がっているがこのままではギリギリ進級できないな。と、言うことで課題を出すことにしました。」

海月は随分と楽しそうに言った。

「課題って全教科ですか?」

「いや、俺からだけ、なに、簡単なことだよ。あの子たちを殺すだけだ。」

小楯の動きが止まる。

「先生?なに言ってんですか?あの子たちって…」

「もちろん、朝比奈燭影に秋月煌、燐、そして世良胤臣。最後に鳥居大狼を殺って課題は終了だ。簡単だろ?蜂須賀羽喰には気を付けろよ。」

小楯は座っていた椅子を倒す勢いで立ち上がる。

「僕もう戻ります…」

小さな声でドアまで歩くもドアに手を掛けたところで

「小楯、兄さんの言うこと聞けないのか?」

その言葉に小楯は振り向く。その瞬間、小楯は首筋に痛みを感じ、声にならない息を漏らす。

「兄、さん…?」

やっと出た声に小楯の目の前の人物は首から口を離し小楯に笑いかける。

「やっと思い出したか?」

目の前の顔に、聞こえる声に小楯の思考はぐるぐると乱回転、ショート寸前である。

「なんで…兄さんが、ここに?」

今まで海月だと思い込んでいた人物が神社で見たあの兄、楯麟の姿を重なりついには頭が真っ白になる。

「お前に会いに来たに決まってんだろ。小楯はいい子だから俺のこと待っててくれたよな?」

「うん!」

小楯は楯麟に抱きつく。涙を流しながら、鼻をすすりながら楯麟がもう自分から離れていかないように必死でその背中に腕を回して服を握る。

「じゃあ、出来るよな。」

小楯の中に楯麟の声が降り積もる。小楯の意識は楯麟の声にむしばまれていく。楯麟に噛まれた首の噛み傷がうずく。楯麟が小楯の首から下たる血を舐めると小楯の意識はどこかへ飛んで行ってしまった。

 動きの止まった小楯が再び起動するのにそう時間はかからなかった。立ち上がり小楯は楯麟を光の無い目で見る。

「僕、兄さんの為なら…」

「俺の為なら?」

催眠術にかかるように小楯の心とは違う動きをする口。

「あいつら殺してくる……。」

小楯の回りを電妖が包む。小楯から生まれていくクラゲ型の電妖。その姿に楯麟は口角を上げる。



 時刻は六時を回っていた。

 さすがにしびれを切らした羽喰は

「嘘喰、壊していいわよ。」

という。タローもさすがにこのまま出られないのは嫌なので何も言わずに見守る。

 大きな破壊音とともに羽喰はやっとそとに出れたためか伸びをすると警報機が鳴った。

「やっちゃった?」

「ドアが壊れただけでなる警報機ならこの学校は毎日なってるわ。それにこれは火災警報器よ!」

羽喰は走って行ってしまうのでタローと嘘喰、そして水流と蛍火が着いて行く。

 廊下を進む途中窓から一つの教室から火が上がっているのがわかった。

「俺らの教室!」

タローの記憶が確かなら燭影が待ってると言っていた。まさかと思い足を速めると姿が電妖に代わる。

 教室に着くとそこは火が一面を閉めていた。ほとんどの生徒が帰宅しているであろうこの時間教師も消火器を持って集まってくる。

「燭影!」

火の海とはよく言ったものだ。これでは煙で息ができない。

 タローが教室に入ろうとするとその肩を羽喰が掴む。

「離せ!」

「待ちなさい!」

そういうと蛍火が電妖の姿になり中に入っていった。煙ならば燃える心配はない。

「水流!」

蛍火の声に水流が反応し蛍火同様姿を電妖に替える。その姿は水でできた鳥。翼を開き動かせばどこからか水か現れ少しずつ消火されていく。

 羽喰はそのさなか視界に入った光景は消火器で消えない炎、普通の火であれば水流の水で消えても少ししてまた燃え出すので再度消火の必要があるものの、電妖によるものであれば二次消火の必要はない。羽喰の観察は一瞬ではあるもののそれを見極めた。

「燭影!世良!」

蛍火に寄り二人が教室から連れ出される。そして

「燐、煌も…」

燭影同様、羽喰を待っていたのだろう二人も水流によって連れ出された。

「救急車を蜂須賀病院に運んでください!」

「ここからなら天電病院のほうが!」

訳を解っていない教師が口を開く。

「これは電妖の炎、やけどの治療は普通の病院じゃ見てもらえないよ。」

嘘喰が壁にもたれてゲームをしながら言った。

 いや待てよ。羽喰は考えた。電妖による災害でも警報機は鳴る。だが電妖を見ることができないものにとって電妖が起こした災害、特に火や水、雷など視覚に映ることはない。その怪我もだ。物理的な机が動いているや椅子が破損しているというのは解るのだが、どうなっているんだ?

 救急車で四人は運ばれていく。羽喰の事前の要請で病院の受け入れ態勢も整っている。一安心である。そこに

「ねえ、小楯は?」

嘘喰が聞く。その声にタローと羽喰は水流によって消火された教室を見るも小楯の姿はない。どうなっている?タローが携帯を取り出し小楯に電話を掛けるもその着信音は小楯の席に置いてあるカバンの中からであった。テスト中にマナーモードにしてしまったままだったのだろうか?

「タロー、校内を探すわよ!」

羽喰に言われタローは走り出す。

 タローはまず一階に下りて下駄箱を確認、何か買いに行ったりしているのではないかと思ったが靴も上履きもない。次に職員室に行き行方を捜そうとするも先程の火災で教師たちは慌ただしい。

「どうした?」

やっと捕まえたのは蛍火であった。

「小楯見てませんか?あの教室にいたはずなんです!」

「見てないな。」

という答えのみ、忙しそうに適当にあしらわれて行ってしまった。

「タロー?どう、見つかった?」

羽喰も教師に聞こうと職員室に現れた。

「いや、みんな忙しくて聞けてない。」

「生徒一人行方不明だっていうのに」

羽喰はそういうとタローと入れ替わり職員室に入る。

「神保小楯が行方不明です!何か知りませんか?」

と大きな声に手を筒にしていうものだからたくさんいる教師の動きが止まる。

「行方不明って帰ったんじゃないの?」

一人の女性教師が聞いてくる。

「鞄も携帯も学校にあります。それに彼は鳥居くんを待つために運ばれた朝比奈くんと一緒に居たのは間違いないんです!」

その声にさらに室内がざわつく。

 その時職員室に新たに人物が入ってくる。

「蜂の巣本部よりまいりました金魚(きんぎょ)と申します。」

その人物を羽喰は睨みつける。

「なぜ貴方がここに居るの?」

「八九一だな。すぐに巣に戻れ、話がある。そこの少年も病院で友人の看病でもしていろ」

タローはそういわれ、今の状況に反論を述べようとすると

「現在最重要人物の行方が分かっていません。もし彼が現在我々の追っている電妖の手に渡ってしまった場合大きな問題が生じかねます。」

羽喰がタローを止めて話を進める。

「その件に関しても巣で作戦を立てる。直ちに帰還せよ。」

まるで軍事教官のようにいう金魚はそれを言い残し行ってしまう。

 「あれが羽喰を担当してた人?」

突然現れた嘘喰は羽喰に聞く。

「そうよ。」

それだけ返事を返し羽喰は嘘喰からカバンを受け取る。

「おい!小楯はどうするんだよ!」

タローは聞く。

「あいつが来た以上私は一旦巣に戻るわ。最悪の可能性は小楯が楯麟をさらった電妖にさらわれてしまっていること、マシなのは小楯が一人逃げていること、どちらにしろ巣から蜂を使って探すのが早いわ。タクシー呼ぶから乗りなさい。どうせ行先は病院なんだから」

羽喰はそういうと携帯を耳に当て話し出す。数秒で着られ羽喰は昇降口に向かう。



 火災事件より数日。

 あの日病院に運ばれた燭影、燐、煌、世良は翌日には目を覚ました。

 だが、そこで口にしたのはタローを混乱させる一言であった。

「なんで、小楯くんこんな事したんだろう…」

燐が泣きながら言った。

 タローの動きが止まる。

「だが、あの時の小楯の様子はおかしい。俺らの目を見るどころか話さえ聞かない、喋らない。小楯の姿をした電妖の可能性もある。」

燭影がそういうと少し安心する。

「だけど小楯くんがいないタイミングで現れるなんて図ったみたいじゃない。」

煌に言われまた顔色が変わる。

 この発言は羽喰のもとに届けられた。だが羽喰がこの病室に来ることは一度もなかった。

 退院はそれから一週間後、その時も羽喰が来ることはなかった。

 学校に行けば教室の修復が終わっていた。小楯のカバンは教師が家に届けたらしい。登校してタローを含め燭影たちが驚いたことは担任が海月から木林(きりん)という教師に変わっていた。ほかのクラスメイトに聞くと当然のように

「何言ってんだ?土竜先生の代わりに夏休み明けから居るじゃんか」

といわれ唖然としてしまう。五人はその後違和感を持ちつつも学校生活を続けていった。




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