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電界妖怪  作者: くるねこ
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放電アダム

  放電アダム


 春である。ばたばたと忙しい時期を通りこしタローは天電高校の入学式に出ていた。

「新入生代表の言葉。新入生代表、蜂須賀羽喰」

「はい」

さすが成績優秀なだけあり羽喰は呼ばれ壇上に上がる。

 つらつらと心にもない言葉を読み上げる彼女の姿をうっとりしながら見る生徒は多い。まだ、彼女の正体を知らないからだろう。その中に燭影がいることは忘れておくタローであった。

 羽喰を雀蜂と知ったあの後、タローと燭影は痛い体を引きずって登校した月曜日。待ち構えていたのはみんなご存じ生徒会長様で、

「鳥居くん、朝比奈くん、放課後生徒会室に来るように」

そう伝えると取り巻きのような双子と共に行ってしまう。周りの視線が痛い。当たり前だ。あの会長に直々に呼び出されてしまったのだから…。

 放課後、予防線だろうか、双子の兄、煌が迎えに来た。

「羽喰ちゃん忙しいんだから煩わせないで」

と、だけいい。歩き出すのにタローと燭影はついて行く。

 生徒会室には羽喰と双子妹の燐がいた。

「来たわね。二人に話があったの。私の手伝いをしなさい。」

その言葉は暗号か?と思いながら必死に解読しようとするも

「鳥居大狼、一つ言わせてもらうけど受験で使われるテストの成績は二学期の中間まで、今度ある期末はどう頑張っても意味ないのよ。」

「マジで!」

タローは解読をやめて羽喰を見る。

「そこで、私の手伝いをすることで貴方を高校に合格させてあげる。どう?悪い話じゃないでしょ?」

タローは悩む。そこに燭影が

「でも一般受験で受かれば同じことだよね?」

「何言ってんの?妖人、半妖は天電高校に入学できる方法は面接のみよ。」

「聞いてない!」

とタローはうろたえる。

「寝てたんでしょ。」

「寝てたに決まってる。」

と双子に言われてイラッとする。

「悪い話じゃないでしょ?」



 なんてことがあり、こき使われること四カ月弱。タローは無事高校の入学式を迎えることができたのでした。

 「おい、タロー寝てるぞ…」

ウトウトしている間に入学式が終ったようでぞろぞろと生徒が体育館を出ていく。

 「お前聞いてたか?また会長ちゃん、生徒会長に推薦されてたぞ。」

何故一年で会長なのか、それはこの地区の学校では当たり前のことなのだがほかでは珍しい前会長が新入生の中から会長を推薦。有無を言う余裕無く決定なので推薦と言うより指名なのだが、それにより選ばれた生徒は三年間生徒会長職を全うしなくてはならないのだ。

「またかよ。頑張るなあ」

「それでさ、役員の方なんだけどまたあの双子が副会長だって」

「頑張るねえ……まさか俺たちは?」

 「貴方たちを生徒会に入れるわけないでしょ?でも会員ではあるけどね。」

背後に現れたのは噂をしていた会長、羽喰様だった。

「会員って全校生徒対象だろ?別に俺らだけに言わなくてって」

「何言ってんの?手伝ってもらうことがあればいつでも呼びだしてこき使うから、時間開けておいてね。」

そういうと彼女は歩いて行ってしまった。

 こき使う。と、いったものの彼女に押し付けられる雑用と言えば配布物の印刷と仕訳・配達、校内の見回り、資料の整頓・片付けといった簡単なものばかり、しかもこき使うというほど呼び出しは頻繁ではない。

 燭影に至っては連絡先を手に入れたことにものすごく喜んでいた。

 「あ、クラス分け見に行こうぜ。」

「そうだな。」

 場所は代わり一年生の教室に行く途中の廊下、そこに張り出されたクラス分け表に生徒が集まる。

「あ、燭影は四組にいるぞ。」

「マジ?お!お前も…会長ちゃんも一緒じゃん!」

「あたしたちもね。」

その声に振り向くと燐がいた。

「え?本当だ。よかったな、双子そろって同じクラスで」

「そうなんだよね。羽喰ちゃんも一緒だし楽しい始まり方だよね。」

すると後ろから

「ねえ、世良って何組にある?」

「世良?世良、世良…世良胤臣、俺らと同じ四組だ…胤臣?」

「なんだお前、命の恩人になんだその態度は?俺のことを忘れたなんて言わせないぞ!」

小柄な幼い声が背後からする。聞き覚えのある声と態度に振りむくと

「やっぱりおまえか」

「お前には興味はない。俺は大狼に!」

「わかったから行くぞ」

タローは話を遮って教室の方向に歩き出す。

 「貴方世良胤臣くんていうの?あたしは燐、よろしく」

「よ、よろしく…」

目を合わせることなく世良は言った。

 教室のドアを開ける。するとそこはシーンとなっていた。

「あ、やっと戻ってきた。燐の席はここだよ。」

と煌が燐の席、といっても隣を指す。

「トイレ行くのに迷子になちゃって」

「だから一緒に行くって言ったのに」

「平気だった。帰りにタローくんたちに会えたから」

そう聞き今までノートに向けられていた視線をはずしタローに向ける羽喰。

「残念だったわね。貴方の席は私の隣よ。」

「マジかよ!」

「マジよ。その前が燭影の席。そこの世良くんの席は私の後ろ」

クラス全員の席と顔を把握しているのか何も見ることなくそう告げる。

 一空間だけ異様な空気を放っている。

 クラスメイトもほとんどそろったところで最後の一人だろう生徒がドアを開けた。一斉に視線が集まったからか彼はビクッとなるも、開いている席、タローの後ろに座る。

 沈黙。原因は羽喰とタローを中心に空気が悪いからだろう。

 だが、それも教師の到着により打ち消された。

「このクラスの担任をすることになりました、土竜です。担当は生物。よろしく」

と明るくさわやかな教師が挨拶をした。

「ところでこの席順だが先生が適当に並べた物だから近いうちに席替えはするつもりだ。それまでに隣のやつと仲良くなってくれよ。」

そういわれたものの無理だと感じているのはタローだけだろう。



 放課後、部活の勧誘の中校門を出ようとしたその時、

「お!会長ちゃんから電話!もしもし!……ああ、分かったすぐ行く。」

そういって電話を切る燭影、なんとなく嫌な予感がするタロー、

「生徒会室集合だってよ!」

とウキウキした様子の燭影に引っ張られタローは再び勧誘の人ごみにもまれる。

 四階まで階段で上がり廊下を進む。すると生徒会室というプレートを見つける。

「意外と速かったわね。タローがもっとぐずるかと思ってたけど」

「俺が引っ張ってきました!」

燭影に売られるタロー…。

 「で、何の用で呼ばれたんだ?」

「は?貴方携帯見てないわけ?ばっくれるつもりだったのかと思ったら、素直に来るわけね。役員の紹介をするわ。そこに座りなさい。」

指さされた席に着きカバンを机に置く。

 「じゃあまず、副会長は解るわね。煌と燐よ。それから書記に翌檜(あすなろ)、会計が柏尾(かしお)、庶務は()(すぎ)、で、監査役員の(しら)(かせ)よ。覚えた?」

「何となく…」

「あと、顧問の水流(つる)先生ね。」

無視して話を進める羽喰。タローは頭の中で復唱する。

 「以上よ。今日は解散。貴方たちは残ってね。」

と指名されるタローと燭影。

 四人と教師が席を外すと羽喰は座る。

「さて、本題だけど、春と言えば?」

「桜?」

「はい!春雷ですか?」

勢いよく手を上げて燭影がいう。

「正解。つまり、電妖の狂暴化が多発する時期です。毎年天電地区担当の私はこの時期から死にかける頻度が増す、なのですが今年はリスクを減らすため貴方たちにも協力してもらおうかと思います。反対意見はありますか?」

「あるに決まってんだろ!」

「意見と言うより質問、俺たち電妖倒したことないです。」

その言葉に羽喰はカバンをあさり出したものを二人に投げつける。

「うわ!…なにこれ?」

タローが受け取ったのは槍の形をしたペンダント、燭影は銃の形をした同じくペンダントだった。

「それに力を送り込んでみなさい。半妖ならそれぐらいできるでしょ?」

二人は言われた通りにするとペンダントは熱を持ち姿を変えた。

「なんじゃこりゃ?」

「すげえ…」

タローの手には長槍が、燭影の手には二丁の銃が握られている。

「対電妖具一つよ。それは電妖には物理的効果があるけど物、人を傷つけることのない特殊など道具。あとこれも」

また羽喰は二人に投げる。

「ん?タイヤなら俺らも持ってるぞ。」

「それは一般に市販されているものと違って結界が強固な丸型なのよ。」

するとそこに燐が口を挟む。

「一般に市販されているのは結界が四角く人をかこっているんだけどそれだと弱いの。四角いってことは面で力を支えるってこと、力の分散がされにくいの。正面から来れば一面が割れる、斜め方向から来れば辺に当たって二面に分散されるけど一辺歪むとその辺にくっついている二面が破壊される可能性がある。斜め上から来られても点から三面に負荷がかかるの。この説明の意味解る?」

燐の説明と共に煌が紙芝居のようにスケッチブックのページをめくっていく。

「わかったけどこれは何が違うんだよ?」

「タロー、少しは話の先を読め、丸型ってことは一点に加えられた力が分散されて壊れにくいってことだよ。」

「なるほどね。」

タローが納得したところで

「さらにこのタイヤは外からの攻撃は防くけど中から外に向かっての攻撃には結界の作用は働かないんだ。だから燭影くんの銃の玉は結界を抜けていくし、タローくんの槍も結界を破くことなく攻撃できるってわけ」

煌が付け足す。

「以上、そのタイヤが特殊なものと解ったらなくさないこと、まあ、生徒会の刻印があるからなくしても届けられると思うけど、ついでに便利なのは電妖が暴れることでできる電界のゆがみが体に与える影響を最小限に抑えることができるものなの。」

羽喰は携帯をいじりながらいう。

「待て!俺はまだやるなんて一言も!」

「説明を聞いといて何言ってんの?明日から四人で頑張って頂戴。てこずるような電妖だったら連絡するように、あ、これインカムね。GPSの着いた物だからこれも無くさないように、明日、全校生徒に新品のタイヤが配られるけどそれはしなくていいから、」

羽喰はまたインカムを投げる。

「だから!…って四人ってこいつらも?」

タローは双子の間辺りを指さす。

「二人も私の巣の子供たちよ。もう解散していいわよ。」

「タロー、あきらめろ、会長ちゃんには逆らえない。」

タローは盛大に溜息を着く、

「大丈夫、あたしたちも羽喰ちゃんほどじゃないけど強いから」

「お前等もこれみたいなの持ってんのか?」

燭影が銃を見ながらいう。

 双子は制服の襟をいじり

「俺たちのは物理攻撃じゃなくて火と水を自由に操る電妖そのものの力を生かしたもので、これ」

煌の首にはミトンのような手袋、燐の首にはブーツのペンダントがついていた。

「人力的攻撃で電妖を仕留めるの」

「この子たちが狐と魚の半妖なのは有名よね。貴方たちもそのうちその武器が自分に合ったものになるわ。」

とは言ったもののピンとこないタローは立ち上がり、

「とにかく連絡があれば動けは良いんだろ。帰ろうぜ」

と、いいながらドアを開ける。

「いつもは私一人で何とかなるから雨の日と翌日は警戒してね。」

タローと燭影がドアから出ようとすると羽喰は言った。



 タローと燭影はまだ慣れない帰路を進んでいたが背後からの視線にどうしたものかと悩んでいた。

「俺、なんでストーカーされてるの?」

「わかんないぞ。単なる帰り道が同じで、でも今日ただ席が前後だったってだけのお前に話かけにくいってだけかもしれないし」

二人はちらちら後ろを見ながら前へ進む。

「あいつ誰だって?」

「お前、今日の自己紹介の間寝てたんだな?」

「いや、羽喰がノートに何書いてんのか気になってずっと見てた。」

「なにそれ!で、何書いてたの?」

と、後ろの人物のことなどすっかり忘れて話に入る。

「生徒一人一人の自己紹介をすべてメモってた。しかも話し方から特徴やら全部。」

「会長ちゃんってマメだねえ」

なんてほのぼのした顔をする燭影だが、

「で、あの子のことはなんて書いてたの?」

「あの子?ああ、後ろにいるやつ?」

と体に隠れるように指す。

「二重丸つけてた。」

「二重丸?どういう意味だよ?」

「俺が知るかよ。だが世良にも二重丸はついてた。ついでにお前は黒丸と星と鳥がついてた。」

「黒丸に、星に鳥?」

燭影は考え込むも答えが出るわけもなく。

「俺の予想は黒が生徒会、星は半妖。ほかにも黒星が多分妖人で白丸が町外から来ている生徒。で、二種類の星がついてる生徒にだけ絵が描いてあったから…」

「電妖の種類ってわけか。ちなみにその絵ってうまいの?」

「雰囲気で解るレベル。」

「微妙な残念感…二重丸は?」

「わからん。ほかの生徒にはついてなかった。世良もよくわからないやつだし、変なクラスに入れられちまったかもな。」

話をしている間に二人の家の前まで着く。

 「ワン!」

「ニャー」

「カー!」

と、ジローとマリー、雛鳥ではなくなったがカラスの雛が二人の帰りを待っていたようだった。

「ただいま、じゃあ後でな。」

「おう」

と返事を返し二人はそれぞれの家に入っていく。

 家に入ってしばらく。タローは屋根裏部屋の天窓からストーカーの様子を見ていた。

 彼は家の前をウロウロするも

「ワンっワンっ!」

ジローに吠えられビクっとなった拍子に通りかかった電妖にぶつかって頭を下げている。

「見えてんのにメガネをかけてない…」

タローはふと思う。そういえば世良も電妖に詳しかったがメガネをかけていない。

 もちろんタローや燭影、双子は半妖なのでメガネは必要ない。妖人もそうだ。もちろん羽喰はメガネをしている。タローの母や燭影の父もだ。

「変なのに好かれちまったかな…?」

窓をゆっくり閉めた。



 朝である。いつも通り家をでて燭影と歩き出す。

「これはストーカーで間違いない気がする。」

「一晩中家の前に居られちゃねえ」

燭影がちゃかすようにいう。ストーカーの彼は燭影の言うとおり一晩中二人の家の前にいた。何かするわけでもなく、ジローに吠えられればビクつき、マリーは足にすり寄れば飛び上がり、雛が近寄れば逃げる。そんな夜を経験した彼は疲れ果てた顔で隠れながら二人の、というよりタローの姿をおう。

 大通りの交差点で信号を待っていると

「あ、おはようお二人さん」

「おはよう。」

燐が元気に、初対面の時に比べて幾分ましになった声色で煌が挨拶してきた。

「おはよう、燐、煌。いつもこの時間になりそう?」

「そうだね。羽喰ちゃんが動けるときはこの時間。」

二人は燐の言葉に頭上に疑問符を浮かべる。

「昨日も言ってたじゃん。死にかけるって、基本死にかけても学校には来るけど生徒会のことまで手が回らなくなっちゃうから」

「え?ここ四カ月そんなことあったか?」

タローが聞くも燭影は

 「それならなんでもっと早く行ってくれないんだよ!大変な時は俺らも手伝うからね!」

「気付いてないだけで結構手伝ってもらってる。」

「確かに…」

と二人の温度差をみながら双子がいう。

 「で、あの子は?」

煌が見えないようにストーカー少年を指さす。

「なんか昨日からタローを主にストーカーしてる子、名前は確か神保って言ってたっけ?」

「神保博士のところの次男でしょ?二人でいるの観かけたことある。」

と燐がいう。

「で、なんでストーカーなんてされてるの?」

煌に聞かれた。

「俺が知るかよ。」

「タロー、教室で泥沼はやめろよ。」

なんて燭影が肩に触れながら言う。

「え!泥沼ってなに!」

燐が反応してしまった。

「こいつ、世良に俺の物になれって言われてて、まあ、俺が邪魔したんだけどね。それで今度は神保って、男にモテるとか残念の極みだな。」

なんて笑いながらいう。

「大きなお世話だ!」

 「いいね!泥沼のダブルトライアングル!」

「なにそれ燐?」

煌を含めその場の男どもはよくわかっていない。

「だってタローくんを取り合う二人の少年の泥沼の三角関係。でもタローくんはすでに羽喰ちゃんの物、しかも幼馴染の燭影くんは羽喰ちゃんにメロメロ!ドロドロだね!」

「確かに、」

煌が同意する。

「ホントだ!俺、お前との縁切るわ。じゃあな鳥居くん」

「待て!俺を変な妄想に撒き来ぬな!それに俺は羽喰の物になった記憶はない!」

 「そうだよ。大狼は俺の物だもんね。」

話をさらにややこしくする人物が歩いてきた。

「おはよう世良くん」

と燐が言うも、世良は急ぎ足でタローの背後に回り

「おはよう秋月さん」

といった。

「お前、なんなんだ?」

と煌が微妙に機嫌の悪そうな顔をして言うも

「別に、秋月くんには関係ないだろ。」

と今度はちゃんと煌を見ながらいう。

 「で、なんの話してたの?悪いけど大狼はやらないよ。」

「お前はそのタローは俺の物にしました発言やめろ。じゃないと今、この場でお前の目ん玉突きつぶすぞ。」

と怨念籠った声で燭影が言うとまた世良はタローの背後に隠れる。

「女みたいな顔してるから女々しいんだ!」

と背中に隠れながらいう世良をついに燭影は捕まえに入る。

 「おい!やめろよショーくん」

「お前がやめろその呼び方!」

顔に似合わない表情で燭影は言い返し、世良を追う。

 「だからその顔に合わないからやめろ!世良もだ!」

タローにより燭影は顔面を掴まれ、世良に至っては首根っこ掴まれブラーンとしている。

 「道の途中で迷惑だろ!」

と燭影と世良はタローに怒られる。

 「でもホント、泥沼だね!」

燐がウキウキしながら言うと交差点を渡り始めた。

「燐ってこういうの好きだね。」

と煌が言うあたり、よくあることのようだが残されている三人はピンとこないまま歩き出す。

 「で、神保は何してんだ?」

世良は振り返りそういう。すると神保は驚いた顔をしたと思ったら小走りで校門をくぐっていった。

「世良って神保と友達だったんだ。」

燭影に言われ睨み返すも世良の視界に入ったのはタローで、

「で、どうなんだ?」

と聞かれてしまうと顔色をかえ

「友達ではない。仕事のお得意さんみたいなもんだよ。」

「そっか、世良くんって情報屋敷の家の子なんだね。」

燐が話に入ってくるのでまたも世良はタローの後ろに隠れる。

「なるほど、情報屋敷の跡取り様ね。その行動の理由がやっとわかったよ。」

煌は一人で納得してしまう。

「なんだよ、情報屋敷って?」

燭影はそういうと

「そんなことも知らねえのかよ!俺の家は代々電妖の情報を国や研究者、時に一般人に金で売ってる商売の家柄なんだよ!だから電妖もメガネなしで見れるし触ることも操る呪術も使えるんだよ!わかったか!」

自慢げにいう世良に再びこめかみがうずく燭影だがタローになだめられる。

「なら、あいつがなんで俺の事をストーカーしてるか知ってるか?」

タローの問いかけに世良はうつむき

「あいつの兄さんにお前が似てんだよ。十年前に電妖にさらわれた兄さんに、」

世良の話にタローは彼を捜すも見える範囲に彼の姿はなかった。



 その頃羽喰は教室でノートのまとめ書きをしていた。

神保小楯(こだて) ◎』

二重丸。その意味は特殊な人間を意味する。情報屋敷の世良、そして神保博士の次男・小楯。小楯には別のマークも付け足す、太いバツ印を付けて羽喰はノートを閉じる。

 教室のドアが開く。少し息を荒くした小楯が入ってくた。

「おはよう小楯くん。博士はお元気?」

「え?」

小楯は驚きつつ羽喰を見ると

「あ、うん。相変わらず部屋に籠っているよ。冬に届けられた貯蓄型の電妖にまだ夢中みたい。」

「そう。あれは外の皮と中の物質が異なるみたいであまり電気を与え過ぎない方がいいかもしれないわ。」

「伝えて置くよ。」

小楯は自分の席に着く。

「ところで僕の前の席の彼とは仲いいの?」

羽喰は振り返ることなく

「そこまででもないけど電妖狩りを手伝ってもらうことになってるわ。彼がどうかした?」

「ううん。何でもない。」

小楯はそういうと携帯をいじり出す。

 生徒のほとんどいない教室は静かである。

 廊下の先で燐の楽しそうな声が羽喰の耳にも入る。

 開けたままのドアから

「おはよう羽喰ちゃん」

と、双子がそろっていう。

「おはよう会長ちゃん。」

燭影も席に着く途中ですれ違いざまにいう。

「で、貴方は何も言わないのね。」

「おはようさん。で、朝から何してるわけ?」

タロー席に着くなり羽喰からの悪態に返事を返しつつ聞く。

「今日は学力診断テストがあるのよ。勉強しなくて言い訳?」

と言われ一旦席に着いた一同が

「エーー!」

と立ち上がりながら声を上げた。

 「年間行事予定表は昨日配られたはずよ。目を通して無いの?土竜先生、新任みたいで言い忘れてたみたいだけど配布物にはちゃんと目を通すことね。」

羽喰は視線を机の上から離さない。

「何で昨日集まった時に言ってくれなかったんだよ!」

「私今言ったわよね?配布物には目を通すようにと」

すると燐は

「酷いよ羽喰ちゃん。幼馴染のあたしたちにも教えてくれないし…」

「あら、予定表見ながら煌と話していたから気付いているのかと思ってたけど」

「羽喰ちゃん、燐が楽しい行事以外が目に入ると思うの?」

煌が燐と羽喰の肩に手を置きながら言う。

 「そうね。じゃあ、ついでに言うけど今日は学力テストのほかに数学と英語の少人数分けクラスのためのテストもあるわよ。」

その時、教室に土竜が入ってくる。

 「すまないが今日はいくつかテストがある。簡単なものだから心配するなよ。」

といいながら今日の予定を黒板に書いていく。すると

「土竜ちゃん!せめて言い忘れたならメール頂戴よ!」

燐が先生のジャケットを引っ張りながら言う。

 「あれ?先生と仲いいの?」

世良が聞く。

「土竜ちゃんはあたしたちと同じ天電地区蜂の巣のメンバーだもん。」

と燐がさらっというと

「蜂の巣って…雀蜂?!お前が雀蜂だったのかよ!」

といいながら燐を指さすも

「バカか、燐はあたしたちって言っただろ。情報売ってんのにそんなことも知らねえのかよ。」

燭影がそういうも

「あれ?でもあの時世良が羽喰をよこしたんじゃねえのかよ?」

と影捕獲時のことを思い出すタロー。

「私は国の命令で動いているのよ。情報屋敷の屋長でもない人間からの通報で動くわけないでしょ。」

と、さらさらと話が進むものの

 「いいのかよ?神保にその話聞かれて?」

タローが羽喰に聞くと燭影をはじめ世良や土竜、燐や煌の視線が一気に小楯に集まる。

「ああ、みんなには言ってなかったけど小楯は随分と前から知ってるわ。なんせ私の一番の取引相手の家の子だもの。」

羽喰はねえ、と小楯の方向を振り向きながらいう。

「聞いてない!燐ちゃんそんなこと聞いてない!」

「俺も」

と双子がクズる。

「さすがに燐も煌も神保博士に合わせるのはリスクがあるの。だから言わなかった。もし私のお使いで博士に会いに行ってみなさい、診察台にベルトで固定されちゃうから」

なんて冗談のような話、と思っていると

「はははっ…確かに、みなさん気を付けてください。」

と小楯がみなと目を合わさないように失笑しながらいう。

 そんな話をしている間に生徒は次々登校し、黒板を見るなり先生を責めるのであった。



 それからしばらくというもの。平凡で変哲のない日々が過ぎていく。一つを覗いて…

「おはよう小楯、今日もやってんのか?」

昨夜の雨のせいか小楯は傘を持って立っていた。

「おはよう燭影。タローくんの観察が僕の仕事だからね!」

と、燭影とは打ち解ける小楯だが

「おはよう二人とも」

とタローが家から出てくるなり物陰に隠れタローを観察するという名のストーカーが始まる。

 「さすがに二週間も続くとなれるな。」

「そうだな。あ、さっき会長ちゃんから放課後生徒会室に来るようにって、」

「ああ、俺の携帯にもメール来てた。返してないけど」

と話しながら大通りに出る。

 「相変わらず小楯はストーカーだな。おはよタロー。」

世良に出くわすのもいつものこと。

 そしていつの間にか、みなタローと呼ぶのが定着するのと当時に小楯と呼ぶのにも慣れていた。

 「あれ?煌たちは?」

「さあ?来る途中合わなかったけど、もう学校じゃないの?」

「会長ちゃんの呼び出しの内容聞きたかったのに残念。」

と肩を落とす燭影を

「お前本当に趣味悪いよな。」

と世良が返すのもいつもの朝の会話である。

 「ほら行くぞ。そろそろ小楯も出て来いよ。」

小楯はタローに言われると素直ではないのに

「小楯おはよ。」

「信号変っちまうぞ。」

と世良や燭影に言われると出てくる。

 タローはなんとなく世良に悪態をつかれるか、無視され続ける燭影の気持ちが解ってきた。



 学校も一日が長いようで短く感じるのは授業のせいであり友人がいるからだろう。

 教室に入るが羽喰、燐、煌の姿は無く。三人が来たのは始業のチャイム直前であった。その様子は一言で表すのなら具合が悪そう。もちろんそれは羽喰一人で、双子は心配そうに付きそっている感じであった。

 休み時間になり煌を捕まえて聞いてみるタロー

「昨日電妖狩りの仕事で羽喰ちゃん怪我しちゃったみたい。だから今日の見回り代わってほしいってことで二人にメールしたんだと思う。俺たち今日は動けないから」

と苦笑いされた。

「動けないって?」

「うん……電妖以外に一部の妖人や半妖が月の満ち欠けに影響を受けるのは聞いたことある?」

タローはそう聞かれ燭影の母親を思い出す。燭影の母親は新月に近づくにつれ体調を崩しがちでそれで仕事を休むことも多々ある。

「お前等もそうなのか?」

「俺は違うけど燐がね。満月の日は吸血衝動が起こることがあるんだ。だから今日帰ってからと明日一日は家から出せないんだ。親だけじゃ抑えられないから」

と煌は悲しそうに言った。

 吸血衝動。これは電妖であれは死罪となる重い罪。妖人の場合、自分の力のコントロールができずにそういった行動をとってしまうことがある。これに関しては国が管理する施設に入り完治させるしかなく、完治しない者は一生をそこで終えることも少なくない。

 天電地区は唯一妖人、半妖の自由がある場所。リハビリをしながら生活している人も多く住んでいる。それは燐も同じなのだろう。

 燐と煌は半妖である。だが両親ともに妖人。流れる血には電妖の力が普通の半妖より多いのだ。そのコントロールは難しく妖人よりも外の世界では監視が厳しいと聞く。

 「煌は、そういうの大丈夫なのか?」

「うん。俺は燐ほど力は強くないんだ。でも時々、力が出なくなる。原因は解らないんだけどね。」

無理矢理な笑みを煌はタローに向け歩いて行ってしまった。

 放課後まで教室はいつもと違った空気が流れていた。

 生徒会室手前の窓が全開に開けられている。廊下は散り終り近い桜の花びらに染まっていた。

「で、羽喰、お前は平気なのかよ?」

三人しかいない生徒会室で定位置と言える席に座ってタローが聞く。

「私は問題ない。ちょっと疲れているのと痛みがあるだけ」

「会長ちゃん、無理せず俺ら呼べばよかったのに」

燭影がいうも本人は地図にペンを走らせていた。

 「そういえば最近ジローの上にマリーが乗っててさ、その上に雛が載って遊んでんだよね。ブレーメンみたいなことになっててさ」

「ああ、俺も昨日散歩連れて行く前に見た。あの下に馬がいれば本物顔負けなんだけどな。」

なんて他愛もない話をしていると

「ブレーメンは馬じゃなくってロバよ。そして一番上は鶏よ。雛鳥じゃないわ。」

と、羽喰が入ってきた。

「雛は小鳥じゃなくてカラスの名前、雛鳥の時に雛って呼んでたからそのままに」

「そうなの。そういえば最近、マリー太ったんじゃない?」

羽喰からの問いに

「確かに少し…って?」

「マリーのこと知ってんの?」

燭影は話の途中で考え込みそれを察してタローが羽喰に聞く。

「燭影の家のマリーならよく煌の部屋に遊びに来るわよ。最近太ったのか木登りが出来なくなっちゃったみたいだけど」

「知らなかった…」

燭影がショックを受けている横で

「で、何書いてたんだ?」

タローは立ち上がり羽喰の前に広がる地図を見る。

「天電町内で今電妖が多発しているエリアに印をつけておいたわ。ここを重点的に見回りして、攻撃してくるようであったら問答無用でやっちゃっていいから、見える人間に被害が出る前にお願いね。」

タローは地図を見る。

「とは言ったものの、そうそう襲ってくることはないから安心して、」

羽喰にそういわれるもタローは地図の一点を見ている。

 「おい、本当にここに多発しているのか?」

「そこはここ二週間ほど、四月に入ってからなんか多くてね。」

そういわれてタローは確かめるように学校からの帰り道を目でたどる。

「どうした?」

燭影もタローの様子に気づき地図を覗く

「俺らん家の前?」

「あら偶然。原因はあの子かしら?」

羽喰は思い当たる節を想像するもそれしかないと確定し溜息をもらす。

 「それじゃあ気を付けてね。私はもう帰るわ。」

椅子から立ち上がった羽喰はふらふらとした足取りで生徒会室を出ていった。



 水たまりは消えたものの薄っすらとしたじめっと感が夕日に染まる天電町を包んでいた。

「さて、燭影お前小楯に伝たか?」

「何を?」

二人は窓を開け放ち着替えながら会話を進める。

「何って、今から見回りに行く話だよ。」

「話したらついてこない?」

「話さずについてこられても面倒だぞ。」

燭影は部屋の一点を見ながら考え、

「俺ん家に上げとくか。そういえば生徒会室出る前の羽喰ちゃん俺らん家の前に電妖がでる理由に心当たりある様子だったじゃん」

「ああ?」

「二週間前って言ったらちょうど小楯がタローの観察始めてた辺りだろ?」

「そういえば…ってことは小楯が原因か?でも、あいつ特に変わったところなんてないただの人間だろ?」

着替え終わった二人はそれぞれ部屋を出て階段を下り、家を出発する。

「俺たちは電妖のようで人間でしかない。電妖にしかわからない小楯の魅力でもあるんじゃないのか?ペンダントの時みたいに」

「なるほどな…あ!小楯!」

 今となってはなれたのかジローやマリーと柵越しでなにかしていた小楯は呼ばれて驚いたのか、日陰でまだ水たまりの残る場所で足を滑らせ尻餅をついてしまった。

「大丈夫か?」

タローが走って近寄ると立ち上がり

「平気!大丈夫だよ!二人ともどこか行くの?」

焦ったような口調でいう小楯。

「ああ…ちょっとコンビニに行くところ。すぐ戻ってくるけど…」

ここまでいうと小楯は

「そう!わかった!さすがに着替えに帰るけどね!」

と、文脈のない言葉を並べながら走っていってしまった。

 「何とかなったな。」

「そうだな。部屋の電気つけっぱなしだけどいいかな?」

そんな心にもない心配をしながら地図を広げ姿を半獣へと帰る。

 「分担するか、俺は森の方から責めるから燭影は海からな。」

「了解。何かあったら飛んでいくから連絡よこせよ。」

燭影はそのまま飛んで行ってしまう。

「あいつ本当に飛んでくるから笑えるよな」

なんて考えながらタローも足を進める。



 二人は特に何事もなく家の前で合流した。すると

「何で二人とも家に居ないんだよ!」

と小楯が普段の制服とは雰囲気が一変するダサい私服で立っていた。

「ダサ…」

タローと職影はつい心の声は同時に出てしまった。

「そっそんなこと今はどうでもいいだろ…二人ともどこに行ってたんだよ?」

ダサいと言ったのが悪かったのかどんどん小さくなっていく小楯。すでに小さいのだが

「急用でちょっとな。」

「ちょっとじゃない!」

と小楯が怒ったと二人が思っていると小楯の背後から現れる電妖。

「小楯伏せろ!」

そういうとタローは槍を水平に振り回す。燭影も足元に数発銃で撃ちこむ。

 電妖は馬と言うか牛というか鹿だか、なぜかライオンのようなたてがみまでついている。

 そいつは闘牛のように地面を足でかいたと思ったら突進してくる。

「燭影、小楯連れてけ!」

タローの声に小楯を抱き空に逃げる燭影だが、電妖は空も飛べるのかタローを放って燭影と小楯を追ってくる。

「なんなんだー!」

と声をあげながら燭影は跳んでいく。

 タローはその姿を追って狼の姿で追いかける。

「ワン!」

ジローに呼び止められたことに気付くことなく。

 燭影は宙を飛び回り突進してくる電妖を避けるも小楯がいるためうまくいかずついに体当たりをくらってしまう。

 結界に当たる電妖だがその力は強く、燭影は地面に落下してしまう。

「燭影!」

タローの声は壁のない空に響く。そこに、

 「私前に言ったわよね?ムリな相手の時は連絡をしてくるようにって、何のためにその耳に着いている物はあるの?」

やつれた顔の羽喰が宙に立っていた。

「お前こそ、無理してくるんじゃねえよ!」

タローはそういうも

「まずは自分と大事な人の命を優先させなさい。人数は多い方が有利よ。多すぎても困るけど…」

そういうと羽喰もペンダントから剣を出す。だがその剣は以前と様子が違い、

「タローは燭影と小楯の所に居なさい。でないと貴方にぶつけちゃうかもしれないわ。」

羽喰の剣は稲光をまとい伸びた。そしてそれを鞭のように扱い電妖を追い込んでいく。

 羽喰はさほど動くことなくついに剣を電妖の首に絡めた。

 だが、電妖も抵抗し羽喰を引きずる。足場が崩れたのか羽喰は地面に落ち、着地した。電妖はまだ空中にいるもののだんだん動きが鈍くなっていく。体と地面がどんどん近くなっていく、そして電妖は必死の抵抗の末パァンっと弾け姿を消した。

 それを見ていたタローは

「何したんだ?」

羽喰は向けられる視線を無視しながら

「電解したのよ。こっちの世界から存在を消したの。」

「なんで?」

燭影が起き上がりながら聞く。

「狩りって捕まえるのが目的でしょ?なんで殺すの?」

「それはあの電妖が人間から生まれたからよ。」

羽喰の話によるといつもは狩りとして電妖を生きたまま捕獲、もしくは電池に変えて輸送しやすくしているのだが稀に電解、つまり電気分解して存在を消してしまうのだ。電妖の電気の部分はこちらの世界の電気に戻り、妖怪の部分は電界の向こうに送るのだという。

 タローも燭影も羽喰や双子の言っていることを半分も理解していなかった。小楯の父親が取引先ならほかにも捕まえた電妖は誰かの手に渡っていて殺しているわけではないと勝手に解釈していたのだ。

 だから同族殺しの雀蜂。冗談や噂ではない紛いもない事実であった。

 空にはすでに満月が昇っていた。



 羽喰は家に戻り傷の多い体を湯船につけて顔をしかめていた。

「また友達無くした?」

楽しそうな声で彼は浴槽のふちに腰を掛ける。

「うるさいわよ。お風呂場まで来ないでくれる?」

羽喰が威嚇するように彼を睨む。

「おお、怖い、怖い。それじゃあ俺は今日も誰かの家に泊めてもらいますよ。不機嫌な女王様だ。」

「待ちなさい!」

羽喰は湯船から立ち上がり彼の服を掴む。

嘘喰(こくう)、貴方私に何を求めてるの?なんのために私を妖人に変えたのよ!」

嘘喰と呼ばれる男はにやりと口元に三日月を浮かべると羽喰を引き寄せその首筋に唇をよせる。

「そんなこと決まってんだろ?」

「うっ……!」

湯船に数的の血が落ち姿を消す。そして羽喰の傷も消えていく。



 翌日の朝、小楯はいつも通りタローの家の前に居た。

「おはよう小楯」

「お、おはようタローくん…」

小楯が初めてタローの前でタローの名を呼んだ瞬間であった。

「おはよう二人とも」

「ああ…燭影もう体平気なのか?なんだったら休んだ方か」

「そうだよ、僕なんかを庇って背中まだ痛くない?」

「何言ってんだ二人とも!せっかく会長ちゃんと同じクラスなのに休んだら勿体無いだろ!」

と意気込む燭影をどこか遠い目で見る二人であった。

 タローと職影、そして小楯は並んで歩き出した。

「ところで小楯って自分を守る手段とか持ってないわけ?」

と、タローがボソッと聞くと

「僕だっていろいろ頑張っているんだ!でもなかなかうまくいかなくて…まあ、これに関しては仕方ないことだからあまり気にしないで、昨日みたいなことはそう滅多にないから」

と自己完結させてしまう小楯、

「まあ、困ったことあったら連絡して来い。力になるからよ。」

タローがそういうと小楯はにこやかに頷いた。


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