2話 親心
夜の7時くらいに家についた俺は飯を食った後部屋に戻り置いてあったボロボロの楽器を眺めていた。
俺はどうすればいいんだ…
とその時部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「おい、竜介いるのか?」
父さんだった。
「いるよ。」
俺はそれだけ答えた。
「さっき病院から出てくる絵里ちゃんを見たぞ。」
「ああ、病室で遭った。」
「泣いていたよ。」
泣いていた⁉ あの絵里が? いやこれは絵里に失礼か。しかし絵里はよっぽどのことがあっても泣かないはず…
「お前はもう楽器はしないのか?」
「…⁉」
意外だった。バンドを組んで路上ライブなどを行ったばっかりにあんな事件が起こったというのに父さんがそんなこと言うなんて。
「しないよ…」
「絵里ちゃんにもそんなこと言ったんだろ。」
何で知ってるんだ?その後も父は続けた。
「楽器なら倉庫にある。好きに使え。」
そういってスタスタ足跡をたててリビングに戻って行った。
ギターが倉庫にあるのか?またなんで父さんが?いつ買ったんだ?ギターが倉庫にあると聞いて俺は間違いなくウキウキしていた。
すぐに倉庫に向かった。暗がりの中にはギターの姿が。父さんは俺すら気づけてなかった俺の音楽がしたいという気持ちに気づいていたんだ。ありがとう父さん…ありが…ん⁉
ってこれベースじゃん‼ そっか父さん楽器のこと何も知らないんだった‼‼‼