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ホラーギルドへようこそ!!  作者: ルナ
ギルドマスターの策略
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ギルドマスターVSギルドリーダー

 我らが『ホラーギルド』のリーダー、

サヤ=ライリーは苛立っていた。

額に青筋を立てていた。尻尾がかなりふくれていた。

 原因は、訪ねてきた眼帯をした男、ギルドをすべる

ギルドマスターのせいだった。

 こんな態度をとっているのは、サヤだけではない。

倉木ルカと、ルイーズ=ドラクール(ルー)も、

睨むようなきつい視線を向けていた。

「帰れよ。ギルドマスターだからって、オレが態度を

帰ると思ったら、大間違いだぜ」

「君が普通の女の子と違うのは、もうわかっている」

「うるせえ、黙れよ。イライラする」

「そういうところがかわいい」

「うるっせえって言ってんだろそこおおおおおっ!!」

 サヤが勢いよく机を両手で叩いた。

ピシッ、ミシッ、という鈍い音と共に、机が真っ二つ

になって書類がばらまかれる。

「あ……」

「さ~~や~~!!」

「ご、ごめんなさい!! でも、これはあいつのせい……」

「人のせいにすんな!!」

「いいってえええええっ!!」

 サヤは全員の保護者役である、エリオット=アディソンに

げんこつをもらって涙目になった。

 ぷくっ、とできたたんこぶをさする。

「大丈夫か?」

「うわっ、な、何する……」

 男にいきなり抱き寄せられ、サヤは目を白黒させた。

ざわっ、と心が騒いだ。こいつは駄目だ。

 心が落ち着かない。嫌だ。

 ガブッ、と再びサヤは噛みつこうとした。

襟首を掴まれ、子猫のように持ちあげられて、悔しげに

歯ぎしりする。二回目ともなると、向こうも大体どんな

反応がくるかわかっているらしい。

「ちくしょおおおおっ!! 離せ、コノヤロっ。オレは

猫じゃねえ!! 狼だぞ!! 怒ったら怖いんだからなっ!!」

 牙をむきだして唸る少女に、男はあしらうように、ああ怖い、

と言い、さらに怒らせていた。

「もう、いい加減にしてっ!!」

「リーダーになにするんですか!!」

 ついにルーとルカが大爆発した。ルーに片思い中の少年、

シオン=エレットがためいきをついている。

 不穏な空気がその場に漂った。

「皆、おはよう~」

「おはようございます」

 だが、その空気は、吾妻夙あずまなぎさと夕顔に

よって壊された。ゆきなは今日非番でいない。

「あら、ギルドマスター、今日もいらしてたんですね」

「私お茶いれてきますわ」

 二人はお茶をいれるために奥へ行ってしまった。

男はサヤを地面におろしてから言う。

「ところで、サヤ。これから食事にでも行かないか?

 おいしい肉料理を出す店があるんだ」

「ふん、食べ物で釣ろうったってそうはいかないぜ」

「……リーダー、カッコイイこと言ってますけど、

よだれが垂れてます」

「サヤ!! 尻尾まで振っちゃってるよ!!」

「あううううううっ」

 サヤは二人に指摘されてうつむいた。体は正直である。

無意識のうちに、彼女はよだれを垂らして尻尾を振っていた。

「いいぜ、一緒に食事してやるよ」

「「サヤ(リーダー)!!)」」

 ルーとルカが不満をあらわにして叫んだ。男は早速手を

差し伸べ、これから行こうか、と言う。

 が、サヤがその手を払った。

「ただし、条件がある」

「条件?」

「オレとデートしたいのなら、オレと勝負しな。お前が勝ったら、

デートでもなんでもしてやるよ」

「おもしろい……」



 こうして彼らは戦うこととなった。

「エリオット、書類作成お願い!!」

「また俺なのか!?」

「エリオットが一番頭良いじゃん!! お願いな!!」

 仕事をエリオットに押し付け、サヤは外に出た。

 仕事場に出てきた新入り、ルミア=ラキオンを審判に、

勝負が始まる。夕顔と夙が、お茶をいれて帰ってきたが、

結局誰も口にしなかった。




「武器は使わないのか?」

 レイピアと呼ばれる細長い剣を構えて男が言った。

サヤは拳を構えながら言い返す。

「オレが使うのは、武術なんでな!」

「ギルドマスター、ルイア=ラクレンサ、参る!!」

「『ホラーギルド』リーダー、サヤ=ライリー、参る!!」

 サヤの蹴りと、ルイアのレイピアがぶつかった。

ルイアは押されて下がる。

 サヤの顔に笑顔が広がった。

「オレに勝とうなんて、一億万年早いんだよっ!!」

「力がうわまっていようが、こちらも負けるわけには

いかない!!」

 螺旋を描くように剣がサヤを狙う。

軽々とよけるサヤ。そのまま、サヤはえぐるようなパンチを

ルイアのみぞおちに叩きこんだ。絶叫が上がる。

 だが、ルイアも黙ってやられている訳ではなく、突き出された

レイピアが慌ててよけたサヤの耳をかすった。

「うううっううううあああああっ!!」

 前にも言ったが、耳はサヤの弱点である。たえがたい痛みに、

サヤはゴロゴロとその場でのたうちまわった。

 血があふれ、土にしみ込んで消えていく。

「とどめ!!」

 ルイアが剣を振りかぶる。ルーとルカの悲鳴が上がった。

 そしてーー。

 ルイアの剣が届くより先に、サヤの蹴りが彼の顎を捕えていた。




「やったあ、オレの勝ち~!!」

 勝利したサヤは、傷のことも忘れて飛び上がり、涙目になった。

 ルーが慌てて走り寄り、傷を回復させる。

「勝負はいつでも受けてやるぜ」

 得意そうな顔で言うサヤに、ルイアは悔しげな目を向けていた。

ギルドマスターの名前がここで明かされます。

彼はまだあきらめないので、たびたび登場

しますよ。

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