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ホラーギルドへようこそ!!  作者: ルナ
闇オークション潜入
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闇の世界の証拠を暴け ~中編・オークションへ~

 どす黒い雲が空を覆う頃、

サヤたちはついにオークション会場に

乗りこむことになった。

 シオンは緊張と赤面症のせいで、

耳までまっかっかだった。

ルーとルカはどこか楽しそう、サヤは

黒い獣の耳を寝かせて不安そうだった。

顔は無表情を貫いていたけれど。

「これが今回の〝品物〝か?」

 じろりと無遠慮に睨みつけられ、

サヤは鼻じろんだが、我慢して

黙っていた。人買いの男が頷き、

門番が道を開ける。

 シオンとルーは、すれ違いざまに

こっそり舌を出していた。

 サヤたちは、〝商品〝が集められた

部屋へと通された。日報(新聞のようなもの)

で紹介されていた盗品や、売られたと思わしき

ものたちもいた。

「帰してよ!! 家に帰りたい!!」

 泣いているものがほとんどの中、食ってかかっている

ものが、一人だけいた。

 頬を真っ赤に染めて怒鳴っているのは、まだ十歳くらいの

女の子だった。ひときわ人目を引く顔立ちに、

白すぎない肌をしている。

「騒ぐな、ガキ」

「い・え・に・か・え・り・た・い・の!!」

「うるせえ!!」

 男は激昂し、少女に殴りかかろうとした。

 がたっ、とルカが座っていた椅子から腰を浮かしかける。

サヤが彼を見つめ、首を振った。

「どうしてですか、あの子、殴られちゃいますよ」

「大丈夫、黙って見てろよ」

 小声でやりとりする二人。ルーが口をとがらせていた。

そして、サヤが言った通りになった。

 キッ、と少女が睨むと、見張りの男が、石になったのだ。

元からそこにあった石像のように、動かない。

否、動けないのだ。きゃあああっと悲鳴が上がった。

「あの子、ゴーゴン族なんだよ」

 サヤは真剣な顔で言った。ルカが聞き返す。

「なんですか、ゴーゴン族って?」

「メデューサって知ってるだろ? それが

ゴーゴン族の祖だ。見つめた相手を石と

変える最強の魔物だよ」

「なんでわかるんですか?」

「オレの鼻をなめんなよ。上手く変化してるけど、

蛇の匂いがぷんぷんしてるんだよ、あの子から」

 サヤは人狼ルー・ガルーであり、変化していなくとも、

味覚・嗅覚・視覚・聴覚が優れていた。

 普通の人間であれば気付かないような匂いでも、

サヤには隠しようがなかった。

 二人の会話が聞こえていたのか、さっきの少女が

こちらにやってきた。

「あなたたち、どこのギルド? 私がゴーゴン族と

分かるなんて、すごいのね」

「そちらこそ。能力を制御できるのは、数人しか

いないって話だけど?」

 今、少女の目はまっすぐにサヤを向いていた。

サヤも彼女の目を見返している。

が、サヤは石にはならなかった。

 ニヤリ、と少女は笑った。

「純血で力はもとから強かったの」

「ふうん。オレたちは・・・・・・っと、うーん、

あ、少し待てよ」

 サヤは言葉を濁すと、目を閉じて少し黙っていた。

ややあって、もういいよ、と声が返る。

ギルドメンバーと、少女の頭の中から。

念話テレパシーね、そんなことまでできるの」

 少女は目を見張って感心していた。

〝オレたちは『ホラーギルド』のメンバーだ。リーダー

はオレ。サヤ=ライリー〝

「倉木ルカです」

「ルイーズ=ドラクール。ルーって呼んで」

「シオン=エレットだよ」

「私はルミア=ラキオン。ギルドには入ってないわ。

よかったら、あなたがたのギルドに入れてくれない?」

〝親はいるか? それと、ルー、説明頼む〝

 サヤは自身の顔が青ざめたのに気付き、ルーに説明を

依頼した。ここで倒れたらやばい。依頼を完了できない。

気持ちが悪そうに口元を抑えるサヤ。

ルーは頷き、口を開いた。

「あなたは科学者ギルドを知ってる? もしくは被害者?」

「科学者ギルド!!」

 少女の目が赤く染まった。目を閉じろ、とサヤが叫ぶ。

全員が目を深く閉じ、彼女の力は壁と観葉植物を石にした。

「あなたがたも被害者なのね。忘れたくても忘れられないわ、

あいつらっ!! 全員殺してやりたいっ」

「何があったの?」

 ルーが思わず聞いた。すごい剣幕に、少し怯えている。

サヤの耳も伏せられていた。

「あいつらは幼い私を兵器のように扱ったのよ。多くの人間や、

妖怪たちを石にさせた。その頃の私は、それが罪だと知らなかったけど。

私がギルドを抜けようとしたら、あいつら私を売ったのよ」

〝いいよ。君もギルドの仲間入りだ。オレたちは、今、潜入捜査の

真っ最中なんだよ、闇オークションの、な〝

「光栄だわ」

 こうしてメンバーを一人増やし、サヤたちは仕事を続けた。

 ついにオークションが開催された。

貴重な盗品が出品され、競りが始まる。

 〝商品〝としてその場にいる『ホラーギルド』は、

その様子を、隠し持っている小型の機械で記録していた。

泣きながら一人の少女が舞台に立たされる。一人、また

一人と少女たちは消えていき、ついにサヤたちの番が

回ってきた。ぐいっ、と腕を掴まれ、サヤはできるだけ

冷静な顔で舞台へと上がったのだった。

ついにサヤたちがオークションに参加します。

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