表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホラーギルドへようこそ!!  作者: ルナ
科学者ギルドを潰せ
27/28

清らかなる少女を救え 

 サヤ=ライリーは真っ赤な髪を窓から吹きつける

風になぶられながら歩いていた。

 用意された自室へと戻るためだ。

その手はしっかりと倉木ルカに握られている。

「……手、離すなよ」

「大丈夫ですよサヤ。絶対に離しません」

 不安そうな顔をするサヤ。ルカはにっこり笑うと、

彼女の手を握った手に力を込めた。

 ……部屋はすぐに見つかった。

サヤは疲れたような顔でベッドに腰かける。

 ぐぅ、と腹が鳴ったが、食料には手をつける気はなかった。

部屋に用意された物には何が入っているか分からない。

 ルイア=ラクレンサやロッカ=ロッタにもらったチョコレートの

包みをポケットから出し、ルカと分け合って食べる。

「うまい……!!」

「おいしいですね」

 久しぶりに口にした食べ物はほんの僅かの量であっても二人の

心と体を温めてくれた。

 サヤはルイアの事はあまり好きではないが、ちょっとは感謝しても

いいかもしれないと思う。

「……行こうぜ、ルカ」

「はい……!!」

 二人は力を込めて言うと、部屋を辞して歩き出した。

目指すは、清らかなる少女のために。彼女を助けるために――。


 一方、ルイーズ=ドラクールことルー、そしてシオン=エレットは。

彼らもまた用意された部屋を目指していた。

 ルーは不安そうな涙目、シオンは不安を隠したような顔である。

ちなみに、シオンは仮面を修復済みだが怪しまれるのでつけては

いなかった。

 きらめく妖精のような羽根を揺らしながらルーはうつむいている。

「泣くなよ? ルー」

「泣いてないもん!!」

「知ってるよ。注意しただけじゃないか」

 ぎゃんぎゃん言い合う二人組。しかし、「うるせーぞ!!」と彼らの部屋とは

別の部屋から怒声が聞こえたため黙るしかなかった。

 誰も好き好んで痛い目に遭いたいとは思わないだろう。

「ねえ、シオン……」

「何だよルー?」

「私達、ちゃんとお家に……ギルドに帰れるよね?」

「当たり前だろ」

 不安そうに目を潤ませる少女の肩を叩いてやりながら

シオンはにやりと笑った――。


 一方。いい雰囲気な四人とは違い、重苦しい空気を作りだしているのは

巫女の少女吾妻夙あずまなぎさと褐色の肌の少年エリオット=アディソン

だった。

「あ、あの夙様……?」

「様つけやめてって言ったでしょ。『夙』って呼ばないと返事しないから」

 ふいっと視線をそらす夙。エリオットはしばしオロオロしたように目を

泳がせていたが、やがて意を決して口を開いた。

「な、夙……様」

「な・ぎ・さ!!」

 だが、変に意識してしまいつい様つけしてしまう。

ムッと頬を膨らませながら夙が睨んだ。

「な、なぎさ……」

 エリオットが真っ赤になるのが面白くて彼女はついくすくすと笑って

しまい、彼に無言で睨まれた。

「行きましょうエリオット。あの子を助けるのよ。サヤ達ももう動い

てるかもしれないし、私達が遅れを取る訳にはいかないわよ?」

「は、はい夙様!! ……じゃ、なくて行こうぜえっと……夙」

 エリオットはまたもや夙を様つけしてしまい、夙に睨まれて

慌てて敬語と様つけを取っ払って言いなおした。

 よろしいと言いたげに夙が微笑み彼の手を取る。

重苦しい空気は完全に消え去っていた――。


 その頃、白に近い銀の髪を持つゆきな、三本の白い尻尾が特徴的な

夕顔、白すぎない肌のルミアの三人も少女捜索を続けていた。

「一体、どこにいるのかしら」

「早く見つかればいいけど」

「えっと――『守護姫』ちゃーん、出ておいで~」

「出てくるわけないでしょっ!!」

 いきなり探している本人を呼ばわると言う暴挙に出た夕顔に

ゆきなが突っ込む。だが――。

 その場に現れたのは、話に聞いた通りの『守護姫』だった。

白なのか銀なのか判別つかない髪、ガラスのような青い瞳、病人を

思わせる青白い肌。間違いなく『守護姫』だ。

「あら~守護姫ちゃん」

「「ホントに出た!!」」

 おっとりと夕顔が言い、ルミアとゆきなの声がハモる。

守護姫は何も言わずに身をひるがえした。

 慌てて三人が後を追う。

ついて来いとでも言っているのだろうか。

 彼女は空中にふわふわと浮きながらゆっくりと走っている。

明らかに三人を呼んでいた。

 三人もまた彼女と速度を合わせながら走っていた。

……どれほど走ったのだろうか。

 三人の息が切れてきた時、ようやく守護姫は立ち止まった。

あっ、とルミアが声を上げる。そこは、以前ルー達が彼女に

教わった『出口』だった。

 彼女は『帰れ』と言いたかったのだ。

「今すぐここから帰って。何故、戻って来たの?」

「あんたを探して連れ帰るためよ!」

 苛立ったようにゆきなが怒鳴る。しかし、のばされた手は彼女に

届かずやはり空を切った。

「私は、行けない。ここから出ることは出来ない」

「何故よ!?」

 今度はルミアが怒鳴った。夕顔が「一緒に帰りましょ――」と

言うが黙って首を振る。ルミアの質問への答えはついになく、

彼女はフッと姿を消した――。


 守護姫を助け出すために科学者ギルドへと戻ったサヤ達。

しかし、守護姫はルミア達を拒絶する。

 彼女の目的は――!?

久しぶりの『ホラーギルド』投稿です。

 見てくださっている方、半年も待たせてしまって

すみませんでした。もうすぐ完結しますが、最後まで

見てくださるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ