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ホラーギルドへようこそ!!  作者: ルナ
科学者ギルドの非道な行為
18/28

科学者ギルドの居場所を特定せよ

 サヤ=ライリーたちは早速行動を開始した。

ルーンとエリオット=アディソンが護衛と見張りとして

ギルドに残ることになっていた。

 ルーンはそのギルドに恨みを持っていないことと、

第一危険だからで、エリオットは何か会った時のための

待機メンバーである。

 ルーンは最初渋ったけれど、自分の力がそんなに

強くないことを知っているので涙目になりながらも

無理やりついてくることはなかった。

 サヤは倉木ルカと行動を共にし、ルイーズ=ドラクールは

シオン=エレット、吾妻夙あずまなぎさはルミアと夕顔と一緒だ。

 地図を調べ、今までやつらがいた場所を調べ、それでも

居場所は見つからず、彼らは苛立っていた。

「ちくしょう、科学者ギルドのやつらああっ!!」

 えるような声を上げたサヤは、一旦

ギルドに戻って食事を取っていた。

 他のメンバーもかんばしい結果は得られなかったらしく、

うなだれたような顔で食事を頬ぼっている。

「俺も手伝うか?」

 エリオットが言うと、嫌な顔をしたサヤが首を振った。

「お前はあの子供たち見張ってろよ。何するか分かんねえぞ。

大切な人らしいからな」

「でも、疲れてるみたいだしな。変わるか?」

「いいっつってんだろうが!! お前はここに残れ!!

 以上!! はい、これで終わり!!」

 ムッとしたようにエリオットが睨みつけた。

サヤも苛立っているので睨み返す。

 不穏な空気に、ルーの金色の目が潤み始めた。

シオンがなぐさめるように髪をなで、

夙が二人の頭にげんこつを落とす。

「「いってええっ!!」」

 涙目になる二人に、夙はきつい目を向けた。

「争っていても何にもなりませんわ。

時間の無駄です」

 事実なので、サヤたちは文句を言えずに黙った。

そこに、か細い二つの声が届く。

「あの……様子はどうですか?」

「見つけられました?」

 アニタ=リスキールと、イルク=タルデアだった。

期待に輝く目が、サヤが首を振った瞬間曇った。

 サヤがため息交じりに説明する。

「悪いけど、まだ見つけられてないぜ。

だけど、絶対に見つけて見せる。安心しな」

「僕達、場所を覚えています!! ご案内しますよ!!」

 イルクが熱のこもった口調でサヤの手を握ってくる。

サヤの手からスプーンが落ち、からんと涼しげな音を立てた。

 明らかに眉がしかめられた。

「あのな、あいつらは同じ場所に長くいることはねえんだよ。

同じ場所にいるんなら、俺たちがあんたたちみたいな被害者が

出ないうちにやつらの組織壊滅させてるさ」

 そう、ここのギルドのほぼ全員が恨みを抱いているのに

かかわらず、見つからないのはそのせいである。

 イルクの目に涙がたまり、アニタも青ざめた顔で立ち尽くした。

「そう……なんですか」

 サヤの手を握る手に力が籠った。それでも、サヤは優しく

手を放してやる。ルカに差し出された新しいスプーンを握り、

サヤは再び食事に戻った。

 こんな時に食事をしていていいのか、と思うなかれ。

食料補給は大切なのだ。接種しなければ、倒れてしまう。

 食料補給しなくてはハードな仕事などできないのだ。

おいしいパンやスープや肉料理。

 いつもの通りの最高の味の料理を、全員はかきこむように

食べていた。砂でも食べているかのように味など感じない。

 ただ食料補給のために食べているだけだ。

楽しむ余裕など今はなかった。

「ごちそうさま……」

 サヤは食べ終わると、ナプキンで口元を拭いて立ちあがった。

ルカがぎょっとしたように慌ててパンと肉を口に放り込み、

せき込みながら水で流して立ち上がった。

「ゆっくりでもいいのに。俺一人で行くから」

「いいえ、僕も行きます!!」

 二人は連れ立って外に行こうとした。

が、いきなり扉が開いたので驚いて後退した。

 入ってきた人物を見るなり、サヤは敵意むき出しの視線を向ける。

ギルドマスターのルイア=ラクレンサだった。

「てめえ、何しに来た!! 俺らは今忙しいんだよっ!!」

「迷惑ですので帰っていただけませんか!!」

 ルカの言葉に、ルイアはムッとしたように

彼を睨みつけた。何か言いかけた時、

彼を突き飛ばすように少女が現れた。

「大丈夫ですよ、ギルドマスターは仕事をしに来たんですから」

 それはギルドマスターの秘書をやっているロッカ=ロッタだった。

「あんた、この前の……」

「ロッカ=ロッタです。……ルイア様、仕事しないなら今すぐ

帰っていただきますよ。書類がたまっているんですから」

「……分かったよ」

 舌打ちをした彼は、ためらいがちにサヤを見つめた。

「『科学者ギルド』の居場所を知りたいか?」

「はあ?」

 サヤは一瞬何を言われたのか分からなかった。

思わず気の抜けた声が出たくらいである。

「私たちはスパイをそこに向かわれてあるんです。

彼らはよく働いてくれますよ。……こっちのギルドマスター

とは大違い」

「ロッカ、てめえっ!!」

 あまりにもサボリ癖に悩まされているのか、

ロッカは最後に批判を混ぜることを忘れなかった。

 睨んでくる彼を無視し、サヤの紅い目を見つめる。

「どうですか、リーダーさん? 行きますか?」

 サヤは迷うように目を泳がせた。『科学者ギルド』に行く。

それは、過去を呼び起こす行為だ。

 どくん、と胸が高鳴る。

冷汗が体から流れ出す。怖い。だけど、行かなくてはならない。

 これ以上の被害を出さないために。

と、温かい手が自身の手に添えられた。

「サヤ、大丈夫だよ」

 ルカだった。彼の手は本当に安心する。

「行く。あいつらを許してはおけない」

 しっかりとした声を聞き、ロッカはにっこりと

笑いながら主に説明を促したーー。

ルイアとロッカ再登場です。

そして、だんだん決意を固めていくサヤ。

確実に『科学者ギルド』を追い詰めていきます。

次回もよろしくお願いします。

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