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ホラーギルドへようこそ!!  作者: ルナ
お姫様の実力
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じゃじゃ馬姫の初仕事 前編

 サヤ=ライリーは、倉木ルカやルイーズ=ドラクール、

シオン=エレット、ルーン姫と共に仕事に向かっていた。

 初仕事を前に、ルーンはおおはしゃぎである。

 サヤたちは呆れたように笑っていたけれど、目は優しかった。

 今日の仕事は、薬草探索である。かなり珍しいもののようで、

なかなか見つからないのだという。薬草があるという森に

やってくると、サヤは班を二通りに分けた。

「ルーとシオンとルーンが一班、オレとルカが一班でいいよな?」

「今のところの実力だと、それが妥当だと思うよ」

「ルーン姫は何か力を使えるんですか?」

 話し合いの最中に、ルカは気になってルーンに聞いた。

 力がないのならば、必然的に二人がルーンの守護を

するしかない。負担がかかるのはこの二人だった。

「私は魔女見習リトル・ウィッチだ。あまり強くは

ないが、少しなら術も使えるぞ」

「う~。魔導師ウィザード魔女ウィッチか。戦力にバラつきが出るな」

「リーダー、ルーン姫はこっちの班にしたらどうです?」

「そうだな……」

 むうっ、とルーの頬が膨らんでいた。ルーはいつもサヤと一緒だった。

 それが、理由もなしに別々になるなんて、納得できなかった。

「じゃあ、あたしがサヤの班に行く!! シオンはルーンと

一緒でいいでしょっ!!」

 シオンが仮面の奥で泣きそうになったことに、ルーは気づいていなかった。

 サヤとルカは、彼の体が震えて拳を握りこんでいるので、気づいている。

「私は、シオンでもだれでもいいが……」

「駄目」

 ルーンは困惑しながらも了承しようとしたが、ぴしゃりとサヤが遮った。

 ルーが泣きそうになり、キッと金色に輝く目で彼女を睨む。

「いつまでもワガママ言うなよ。いつでも、オレと一緒にいられるわけじゃない。

オレがたまたまいない日に、仕事は受けないって言うの? そんなの許されるのか?

 大仕事だったらどうする?」

 いつもの〝親友〝としての顔ではなく、サヤは〝ギルドリーダー〝としての

顔になっていた。厳しい目で睨み返され、ルーはたじろぐ。

 もう聞き入れられないと分かり、シオンの腕を掴むと

ぐいぐいと引っ張って森の中へ入って行った。

「いいんですか、リーダー?」

「たまにはいいよ。サヤサヤってしょっちゅう言われんのも、

たまにイラつくことだってあるし。すぐに機嫌は直るからな」

「だといいですけど……」

「うるっさいな。ほら、オレたちも出発するぜ」

 ルカはその言い草にムッとなったが、何も言い返さずに

歩き出した。不穏な空気を感じ、ルーンが眉をひそめる。

 仕事に向かう当初はあんなり明るかった空気は、

すっかり重苦しくなってしまっていた。


 ううぅ、と泣き声が森の中に響いている。

 ルーはずっと泣いていた。泣きながらも、シオンの腕は

放さない。シオンは少し赤くなったけれど、その理由が

彼のことを好きだからではなく、単に心細いからだと

知っているので、すぐに顔を引き締めた。

 どんな顔をしようと、仮面をかぶっているから、

ルーには気づかれたりしないのだが。

「いい加減泣きやんだら?」

 苛立ってきてシオンは言った。ルーはそれを無視し、

泣き続ける。せっかく好きな子と一緒になれたのに、

と小声で呟き、シオンはため息をつくのだった。



 一方、サヤたちはーー。

 黙ったまま歩いていた。ルカもサヤも拗ねていて

一切口を利かないし、ルーンは気まずくて口を開けない。

 と、その時。魔物の咆哮ほうこうが響き渡り、

何匹かの魔物が飛び出してきた。言葉の話せない、

野生の魔物である。

 三人は慌てて身構えた。

「よっしゃあ、いくぜ!!」

 先手攻撃を放ったのは、サヤ。少女にしては

強い拳が魔物を殴りつけ、悲鳴を上げさせた。

 ルーンはすぐに詠唱を始めている。

ルカもキッと顔を上げるなり、魔を祓う巫女の

力を使って魔物を浄化した。天邪鬼あまのじゃくの力も

使って、小さな石を巨石に変えて押しつぶしたりしている。

 ルーンの術も魔物を何匹か消し炭に変えた。

 彼らに危機が訪れたのは、あらかた倒し終えた、その時である。

 ひときわ大きな声が響くなり、巨大な魔物が現れたのだ!!

 咆哮が地面を震わせる。サヤはルーンを抱え、地面を飛びのいた。

 ルカも慌てて飛びのく。がーー。

 ガツンと二人の頭が激突した。彼らは普段陣形を取ることはなく、

直前ケンカしていたせいで、何の確認もせずに同じ方向に飛んだのである。

 倒れ込んで痛みに顔をゆがめる二人の前に、鋭い爪をつけた巨大な

手がせまったーー。


サヤとルカがピンチに陥ります。

ルーンはサヤが守っています。

そして、泣き続けるルーと

シオンはどうなるのか!?

 次回も見てください。

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