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息抜きで行く異世界旅行~婚約者まじ殺す^^  作者: 月蜜慈雨


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4/6

どうしようもないことってあるよね




 寝苦しくて、寝起きが悪かった。

 窓を見ると雨で、びしゃびしゃと土が水に打たれる音が聞こえる。

 土砂降りだ。



 こういうときの為に、井戸汲みは余裕を持って行われる。

 この地域は、ある時期は特に雨が多いらしい。



 雨のせいでなんだか憂鬱だ。

 今日は聖堂の掃除をする。

 箒で床を掃いていると、憂鬱な気分も忘れられる気がした。



「大丈夫ですか?」


「ハルさん、大丈夫です。多分?」


 少しおどけて言うと、ここの修道女をしているハルさんが心配そうな顔をして、「無理しないでね」と言ってくれた。 

 雨の打撃音が凄い。元の世界だったら絶対音楽流していたな。

 そんなとき、ふと思った。



 私は元の世界に戻りたいのだろうか?



 それはもちろん、そうだ。全てを捨てる覚悟をするのは、あまりに愛しすぎたものが多すぎた。

 でも、元の世界に帰ったとて、特にやりたいことがあるわけじゃない。

 帰れると分かった訳じゃないし。

 やっぱり、ここで生きていくことを考えた方がいいのだろうか。



 悩みは深まるばかりだ。



 夜、雨足はますます強くなって、嵐を思わせる。

 私は眠れないでいた。

 聖堂の方へ向かう。

 偶像の前で、ルゲラ司祭が祈っていた。



「こんばんは」


「こんばんは、こんな夜更けに。寝れませんでした?」


「まあ、はい。そんなところです。ルゲラ司祭は?」


「私もそのようなものです」


 お互い長椅子にとりとめのない話をした。

 しばらく時間がたった後、ルゲラ司祭がためらうように聞いてきた。


「ニカさん、旅立ちの予定は…?」


「あ、えと…」


 私の様子に、ルゲラ司祭が口を大きく開けて笑う。



「いいです。いいんですよ。分かっています。分かっています」



 何を分かっているのか、ルゲラ司祭は明言しなかった。でも、分かる。異世界のことを言っているんだと。

 ルゲラ司祭は私の目を真っ直ぐ見つめた。ハシバミ色の綺麗な瞳だ。こんなに純粋で、切実な瞳がこの世にあるのか。



「大丈夫。あなたは戻れます」



 気が付いたら、ベッドに横になっていた。

 意識が落ちる間際、お守りのようにルゲラ司祭の言葉を反芻した。



「大丈夫。あなたは戻れます」「大丈夫。あなたは戻れます」「大丈夫…






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