第四話 急転
朝、いつもの天井を見て目が覚めた。
部屋を出て、村の空気を吸いに行く。
部屋を出ると、目の前にレイがいた。
「おはようございます!ハレさん」
「おはよう」
レイは俺の顔色を見ると血相を変えて言った
「ハレさん!?顔が真っ青ですよ!?」
「寝不足だよ」
違う。昨日、5斬を振るった後遺症だ。だが、それを言ってしまえば、レイに迷惑をかける。
レイは俺を近くにある椅子に座らせると、ため息をついた。
「今日は安静です。外出禁止です」
「はい。すみません」
ぐっ、逆らえない。
というか、逆らう気力もない。
「後で神父様呼んできますから」
「え、そこまで大げさじゃ――」
レイはすでに扉を開けていた。
「大げさです。顔が死人です」
ひどい。そんなに俺の顔って死にかけか?
*
しばらくして、白髭の年配の人が部屋に入ってきた。
格好見る限り、この人が神父なんだろう。
「ほう……これは……」
俺の顔を見て、眉をひそめる。
「魔力の枯渇だね」
「……やっぱりか」
レイが目を丸くする。
「え、魔力切れって……そんなに使ったんですか?」
「まあ……少し、だけ」
神父は俺の脇腹の包帯を確認しながら言った。
「君は無属性魔法を先日使った子かな?」
「……はい」
一瞬、空気が止まる。
「やはりか。君が放った衝撃波はね、村の端まで響いていたんだよ」
「……すみません」
「あぁ、違う違う。怒っているんじゃないんだよ。もう使われてない家だったしね」
苦笑しながら神父は言った。
怒られると思っていた。だが、神父は静かに言った。
「しかし……この村に置いておくには、惜しいな」
神父は、真面目な顔でそう言った。
「え?」
「属性魔法を“形”にできる者は、今の時代ほとんどいないどころか、恐らく君1人だ」
レイが息をのむ。やはり魔力消費が激しいからか......。
「王都の魔法学園なら、君自身の扱いがわからない力でも、正しく鍛えられるだろう」
俺は思わず聞き返した。
「……学園?」
「正式には“王立統合魔法学園”だ」
二六年前のキーナの出身学校だ。
「……俺が、そこに?」
神父はうなずいた。
「私は昔、そこで教鞭を取っていたことがあってね。推薦状を書く。体が回復次第、向かうといい」
頭が、追いつかない。
王都。ライツのいる場所であり、キーナの出身校。
てか、この神父、何者なんだ?
「……行きます」
気づけば、そう答えていた。
神父は少しだけ、笑った。
「そう言うと思ったよ。実は、もう書いてあるんだ」
計算尽くってことか。俺は苦笑する。
レイは不安そうに俺を見る。
「……ハレさん、遠くへ行くんですか?」
「……ああ。でも」
俺は真面目な顔になり言う。
「また戻ってくる。借りは返さないとな」
レイはしばらく黙ってから、うなずいた。
「……約束ですよ」
「約束する」
俺は神父に向き直り、疑問を口にする。
「なんで、こんな得体の知れない子供を、無属性魔法があってもなんで推薦したんですか?」
神父は少し驚き、笑いながらいった。
「君、外見の割に老成しているね。理由か……“神託”と言えば、わかるかな?」
「神託、ですか?」
神なんて本当にいるのか。
そう思った俺を見透かしたように神父は言う。
「いや、すまない。私自身も信じてはいない。年甲斐もなく冗談を言ったね。ただの“勘”だよ」
勘って......。聖職者は第六感みたいなものが強くなるのか?
「勘、ですか?」
「昔、私は教鞭を取っていたと言ったね。だからわかるんだよ。優秀な子供が、ね」
神父が席を立つ。その時、何かを思い出したかのように言った。
「あぁ、そう。言い忘れるとこだったね。君が何者か、と言う質問はしないでおくよ。時期が来たら教えてくれたらうれしいね。老人の少ない楽しみとして待っておこう」
神父はそう言って部屋から出ていった。
その日の空は、やけに遠く感じた。
王都。学園。復讐の始まりの場所。
俺の“次の居場所”が、ようやく、決まった。
更新遅れました。すみません!!
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