表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/15

第13話「新しい夜明け」

 それから1ヶ月後。


 王都は急速に変わりつつあった。


 ダグラス一派から没収した莫大な財産は、国庫に組み入れられ、即座に福祉と公共事業に充てられた。スラムの環境改善、孤児院の支援、壊れた橋や道路の修復。


 街には活気が戻り、人々の顔には笑顔が見られるようになった。


 新政府の初代首相に就任したのは、もちろんアレンだ。


 彼は王制を廃止したわけではない。幼い王女を保護し、彼女を象徴的な元首として立てつつ、実質的な政治は選挙で選ばれた議会が行う「立憲君主制」へと移行させたのだ。


 執務室で書類の山と格闘するアレンの元に、秘書官となったエリスが紅茶を持ってきた。


「総理、少し休憩されては?根を詰めすぎです」


「まだやることが山積みなんだ。教育制度の改革案も詰めないといけないし……」


 アレンは苦笑するが、その表情は生き生きとしていた。かつてのような「やらされている仕事」ではなく、「自ら作り上げる仕事」だからだ。


「そういえば、ガルド警備隊長から報告がありました。スラムの治安が劇的に良くなって、彼、失業しそうだとか」


 エリスがクスクスと笑う。


「それはいいことだ。彼には、新しい警察組織の指導役を頼むつもりだよ。腕っ節だけじゃなく、人の痛みを知る警官が必要だからね」


 アレンはペンを置き、窓の外を見た。


 夕日が街を茜色に染めている。


 追放されたあの日、冷たい雨の中で見た絶望的な景色とは、何もかもが違っていた。


「……エリス。ありがとう」


「え?」


「君がいてくれたから、ここまで来られた。君があの日、ガルドに立ち向かっていなければ、私はただの復讐鬼になっていたかもしれない」


 アレンはエリスの手を取り、その甲に口づけを落とした。


「これからも、私を支えてくれるか?」


 エリスは顔を真っ赤にしながらも、しっかりと頷いた。


「はい。どこまでも、お供します。……私の総理」


 2人の影が、夕日の中で一つに重なった。


 この国の物語は、ここで一旦の区切りを迎える。


 だが、彼らの作る新しい歴史は、まだ始まったばかりだ。


 剣ではなく言葉で、血ではなく票で戦った彼らの伝説は、長く語り継がれることになるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ