(七)制服と宝物〈せいふくとほうもつ〉
翌日から三日間、葉叫先生は、お休みした。
明月がふっとばしたとき、葉叫先生が壁に激突する前に、夕空が先生を止めた。先生はだから、先生はふわりと宙に漂って、ゆっくりと着地した。
にもかかわらず、かけよった明月と夕空を見て、ぶるぶるふるえだした。
すぐに校長先生が来て、事情を聞いた。
明月は、急に抱きつかれたのでおどろいてふきとばしてしまった、ごめんなさい、と正直にあやまった。
校長先生は、「ああ、またか」と言って、ひたいをおさえた。
明月は今まで、宝術で人をふっとばしたことはないから、きっと、「また」というのは、葉叫先生のほうだろう。
明月はしかられなかった。
逆に、この先生は、そういうところがあって、ごめんね、と校長先生にあやまられた。
わけがわからない。
先生が休んでいる間に、制服がとどいた。
正面から見て右側のえりを手前にして着る上着は紺色だ。はかまも同じ色で、上にはおるケープはむらさき色がかった、こい青色だ。紺藍、という名前の青色らしい。
着物の上にはおるケープにはえりがついていて、大きなボタンが一つある。ちょうど背中まですっぽりおおってくれる大きさだ。
でも、ケープにはポケットがない。大人になるとつける人もいるらしいが、基本的に、児童生徒のうちは、上着とはかまに宝物をしこむのがふつうだった。
「では、上着のえりのポケットには、針を入れます。いちばん長いのですよ」
代わりに来てくれた教頭先生が説明してくれる。
さっそく上着とはかまを着た(きた)児童たちは、机の上に広げた「基本の宝物」から、いちばん長い針を探す。
黒い塗りがほどこされた針は、明月の手のひらから中指くらいまでの長さだった。竹ぐしくらいの太さなのに、金色の文字がびっしりと彫りこまれている。
「細くなっている方を下に向けて入れてください。ポケットの底にクッションがあるから、針の先で体を傷つけずにすみます。つぎは、巻き尺」
教頭先生はてきぱきとポケットの位置を示し、児童たちは、次々(つぎつぎ)と「基本の宝物」をポケットにしまう。
残ったのは翡翠の指輪と、瑪瑙の腕輪だ。
「指輪は利き手の人差し指につけます。腕輪は利き手ではない方の手首に」
すべてを装着してみると、みんな、大人びて見えた。




