(二)始業式の始まり〈しぎょうしきのはじまり〉
新しいクラスは、体育館前に張り出される。
明月は五年一組になった。
夕空、陸広、水沢、それから、仲のよい子たち何人かが同じクラスになった。これまでいっしょのクラスになったことのない人もいる。
とはいえ、一学年二クラスだ。
なんとなくは、みんなのことを知っている。
これで、やさしい先生が担任になってくれたら文句はない。
体育館で始業式が始まると、校長先生があいさつをした。
「みなさんの元気な顔が見られてうれしいです」
校長先生は、髪を七対三に分けて、きっちりとなでつけてある。
六年生や、ほかの先生が着ているのと同じ、宝術学校の制服すがただ。
ポケットがいくつもあって、それぞれに宝術を使うときに必要な宝物を入れておくようになっている。
五年生は、五月から制服着用だ。
「一年間、むりなく技をみがきましょう」
毎回、校長先生のあいさつは短い。ほかの学校では校長先生が三分以上話すらしいが、白鶴校では、三十秒くらいだ。
「では、担任の先生を発表します」
校長先生は、手元の紙に視線を向けた。
「一年生は本日、自宅学習です。一年一組の担任は木下先生、二組は野中先生」
どちらもやさしいせんせいだ。明月は、いい先生を二人とられちゃったな、と思う。でも、まあ一年生ならしかたない。せいぜい、やさしさに包まれて学校を楽しむがいい。
「二年生。一組、可能先生。二組、没有先生」
指導力のある先生たちだ。この二人は、前年は一年生の担任だった。
やさしいとまでは言えないが、人の話をよく聞いてくれる。
「三年生。一組、山田先生。二組、有為先生」
この学年は、大当たりだ。山田先生はやさしいうえに、どの教科も教えるのがうまい。とくに宝術がうまくて、去年は六年生の担任だった。有為先生は、文章を読むのも書くのもうまい。宝術の中には、心の中で言葉を念じて使う文法術というのがある。有為先生は文法術の達人だ。去年は五年生を担当していた。
有為先生を三年生に取られた六年生のうち数名が、「うわあ」と悲鳴をあげた。




