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ルシータの能力

「ツカサ、まずはこの家から出ようか」


「うん」


 ルシータが住むマンションの一室から出ると、そこは暗闇に包まれた世界であった。そしてエレベーターへと続く廊下には等間隔に照明が付いているが——


「なにか出そうな雰囲気だね」


 そう、ボク達は今、夢世界に来ている。そして夢世界は常時夜の世界らしい。


「ここら辺は大丈夫かな。だいたい討伐しているから」


 ボク達はエレベーターに乗り一階まで降りると、エントランスホールを抜け建物の外へと出る。


「さてと、ここからは散発的に敵が出るかも知れないから、武器を出しておこうかな」


 そう言ったルシータの右手が輝きだしたかと思うと、小さな花が沢山咲き乱れその後に一本の美しい刀が出現した。そして左手も同じく光り輝き花が咲き乱れた後、黒塗りの銃が現れる。


「この刀は斬れ味が凄い上にどれだけ斬っても刃こぼれしないし、サブマシンガンの方は無限に弾が出る仕様、だよ」


「凄いルシータ、完全装備だね。……でもそんな重そうな武器、片手で扱えるの? 」


「大丈夫、だよ。刀は棒切れのように軽いし、サブマシンガンの方は反動がとても少ないから」


 そう言って刀を目に見えない速度で数度振り回す。


「へぇー、チート能力だ」


「女神様から授けられた能力の一つだからね」


「……えっ、その物言いからすると、まだ能力を授けられていたりするの? 」


「そうだよ、他に『時よみの瞳』と言う能力を貰っているよ」


「時よみの瞳? それはどんな能力なの? 」


「力を使用している時、三秒先の世界が見える能力。だから戦闘面ではかなり有利に動ける、かな」


 とそこで、キャハハハと甲高い笑い声が聞こえた。振り返れば、なんとそこには一体の異形、ボクの背丈程ある真っ黒に染まった布に包まれ青白い顔と青白い腕が見える怪物がいた。そしてナイフを装備しているそいつは、ボク達に向かってナメクジのように滑るようにして移動を始める。

 と言うか怖い、キモい、不気味すぎる。


「ちょうど良い。この刀の斬れ味を見せてあげるね」


 そう言って姿勢を低くして怪物に向かって疾走するルシータは、一瞬にして敵との間合いを削ると刀を上から下へと一振り。その刀の軌道線上にいた怪物は、頭から真っ二つに両断される。そして絶命したであろう怪物は、ボンッと破裂するようにして黒霧へと変わり空気に溶けて無くなった。


「こんな感じ、かな。どう? 」


「どうって、敵が不気味だよね!化け物だよね! 」


「まぁそう、かな」


「突然あんなのが現れるのは怖すぎだよ! 」


「でも現れたらあの笑い声ですぐわかるし、私の敵じゃないのだけどね」


「それはルシータが強すぎるからだよ! 」


「えっ、でも今のツカサもかなり強そうな雰囲気、凄味を感じるんだけど」


 確かに今召喚合体している五条橋真琴が原作通りの強さなら、あんな敵でも瞬殺だろうけど——


「ツカサ、試しに次敵が現れたら戦ってみない? 複数出て来たら一体以外は私が相手をするから」


「うーん」


「ツカサも戦ってくれると助かるんだけどなー」


「……わかったよ、ボクも自身の強さに興味があるし」


「ところで素手のようだけど、武器は何を使うのかな? もしかして魔法使い? 」


「ふふふっ、それは内緒だよ」


 そうしてボク達は夜の住宅街で敵を求めて徘徊する。そして暫く進んでいると——闇夜に不気味な青白い顔が一つ、浮かび上がる。その顔はこちらに気がつくと、甲高い笑い声を上げ始める。

 改めて見ても、気持ち悪い、恐ろしい。と言うか攻撃しなきゃだった。

 くたばれ!

 ボクはその場で遠くにいる怪物に向かって右腕を突き出す動作、掌底打ちをする。これは真琴の通常攻撃であり必殺の攻撃である、高威力の遠距離攻撃。そして攻撃を受けた怪物は、胸に風穴を開けた後、爆散して闇に消えた。


「ツカサ、ちょっと凄すぎじゃないかな? なんなのかな、今の攻撃? 触れずに倒しちゃった? 」


「あー、多分大抵の敵は一撃で撃破出来る、敵の魂の辺りを攻撃出来ると言う遠距離技だよ。勿論沢山腕を打ち出す事によって連続攻撃が可能だし、ゼロ距離から攻撃したら更に威力が上がる設定だったりするんだ」


「ツカサ、君の方こそチート能力全開だね」


 ルシータがジト目でボクを見てくる。


「あっでも、怪物は怖いからボクからあまり離れないでね」


「はーい。そしたらツカサ、これから学校に向かおうかな。まだ殺人鬼が潜んでいるかどうかの、調査をしていないから」


「うん、いいよ」


 そうしてボク達は学校に向かう途中である住宅街を歩いて進み、遭遇する怪物達を難なく討伐し撃沈数を伸ばしていく。しかしそれは突然起こった。ボクの身体が光り始めたかと思ったら、光が収束した後に召喚合体が解けてしまい元の姿に戻ってしまっていたのだ。

 あっ、もしかして一時間経っちゃったとかかな?

 しかも召喚合体が解けてしまった途端、身体が重く感じてしまう。と言うか、このもっさりしている状態で敵に遭遇したらやばくない? 早く次のキャラを呼び出さないと!


「ツカサ、私の後ろに隠れて」


 ルシータの視線の先に目を向けると、先程から倒している怪物より一回り大きな異形がいた。ゲラゲラ笑うそいつは一つの身体に青白い顔が二つ張り付いており、刀を両手で握っていた。


「アイツは二面体。顔が一つの奴より手強い、かな」


 そこで二面体が滑るようにこちらへ迫り始める。

 対するルシータは、銃のトリガーを引いた。闇夜に轟く銃声と発射時の銃口から出る光がルシータを照らす中、速射された弾の雨が二面体を襲う。

 二面体も刀を前に構えたまま角度を変えて弾を弾き落としていくけど、弾の数が多すぎた。顔にこそ当たらなかったが、その漆黒の体に弾が食い込んでいく。しかし二面体は止まらない。間合いがあっという間に縮まっていく。

 ルシータが銃を乱射しながらも刀を構え、ルシータも前方にダッシュする事で間合いを一気に削る。

 そして互いの刀の間合いに入った。

 瞬間振られる刀と刀。火花を散らして激突、したかと思ったらルシータはすでに次の一振りを放っていた。その一振りは正確に二面体の右の顔を斜めに斬り裂いており、動きが止まった二面体のもう一つの顔に銃の乱射が炸裂。そうして二つの顔を破壊する事で黒霧へと変えた。

 それからルシータは左右に首を振った後、バックステップでボクの元に戻ってくる。


「他に気配はない、かな」


 すっ、凄い戦いだった。ルシータ格好良い、惚れ直したよ!

 と言うかボクは何を思っているんだ。早く次のキャラクターを召喚しないと。

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