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161  作者: Nora_
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「公夜、これお前のだろ?」

「俺のです、邪魔なところにありましたか?」

「いや違う、ぽつんと置いてあったから気になっただけだ」


 弁当を取りに行ったのに金を忘れてきたというだけだった。

 だから弁当袋だけ置いていたら根川さんが先に来てしまったということになる。

 ちなみに京もいたはずなんだがいまこの場所には俺と根川さんしかいなかった。


「古地ちゃんはどうした?」

「それが急に消えてしまったんですよ」


 一緒のところでやっている先輩達と食べているとかなら仕方がないことだ。

 強制できることでもないし、強制なんてするつもりもない。

 それに必ず毎日一緒に食べるというわけではないから急に消えたこと以外は違和感というやつもなかった。


「ふぃ~、間に合ったー」

「どこに行ってたんだ?」

「私もロッカーに忘れ物をしたことに気づいてねー」


 なるほど、ロッカーの場所も違うから時間がかかったんだな。

 ここからなら俺らのロッカーの方が近いから移動も楽だ。

 まあ、面倒くさいことには変わらないが。


「そういうことか、公夜がまた喧嘩したのかと思ったぞ」

「していませんよー、それより根川さんも一緒に食べましょう!」

「おう」


 最近は自作の弁当を持ってきている根川さんだった。

 京に「頑張ると楽しいですよ!」と言われてからあっという間に影響を受けて頑張ってしまっている形になる。

 やっぱり女子って凄えよな、男って基本勝てないよな……。


「おお、お肉がいっぱいですね」

「ま、所詮おっさんが作る適当な弁当なんてこんなもんだ」

「それでも頑張っていますよね? そこがいいと思います」

「そ、そうかっ? ま、俺も俺にしては頑張れているなーってな」

「はい、私も頑張りますので一緒に頑張りましょう!」


 俺基準ではあるが偉そうな感じになっていないのもすごかった。

 つか、根川さんも簡単にペースに乗せられすぎだろ……。

 流石の俺でもここまで簡単に変わったりは――したか。


「公夜、古地ちゃんって優しすぎね?」

「優しいのは確かですね」

「やべえわ、古地ちゃんみたいな子が娘だったら毎日天国なのに……」

「それだったらここまでいい子ではなかったかもしれませんよ?」

「そうかもしれない、クソ親父とか言われそうだからな……」


 それに彼氏とかの件で不安になっても分かってもらえないからな。

 俺の両親みたいに仲良くやれるところばかりではないし、どうしてもいい面ばかりを見て発言しがちだが気をつけなければならない。

 だからこうして普通に話せる関係ぐらいが一番いい気がした。

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