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1-29 やってきた御方

「おお、なんとか真面な感じに仕上がっているじゃないか」


「奇跡です」


 見事に全周に渡って見事に羽根を設えられた団旗を見て、二人とも褒めた。

 ベロニカさんは微妙な褒め方だったが。


「何を言うか、お前達。

 俺は騎士団長なのだぞ。

 団旗を愛する心は騎士団一よ」


「その愛情が明後日の方に行くから困るのですが。

 俺が後から全部やり直したんですよ。

 おはようございます、副団長。

 ベロニカも」


 彼は欠伸を堪えながら、二人に挨拶していた。


「やっぱりね」


「まあ、結果的にちゃんと仕上がったんだからいいさ。

 これで我ら騎士団だけでなく、王太子殿下も面目が立つ。

 ご苦労だった、サリタス」


 騎士団長さんも笑っていた。

 さては神聖なる団旗で遊んでいたんだな。もう。


 だが、そこへ声をかけてくれた方がいらした。


「やあ、これは素晴らしい旗になったな。

 諸君、ご苦労様」


「王太子殿下⁉

 こ、これはようこそ、騎士団本部へ」


 ピシっと「気を付け」をして、彼に敬礼したベロニカさんがいた。


 おー、なんと朝っぱらから噂の王太子殿下の登場だ。 

 なんというか、凄く貫禄がある。


 美男子度でいったら、明らかにリュールさんの方が上って感じなんだけど、これはまた包容力のありそうなイケメンというか。


 一言で言い表すのであるならば、まさに『ナイスガイ』だった。

 なるほど、これは次期王様に相応しい御方だ。


 リュールさんが王位継承権を捨ててまで彼に尽くすのがよくわかるな。

 私も今日から第一王子派を名乗ろう。


「おはようございます。王太子殿下」


「なんだ、相変わらず固いな、リュー。

 前のように兄上と呼んでくれ。

 公爵家に下ったとて、お前は俺の可愛い弟ではないか」


 出た、自分俺呼び王太子様。

 こういうのもいいなあ。

 あ、また涎が。


「その理論から言えば、奴だって半弟ではないですか」


「全弟の弟はお前だけだよ、リュー。

 ところで、さっきから俺の事をずっとガン見している、その女の子は誰だ。

 このあたりでは、あまり見かけないような顔つきだが」


 あ、やべ。バレてた。

 まあ、あれだけビッチリと凝視していましたらね。

 バレもしますか。


「こ、こら、サヤ。

 王太子殿下に対して失礼ですよ、もう」


「はは、よいよい。

 いや、ところで本当に誰だ。


 なんというか、物凄く緩いその雰囲気。

 とても騎士団の関係者とは思えぬが、その辺の市井の子供ですら、そこまで緩んではおるまい」


 あう、またもや王子様から『緩過ぎて不審である』という指摘を受けてしまった。


 でもこれって自分でなんとか出来るものじゃないしなあ。


「ははは、兄上。

 その子ですよ。

 七色ガルーダの羽根をくれたのは」


「何、そうなのか。

 彼らと友人だというのは本当なのか?」


 問い質すというよりは、むしろ面白がっている感じで訊いてくるところに好感が持てるな。


「はい。

 私は、この世のすべてのモフモフと友人でありたいと願っていますよ」


「サヤ……」

「こういう奴ですよ、兄上」


「はっはっは、これは面白い子がやってきたもんだ。

 それで稀人という事なのだな」


「そのようです」


「いかにも。

 ところで、王太子殿下。

 何か、伝説の青い鳥に関してご存知な事はありませんでしょうか」


「ふむ、あったらどうすると?」


「決まっています。

 その鳥をとっ捕まえて私を元の世界、私の家に戻させます。

 あの極悪鳥、今度会ったらただじゃおきませんよ」


「お前さん、さっきは『すべてのモフモフと友達になる』とか言っていなかったか?」


 またしても面白そうな顔で訊いてくる王太子殿下。


 そういや、過去の自分がそんな事を言っていたような遠い記憶があったような気もしますね!


「あいつだけは別なのですよ。

 モフモフな鳥の分際で、このモフモフ大好きな私の事を詐欺ったのですから、その罪は何よりも重いのです」


「そうか、残念ながら俺は知らんな。

 もしあれについて知っている奴がいるとしたなら、きっとそこにいる俺の弟の、現在の身内がそうだな。

 どうせ、あの連中は今も家にはおるまい」


「う、やっぱりそうでしたか。

 薄々そうじゃないのかなとか思ってはいたのですがね」


「後は、そうだな。

 この王都パルマの冒険者ギルドのギルドマスターには会ったか?」


「いえ、そういやお会いしていませんね。

 今私は、彼の預かりになっているはずなのに、おかしいなとか思っていたのですが」


「そうだろうな。

 奴も、ホルデム公爵家の血筋、俺にとってもリューにとっても叔父にあたる人物だ。

 あのホルデム公爵の弟なのだから。

 今頃はどこかのダンジョンの中かどこかだろう」


「あう。

 そんな放浪癖のある血筋のギルマスだったのですか。

 まことに困ったものです」


 それでギルドは全部サンドラさんが仕切っていたんだね。


「はっはっは。

 彼らを見つけ次第、一度家の方に戻るようにと言伝(ことづて)を手配しておいてやろう。


 それが俺から君への礼だ。

 御助力感謝する。

 異世界からの変わった旅人よ」


「ありがとうございまーす」


 王太子殿下、やっぱりナイスガイだー。


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